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第2章 勇者の選択

19 真星月子3

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「また来た! でも大丈夫だよ、先輩! ボクが絶対守ってみせるからっ」

 月子は勢いよく突進した。

「待て、そいつはさっきの奴とは違う──」
「きゃあっ!?」

 黒い悪魔の一撃が、月子を大きく後退させる。

「何こいつ、強い──」
「『レッサーデーモン』──下位とはいえ、魔族だ。『リザードソルジャー』とはわけが違うぞ」
「ま……ぞく……?」
「下がれ、月子。後は俺がやる」

 ──スキル【近接格闘・レベル13】発動。

 月子の倍以上の速度で、俺はレッサーデーモンへと突進した。

 迎撃の爪を、尾を、やすやすと見切って避ける。
 懐に飛びこみ、拳を一撃。

 ぐおおおんっ!

 雄たけびとともに後退するレッサーデーモン。

「終わりだ!」

 体勢が崩れたモンスターに、俺はさらに追撃した。

 拳を、蹴りを、連打で叩きこむ。
 そして、とどめは、

 ──スキル【破砕拳】取得、発動。

 基本ジョブ【武闘家】のスキルである【破砕拳】。

「はあっ!」

 強烈な右正拳突きでレッサーデーモンの頭部を粉砕する。
 次の瞬間、魔族の体は無数の黒い粒子となり、消滅した。

「せ、先輩、こんなに強かったの……!?」
「弱い、なんて言った覚えはないぞ」

 ニヤリと笑い、俺は月子を助け起こした。

「ほら、歩けるか」
「う、うん、大丈夫……ちょっと腰が抜けちゃって」
「じゃあ、俺に掴まってろ。とりあえず、ここから離れよう」

 単体ならともかく、仮に魔物が次々に出てきたら、さすがに月子を守りきれないかもしれない。

 いや、俺だって──もしもレッサーデーモンよりずっと上位の魔物が出てきたら、勝てるとは限らない。

 まずは、離脱だ。
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