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閑話集 こぼれ話
酒癖(親心?編)3
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客間のソファに落ち着くと、彼らは持参した杯を取り出し、各々酒の封を切って杯を満たした。
「事情はわかってくれているようで、話が早くて助かる。さる高位の神職にあるお方が、祝い酒をぜひ殿下にたらふく飲んでいただきたいと仰ってな。使者として私が寄越されたわけだ」
「右に同じです」
「で、これを私に飲めと?」
毒を飲まされたほうがまだマシな気がすると思いながら、聞き返す。
「ああ、まあ、そうなんだが、その前に私たちが毒見をしようと思ってね」
「高級酒ですしね」
「というわけだから、少し待ってもらえるかね」
「毒見が終わるまで」
この二人、思っていたよりも仲がいい。妙に気が合っている。もしかして、ティエンと将軍とエニシダには、アティスの知らない繋がりがあるのかもしれなかった。神職と軍部と王宮の、性格に難有りな実力者の結託の図に、なにかもう、どっと疲れが増した。
「勝手にすればいい」
アティスは背もたれに寄りかかって、ふんぞり返った。やってられるか、という気分であった。
「では、遠慮なく」
そう言うが早いか、二人ともツマミもなく、がぱがぱと酒をあけはじめる。
「それにしても、あいつも往生際が悪い」
「昔からそうでしょう。あの人が往生際が良かったことなんて、一度もありませんよ」
「んん? そういえばそうだったか」
親しげにアティスのわからない話をする。しかもティエンをこきおろしているはずなのに、しみじみとしている。そのエニシダの口調に、彼はやはり不死人だったかと、薄々感じていたものに確信を得た。
もっとも、宮廷も軍も不死人が集まりやすい構造になっている。市井よりも遭遇率は高いはずだ。彼らはウィシュタリア、クレア、ミシアの中枢に入り込み、そうしてウィシュタリア王家を存続させてきたのだから。
「あれだけの苦労をしていれば、娘を手放すのが惜しいのもわかるが」
「というより、生意気な弟子にくれてやるのが我慢ならないだけなのでしょう」
「どんなに出来がいい男でも、娘の相手となると、アラを探したくなるものだからな」
「おや、リングリッド様でもですか?」
「うむ。そして、目立つアラがないと認めがたくて苛立つものだ」
「目立つアラがあったら、娘をくれたりしないでしょうに」
「うむ。そのとおりだ。それは自分が一番わかっておるのだよ」
これみよがしのこの会話は、つまり、舅の仕打ちを許せということなのか? アティスは話の内容と強烈な酒の匂いに辟易してきて、眉間に皺を寄せて、そっぽを向いた。
しばらくして、二人は毒見は終わったと言った。
「いや、酔った酔った。こんなのを二本も飲んだら、さすがに足腰立たなくなるだろうな」
「その前に死にますよ」
将軍は大口を開けて、あっはっは、と笑った。
「こんな夜に死んだら、死んでも死に切れんだろう!」
「足腰立たなくても、同じ気持ちになるでしょうね」
「違いない」
「というわけで、貸しにしておきますよ」
エニシダがしゃあしゃあと言うのに、アティスは眉間の皺を深くした。
「いいかげんにしろ」
勝手に押しかけて、アティス宛ての高級酒を半分以上も飲みきり、このウワバミどもはこれ以上何を要求するというのか。盗人猛々しいとはこのことだ。
アティスが言葉を吐き捨てると、面の皮の厚いはずのエニシダが、なぜか傷ついた顔をした。作り物のように美しい顔を、悲しげに歪める。まさか本当のわけがないとわかっていつつも、思わず罪悪感が刺激されるような表情だった。が、次の台詞に、アティスは己の甘さをものすごく後悔した。
「ああ、悲しいですね。どうしてこんなにかわいくなくなってしまったのか。昔は素直でかわいい子だったのに」
己の中で、なにかが引きちぎれる音を聞いた。しかし、王族として培ってきた忍耐を総動員して凌ぐ。中身が古狸だとわかっていても、その外見に、どうにも腹が立ってしかたがなかった。
――年下のクソガキに、どうしてこんなことを言われなければならないのか。ああ、酔っ払いだからか。そうだな、素面の者が酔っ払い相手に本気になるなど、物笑いの種だしな。年長者がガキの失敗をあげつらうのも大人気ない。ああ、そうだ。そうだとも。
