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180:翌朝
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翌日、朝食の席で半日ぶりに師匠の顔を見た。結局屋敷に戻って来たのは午前様だったようでその割には二日酔いみたいな感じは全くしないので恐らくエルフはザルではないかと思っている。
「師匠~!昨日振りですね」
「.....すまなかったな」
師匠なりに街の案内が途中になったのを悪いと思っているのだろう。居心地が悪そうに謝罪をしてくる。うん、別に構わないんだけどね~。
「いえ、構いませんよ。同郷の友人と会うのも随分と久しぶりでしょうから。楽しめたのなら良かったです」
ニッコリと笑ってそう告げれば師匠は溜め息をひとつついた。
え?何?私なんか変なこと言ったかな?
「リンちゃんは小さいのに随分と聞き分けが良くて凄いわね!これがアルドラなら騒いで騒いで仕方がなかったわよ?」
「お母様!!?」
ミルザムさんがそう言うのを顔を赤くして必死に訂正しようとするアルドラさんを生暖かい眼差しでアダラさん達が見ている。
アルドラさんなら確かにやりそうだよね。
でもそれだけアルドラさんがお兄さんである師匠を大好きな訳だからそこは可愛らしいと思うんだよね。
うーん.....やっぱり兄弟妹って羨ましいな!!
「あ、因みに今のは嫌味でも何でもないですからね?本心からです」
「ああ、いやまぁ.....わかってる」
「それにアンナさんから屋敷の書庫に案内して貰って有意義な時間を過ごしましたからね」
あれは確かに有意義な時間だった。うんうん。
「そうそう!シリウス、それなんだけれど....リンちゃんにウェズンのお仕事の手伝いをして貰いたいの」
「ウェズンの?」
ミルザムさんが昨夜の夕食での会話を説明し、私の言語理解の能力で古文書等の解析の手伝いをして欲しいと話す。
私としてもエルフの文明を知れるし、修行の時間以外にするなら問題はないと思うんだけど....ちゃんとお給料も貰えるみたいだしね!エルフの国で生活してる間も今後の為に貯蓄だけはしておかないといけないけど、流石にエルフの国がどんな物か知らない状況で街で働くにはリスクが高過ぎるだろう。まずはエルフの国がどんなところなのかを知ることから始めないとね。
「.....そうだなぁ.....ウェズンの仕事場のメンバーなら信用出来る奴らばかりだし大丈夫だとは思うが....」
「人の国の王宮とは違うからその点に関しては心配はいらないと思うわ。まぁあえて言うなら種族として人を嫌っているエルフも居るには居るけれど.....」
「ああ、あの人は仕方がないだろうな....けど嫌っているだけで実害はないからな」
ん?人間を嫌いなエルフが王宮にいるの?でも実害はないって師匠が言うからには何かしらされる心配はないって事だよね?
「そうだな。修行以外の時間ならリンが何をするのも自由だから構わない。けどあくまでも修行がメインでこの国に来たんだからそれを忘れるなよ
?」
「勿論です!」
「じゃあ兄上、リンのスケジュールを組みたいので後でサロンでお願いします」
「お前の執務室じゃなく、サロンで良いのか?」
ウェズンさん専用の執務室もあるのね.....部屋数多いもんねぇ、このお屋敷。
「はい。スケジュールを組むのにリンの同席も必要でしょう?ならサロンでお茶を頂きながらの方が良いかと」
「わかった」
私が同席しても決めるのは師匠なので余り意味がないとは思うんだけど、確かに自分の居ない場所で1日のスケジュールが全て決まるのは良くないか。まぁ、修正をお願いしたい箇所は遠慮なく申し出ましょうかね。
そうして朝食が終わった後で私達はそのままサロンへと移動した。何故かアダラさんとミルザムさんとアルドラさんも一緒に。
「師匠~!昨日振りですね」
「.....すまなかったな」
師匠なりに街の案内が途中になったのを悪いと思っているのだろう。居心地が悪そうに謝罪をしてくる。うん、別に構わないんだけどね~。
「いえ、構いませんよ。同郷の友人と会うのも随分と久しぶりでしょうから。楽しめたのなら良かったです」
ニッコリと笑ってそう告げれば師匠は溜め息をひとつついた。
え?何?私なんか変なこと言ったかな?
「リンちゃんは小さいのに随分と聞き分けが良くて凄いわね!これがアルドラなら騒いで騒いで仕方がなかったわよ?」
「お母様!!?」
ミルザムさんがそう言うのを顔を赤くして必死に訂正しようとするアルドラさんを生暖かい眼差しでアダラさん達が見ている。
アルドラさんなら確かにやりそうだよね。
でもそれだけアルドラさんがお兄さんである師匠を大好きな訳だからそこは可愛らしいと思うんだよね。
うーん.....やっぱり兄弟妹って羨ましいな!!
「あ、因みに今のは嫌味でも何でもないですからね?本心からです」
「ああ、いやまぁ.....わかってる」
「それにアンナさんから屋敷の書庫に案内して貰って有意義な時間を過ごしましたからね」
あれは確かに有意義な時間だった。うんうん。
「そうそう!シリウス、それなんだけれど....リンちゃんにウェズンのお仕事の手伝いをして貰いたいの」
「ウェズンの?」
ミルザムさんが昨夜の夕食での会話を説明し、私の言語理解の能力で古文書等の解析の手伝いをして欲しいと話す。
私としてもエルフの文明を知れるし、修行の時間以外にするなら問題はないと思うんだけど....ちゃんとお給料も貰えるみたいだしね!エルフの国で生活してる間も今後の為に貯蓄だけはしておかないといけないけど、流石にエルフの国がどんな物か知らない状況で街で働くにはリスクが高過ぎるだろう。まずはエルフの国がどんなところなのかを知ることから始めないとね。
「.....そうだなぁ.....ウェズンの仕事場のメンバーなら信用出来る奴らばかりだし大丈夫だとは思うが....」
「人の国の王宮とは違うからその点に関しては心配はいらないと思うわ。まぁあえて言うなら種族として人を嫌っているエルフも居るには居るけれど.....」
「ああ、あの人は仕方がないだろうな....けど嫌っているだけで実害はないからな」
ん?人間を嫌いなエルフが王宮にいるの?でも実害はないって師匠が言うからには何かしらされる心配はないって事だよね?
「そうだな。修行以外の時間ならリンが何をするのも自由だから構わない。けどあくまでも修行がメインでこの国に来たんだからそれを忘れるなよ
?」
「勿論です!」
「じゃあ兄上、リンのスケジュールを組みたいので後でサロンでお願いします」
「お前の執務室じゃなく、サロンで良いのか?」
ウェズンさん専用の執務室もあるのね.....部屋数多いもんねぇ、このお屋敷。
「はい。スケジュールを組むのにリンの同席も必要でしょう?ならサロンでお茶を頂きながらの方が良いかと」
「わかった」
私が同席しても決めるのは師匠なので余り意味がないとは思うんだけど、確かに自分の居ない場所で1日のスケジュールが全て決まるのは良くないか。まぁ、修正をお願いしたい箇所は遠慮なく申し出ましょうかね。
そうして朝食が終わった後で私達はそのままサロンへと移動した。何故かアダラさんとミルザムさんとアルドラさんも一緒に。
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