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第3章 勇者の仲間

4 事後処理2

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 用事がある、と言ったのは、いちおう嘘じゃない。

 俺はその足でさっきの公園に戻った。
 すでに日は暮れかけていて、オレンジ色の夕日が小さな公園を照らしている。
 警察の人が何人かいて、現場を調べているようだ。

 フィーラの死体はすでに運び去ったらしかった。
 ドラマなんかでよく見る、立ち入り禁止の表示がある。

「殺人事件だってよ……」
「まだ若い女の子が殺されたんだろ……」

 近所に住んでいるらしい人たちがヒソヒソと話している。

 スマホで見ると、すでにニュースになっていた。

 ──九天きゅうてん市で殺人事件発生。
 ──犯人は不明。
 ──目下、警察が捜査中。

 記事を要約すると、そんな感じだ。
 俺のことがまったく載っていないことにホッとする。

 もともとフィーラは異世界の人間だし、当然戸籍などの個人情報も存在しない。
 まあ、外国人みたいな外見だから、そっちの情報を探るかもしれないけど、何も出てくるはずもない。
 俺との接点を知る者は、この世界の人間には誰もいない。

 とはいえ、俺が剣道部でフィーラと出会い、一緒に出て行ったのは多くの生徒が目撃してるはず。
 そっちの情報から、警察の捜査が俺までたどり着くことは十分考えられる。

 証拠を、消しておく必要があるな……。

 俺がフィーラとの戦いで何度も投石攻撃をしたから、その石には俺の指紋が残っている。
 ただし、それらの石はフィーラの魔法に迎撃されて、全部消滅したはずだった。

 残っているのは、おそらく一つだけ。
 俺がフィーラを撃った石だ。

 あれには俺の指紋もついているし、処分しておいたほうが無難か。

 ──【サーチ】発動。

 俺は探し物用のスキルを使った。

 公園から百メートルほど離れた場所に、血まみれの石が転がっている。
 どうやらフィーラを撃ち抜いた後、そこまで飛んでいったらしい。

 俺はそこまで行って石を拾うと、近くの川に投げ捨てた。

    ※

 薄暗い路地裏に、人影があった。
 青い髪をポニーテールのように束ねた、若い女だ。

「フィーラさんが殺されましたか……」

 彼女は静かにつぶやいた。
 フィーラの死体に関しては、この国の警察組織のもとにあるようだ。

「早急に手を打っておく必要がありますね」

 この世界に、自分たちの世界の痕跡を残すわけにはいかない。
 死体を回収し、フィーラの死そのものも記録に残らないよう抹消しておく必要がある。

「──スキル【気配遮断・レベル15】発動」

 彼女は静かに唱えた。
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