アティスは己に言い聞かせ、深く深く言い聞かせ、呼吸を整えて、歪んだ笑みを浮かべた。壮絶に殺気立った笑顔だった。
「酔っ払いはお帰り願おうか」
それを見て、エニシダは噴き出した。隣の将軍の腕を遠慮なく叩きながら、笑いはじめる。それにつられて我慢していた将軍も笑いだした。涙を流して、腹を抱えて、二人でのたうちまわる。彼らはどうやら笑い上戸らしかった。
アティスは蹴り飛ばしてやりたい衝動と戦いながら、笑い転げる二人に倒される前に、酒瓶を回収した。ふと、三つの酒にまつわる話を思い出したからだ。
『背徳の誘惑』は不倫を誘う酒でもあるが、夫婦や恋人、あるいは信頼関係にある者の間では、同じ杯の酒を飲み干すことによって、背徳を飲み込んでしまう、つまり背信しないことを誓い、信義を深める意味を持つ。また、『女神の涙』は媚薬でもあり、『星々の戯れ』は星、つまり天の祝福を示す。
贈り主は、本当に、アティス自身と今日という日が忌々しくてしかたがないのだろう。あわよくば酔い潰させてやれと思っているに違いない。それでも裏を返せば、こんなものを人に持たせて寄越すほど、ソランとの結婚を受け入れてくれているということだ。
いろいろな意味で、ティエンの心尽くしの品なのだろう。うっかりティエンの酌は避けてしまったが、残りはソランとありがたくいただくべきなのだろうと思ったのだった。
未だ笑いやむ気配のない二人を横目で見たが、ソランを思い出して彼らの事が急にどうでもよくなったアティスは、ソファの後ろに控えていたディーに命じた。
「邪魔だ。叩き出せ」
「承知いたしました」
そしてもう後ろを振り返ることもなく、部屋を出たところで、彼らの事は綺麗さっぱり忘れた。ソランとこれから二人きりで過ごそうというのに、他はすべて瑣末でしかない。護衛の一人に、今日はこれ以上の取り次ぎを固く禁ずると命じ、とりあえず私室へと急いだ。
一秒でも早く可愛いソランに会って、心満たされる時間を過ごしたかった。
だから、彼は二人が笑う合間にした、別れの挨拶の言葉を聞くことはなかった。
「良い夜を」
「女神の祝福を」
彼らが皆、本当はアティスを息子のように思っているなど、彼は思ってもみないのだった。
「事情はわかってくれているようで、話が早くて助かる。さる高位の神職にあるお方が、祝い酒をぜひ殿下にたらふく飲んでいただきたいと仰ってな。使者として私が寄越されたわけだ」
「右に同じです」
「で、これを私に飲めと?」
毒を飲まされたほうがまだマシな気がすると思いながら、聞き返す。
「ああ、まあ、そうなんだが、その前に私たちが毒見をしようと思ってね」
「高級酒ですしね」
「というわけだから、少し待ってもらえるかね」
「毒見が終わるまで」
この二人、思っていたよりも仲がいい。妙に気が合っている。もしかして、ティエンと将軍とエニシダには、アティスの知らない繋がりがあるのかもしれなかった。神職と軍部と王宮の、性格に難有りな実力者の結託の図に、なにかもう、どっと疲れが増した。
「勝手にすればいい」
アティスは背もたれに寄りかかって、ふんぞり返った。やってられるか、という気分であった。
「では、遠慮なく」
そう言うが早いか、二人ともツマミもなく、がぱがぱと酒をあけはじめる。
「それにしても、あいつも往生際が悪い」
「昔からそうでしょう。あの人が往生際が良かったことなんて、一度もありませんよ」
「んん? そういえばそうだったか」
親しげにアティスのわからない話をする。しかもティエンをこきおろしているはずなのに、しみじみとしている。そのエニシダの口調に、彼はやはり不死人だったかと、薄々感じていたものに確信を得た。
もっとも、宮廷も軍も不死人が集まりやすい構造になっている。市井よりも遭遇率は高いはずだ。彼らはウィシュタリア、クレア、ミシアの中枢に入り込み、そうしてウィシュタリア王家を存続させてきたのだから。
「あれだけの苦労をしていれば、娘を手放すのが惜しいのもわかるが」
「というより、生意気な弟子にくれてやるのが我慢ならないだけなのでしょう」
「どんなに出来がいい男でも、娘の相手となると、アラを探したくなるものだからな」
「おや、リングリッド様でもですか?」
