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第2章 勇者の選択
16 再調査3
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落とし穴を通り、地下通路を進む。
前回と同じ槍の罠が発動したけど、すでに仕掛けを知ってる俺はなんなくクリア。
突き当たりの壁画にたどり着いた。
「やっぱり魔力が漏れてる……」
そうか、凪沙さんが『魔力の残滓が~』って言ってたのは、この魔力が俺の体にこびりついてたんだな。
でも、どうして──。
異世界でも、場所によって魔力が濃い土地、薄い土地ってのはあった。
こっちの世界でも似たようなものなんだろうか。
ただ、この魔力はどうも壁画の扉の向こうから漂ってくるような……。
壁画の裏に何かあるのか?
──スキル【透視】取得。
名前の通りのスキルである。
ちなみに、これを使えば、着替えとかも覗き放題だ。
雫たちのあんな姿やこんな姿とかも──。
「……って、何考えてるんだ、俺は!?」
一瞬、想像しかけたところで、慌てて首を振った。
いかん、罪悪感で胸が痛い。
気を取り直して、あらためて俺は壁画の裏を【透視】した。
すると──、
「扉……?」
岩の向こうに隠し扉みたいなものがある。
どうやら魔力は、そこから漏れているみたいだけど。
「ここで何をしている?」
声が、した。
まさか、ベルクか──?
反射的に思い浮かべたのは、奴のことだ。
だけど、今の声は明らかに女の子のそれだった。
「誰だ……?」
振り返ると、そこには長身の少女が立っていた。
洞窟の暗がりに溶けこむような長い漆黒の髪。
赤いリボン。
そして、いかにも明朗快活って感じの顔立ちは、十分に美少女の範疇に入るものだった。
「せっかくボクが一人で遺跡探索しようと思ってたのにー」
どこか拗ねたような顔の女の子。
「一人でこんな場所まで来るのは危ないぞ。まして若い女が」
老婆心ながら忠告する。
これでも人生経験は彼女より数十年長いからな。
見過ごせない。
「ボクは強いからへーきへーき」
にっこり笑って、シャドーボクシングをしてみせる少女。
冗談めかした動きだったが、その拳は鋭かった。
まるで武闘家みたいだ。
「それに、この前はオカ研のみんなでここに来たっていうし。ボクも見てみたかったんだ」
「もしかして、お前もオカルト研究部なのか」
「そだよ」
うなずいて、彼女が俺を見る。
「じゃあ、君も──そっか、君が雫ちゃんが言ってた新入部員だね」
「ああ、夏瀬彼方だ」
名乗った俺に、彼女は胸を張り、
「ボクは真星月子。学年は一年。よろしくね、先輩っ」
前回と同じ槍の罠が発動したけど、すでに仕掛けを知ってる俺はなんなくクリア。
突き当たりの壁画にたどり着いた。
「やっぱり魔力が漏れてる……」
そうか、凪沙さんが『魔力の残滓が~』って言ってたのは、この魔力が俺の体にこびりついてたんだな。
でも、どうして──。
異世界でも、場所によって魔力が濃い土地、薄い土地ってのはあった。
こっちの世界でも似たようなものなんだろうか。
ただ、この魔力はどうも壁画の扉の向こうから漂ってくるような……。
壁画の裏に何かあるのか?
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名前の通りのスキルである。
ちなみに、これを使えば、着替えとかも覗き放題だ。
雫たちのあんな姿やこんな姿とかも──。
「……って、何考えてるんだ、俺は!?」
一瞬、想像しかけたところで、慌てて首を振った。
いかん、罪悪感で胸が痛い。
気を取り直して、あらためて俺は壁画の裏を【透視】した。
すると──、
「扉……?」
岩の向こうに隠し扉みたいなものがある。
どうやら魔力は、そこから漏れているみたいだけど。
「ここで何をしている?」
声が、した。
まさか、ベルクか──?
反射的に思い浮かべたのは、奴のことだ。
だけど、今の声は明らかに女の子のそれだった。
「誰だ……?」
振り返ると、そこには長身の少女が立っていた。
洞窟の暗がりに溶けこむような長い漆黒の髪。
赤いリボン。
そして、いかにも明朗快活って感じの顔立ちは、十分に美少女の範疇に入るものだった。
「せっかくボクが一人で遺跡探索しようと思ってたのにー」
どこか拗ねたような顔の女の子。
「一人でこんな場所まで来るのは危ないぞ。まして若い女が」
老婆心ながら忠告する。
これでも人生経験は彼女より数十年長いからな。
見過ごせない。
「ボクは強いからへーきへーき」
にっこり笑って、シャドーボクシングをしてみせる少女。
冗談めかした動きだったが、その拳は鋭かった。
まるで武闘家みたいだ。
「それに、この前はオカ研のみんなでここに来たっていうし。ボクも見てみたかったんだ」
「もしかして、お前もオカルト研究部なのか」
「そだよ」
うなずいて、彼女が俺を見る。
「じゃあ、君も──そっか、君が雫ちゃんが言ってた新入部員だね」
「ああ、夏瀬彼方だ」
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「ボクは真星月子。学年は一年。よろしくね、先輩っ」
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