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第2章 勇者の選択

18 真星月子2

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「あれは──」

 異空間……なのか!?

 そこから、何かが飛び出してくる。

 しゅううっ、と細く息を吐き出す、そいつ。
 俺たちの前に降り立ったのは、トカゲのような顔を持つ、身長三メートルほどの怪物だった。

「『リザードソルジャー』か!」

 叫ぶ俺。

 異世界のモンスターである『リザードソルジャー』。
 それがなぜこの世界に現れたのか。

 あの扉は、まさか異世界につながっている……!?

「さがって、先輩!」

 月子が俺をかばうように前へ出た。

 彼女の態度に恐怖は感じられなかった。
 現実にはありえない怪物を前にしても、驚くほど冷静だ。

 闘志をみなぎらせてリザードソルジャーを見据えている。

「お前こそ下がるんだ。危ない──」
「ふふっ、ボクをなめないでよねっ」

 言うなり、月子が地を蹴った。
 その動きは、まさしく閃光。

「流派・月光流星拳げっこうりゅうせいけん──【基本の正拳突き】!」

 がごぉっ!

 爆音にも似た大音響とともに、月子の拳がリザードソルジャーを吹き飛ばす。

 一撃、だった。
 みぞおちに重いパンチを食らったリザードソルジャーは、苦鳴すら上げず、その場に崩れ落ちた。

「す、すごいな」

 さすがに俺も呆然となる。

 俺の【近接格闘・レベル13】とまではいかないものの、レベル7~8くらいはありそうだ。
 一流の魔力を持つ凪沙さんといい、超人的な格闘能力を持つ月子といい、異世界に行っても十分生きていけそうな人材だった。

 オカ研おそるべし……!

 と──、

 るおおおおおううううぐああおおおおおおおおおんっ!

 どう猛な吠え声とともに、扉の向こうの空間が揺らいだ。
 そこから新たな影が飛び出してくる。

 山羊を思わせる顔に、皮膜状の翼、黒い剛毛に覆われた巨躯、しなやかな四肢、そして長大な尾──。

『レッサーデーモン』だ。

 こんな奴までこっちの世界に現れるとは……!
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