「うむ。そして、目立つアラがないと認めがたくて苛立つものだ」
「目立つアラがあったら、娘をくれたりしないでしょうに」
「うむ。そのとおりだ。それは自分が一番わかっておるのだよ」
これみよがしのこの会話は、つまり、舅の仕打ちを許せということなのか? アティスは話の内容と強烈な酒の匂いに辟易してきて、眉間に皺を寄せて、そっぽを向いた。
しばらくして、二人は毒見は終わったと言った。
「いや、酔った酔った。こんなのを二本も飲んだら、さすがに足腰立たなくなるだろうな」
「その前に死にますよ」
将軍は大口を開けて、あっはっは、と笑った。
「こんな夜に死んだら、死んでも死に切れんだろう!」
「足腰立たなくても、同じ気持ちになるでしょうね」
「違いない」
「というわけで、貸しにしておきますよ」
エニシダがしゃあしゃあと言うのに、アティスは眉間の皺を深くした。
「いいかげんにしろ」
勝手に押しかけて、アティス宛ての高級酒を半分以上も飲みきり、このウワバミどもはこれ以上何を要求するというのか。盗人猛々しいとはこのことだ。
アティスが言葉を吐き捨てると、面の皮の厚いはずのエニシダが、なぜか傷ついた顔をした。作り物のように美しい顔を、悲しげに歪める。まさか本当のわけがないとわかっていつつも、思わず罪悪感が刺激されるような表情だった。が、次の台詞に、アティスは己の甘さをものすごく後悔した。
「ああ、悲しいですね。どうしてこんなにかわいくなくなってしまったのか。昔は素直でかわいい子だったのに」
己の中で、なにかが引きちぎれる音を聞いた。しかし、王族として培ってきた忍耐を総動員して凌ぐ。中身が古狸だとわかっていても、その外見に、どうにも腹が立ってしかたがなかった。
――年下のクソガキに、どうしてこんなことを言われなければならないのか。ああ、酔っ払いだからか。そうだな、素面の者が酔っ払い相手に本気になるなど、物笑いの種だしな。年長者がガキの失敗をあげつらうのも大人気ない。ああ、そうだ。そうだとも。
アティスは己に言い聞かせ、深く深く言い聞かせ、呼吸を整えて、歪んだ笑みを浮かべた。壮絶に殺気立った笑顔だった。
「酔っ払いはお帰り願おうか」
それを見て、エニシダは噴き出した。隣の将軍の腕を遠慮なく叩きながら、笑いはじめる。それにつられて我慢していた将軍も笑いだした。涙を流して、腹を抱えて、二人でのたうちまわる。彼らはどうやら笑い上戸らしかった。
アティスは蹴り飛ばしてやりたい衝動と戦いながら、笑い転げる二人に倒される前に、酒瓶を回収した。ふと、三つの酒にまつわる話を思い出したからだ。
『背徳の誘惑』は不倫を誘う酒でもあるが、夫婦や恋人、あるいは信頼関係にある者の間では、同じ杯の酒を飲み干すことによって、背徳を飲み込んでしまう、つまり背信しないことを誓い、信義を深める意味を持つ。また、『女神の涙』は媚薬でもあり、『星々の戯れ』は星、つまり天の祝福を示す。
贈り主は、本当に、アティス自身と今日という日が忌々しくてしかたがないのだろう。あわよくば酔い潰させてやれと思っているに違いない。それでも裏を返せば、こんなものを人に持たせて寄越すほど、ソランとの結婚を受け入れてくれているということだ。
いろいろな意味で、ティエンの心尽くしの品なのだろう。うっかりティエンの酌は避けてしまったが、残りはソランとありがたくいただくべきなのだろうと思ったのだった。
未だ笑いやむ気配のない二人を横目で見たが、ソランを思い出して彼らの事が急にどうでもよくなったアティスは、ソファの後ろに控えていたディーに命じた。
「邪魔だ。叩き出せ」
「承知いたしました」
そしてもう後ろを振り返ることもなく、部屋を出たところで、彼らの事は綺麗さっぱり忘れた。ソランとこれから二人きりで過ごそうというのに、他はすべて瑣末でしかない。護衛の一人に、今日はこれ以上の取り次ぎを固く禁ずると命じ、とりあえず私室へと急いだ。
一秒でも早く可愛いソランに会って、心満たされる時間を過ごしたかった。
だから、彼は二人が笑う合間にした、別れの挨拶の言葉を聞くことはなかった。
「良い夜を」
「女神の祝福を」
彼らが皆、本当はアティスを息子のように思っているなど、彼は思ってもみないのだった。
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