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第1章 勇者の帰還
28 古代遺跡1
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俺たちは遺跡にやって来た。
広い森の深奥。
そこにある高さ数メートルくらいの小さな丘が、目的の遺跡だった。
「これが古代遺跡か……」
なんというか、もっと大きなダンジョンみたいなものを想像していたんだけど。
思った以上に小さい。
凪沙さんが見せてくれた壁画は、横穴の最奥に掘られているそうだ。
「一万年くらい前のものらしい。縄文時代の遺跡」
と、凪沙さん。
「わたしの叔母が考古学者で、ここを調査中。わたしはダウジングの腕を見込まれて、調査を手伝ってる」
「へえ……」
「ここもわたしが見つけた」
えへん、と胸を張る凪沙さん。
「わたしのダウジング、すごい」
自画自賛だ。
「魔女の力だから」
「魔女?」
「わたしの先祖は東欧の魔女らしい。母から聞いた。その血がわたしにも流れている」
俺の問いに答える凪沙さん。
「銀の髪も青い目も、その名残り」
「魔女の家系……か」
──スキル【魔力探知】を取得。発動。
興味本位で探ってみると、彼女の小さな体に重なって青い炎のようなものが見えた。
「これは……!」
確かに、魔力だ。
それもけっこう大きい。
向こうの世界の一流魔法使いに匹敵するんじゃないだろうか。
この世界にも魔力ってあるんだな。
正直、驚いた。
ということは、世界のどこかには魔法使いなんかも実在するのかもしれない。
「わたしをジッと見てる。どういう意図?」
「あ、いえ、ちょっと考え事を」
「もしかして……恋?」
凪沙さんが真顔で俺を見た。
「ち、違いますよっ」
俺は慌てて首を振った。
「えっ? ええっ? か、彼方くんが凪沙さんに恋してるんですか……? 嘘、どうしよう……」
雫はなぜか焦ったような様子だ。
しかも不安げに俺をチラチラ見ていた。
いったい、何を不安がってるんだ?
「わたしに恋する夏瀬、その夏瀬に想いを寄せる雫──爛れた三角関係が、今始まる」
「始まらないですよ!?」
妙なアオリを言いだす凪沙さんに、ツッコむ俺。
「た、爛れた関係……一体、どんな……あわわわ」
そして雫は真っ赤になりながら、ちょっと息遣いを荒くしていた。
広い森の深奥。
そこにある高さ数メートルくらいの小さな丘が、目的の遺跡だった。
「これが古代遺跡か……」
なんというか、もっと大きなダンジョンみたいなものを想像していたんだけど。
思った以上に小さい。
凪沙さんが見せてくれた壁画は、横穴の最奥に掘られているそうだ。
「一万年くらい前のものらしい。縄文時代の遺跡」
と、凪沙さん。
「わたしの叔母が考古学者で、ここを調査中。わたしはダウジングの腕を見込まれて、調査を手伝ってる」
「へえ……」
「ここもわたしが見つけた」
えへん、と胸を張る凪沙さん。
「わたしのダウジング、すごい」
自画自賛だ。
「魔女の力だから」
「魔女?」
「わたしの先祖は東欧の魔女らしい。母から聞いた。その血がわたしにも流れている」
俺の問いに答える凪沙さん。
「銀の髪も青い目も、その名残り」
「魔女の家系……か」
──スキル【魔力探知】を取得。発動。
興味本位で探ってみると、彼女の小さな体に重なって青い炎のようなものが見えた。
「これは……!」
確かに、魔力だ。
それもけっこう大きい。
向こうの世界の一流魔法使いに匹敵するんじゃないだろうか。
この世界にも魔力ってあるんだな。
正直、驚いた。
ということは、世界のどこかには魔法使いなんかも実在するのかもしれない。
「わたしをジッと見てる。どういう意図?」
「あ、いえ、ちょっと考え事を」
「もしかして……恋?」
凪沙さんが真顔で俺を見た。
「ち、違いますよっ」
俺は慌てて首を振った。
「えっ? ええっ? か、彼方くんが凪沙さんに恋してるんですか……? 嘘、どうしよう……」
雫はなぜか焦ったような様子だ。
しかも不安げに俺をチラチラ見ていた。
いったい、何を不安がってるんだ?
「わたしに恋する夏瀬、その夏瀬に想いを寄せる雫──爛れた三角関係が、今始まる」
「始まらないですよ!?」
妙なアオリを言いだす凪沙さんに、ツッコむ俺。
「た、爛れた関係……一体、どんな……あわわわ」
そして雫は真っ赤になりながら、ちょっと息遣いを荒くしていた。
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