リンの異世界満喫ライフ

水月

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52:ふわふわの布団を作ろう・3

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「失礼します」

ドアをノックして部屋の中に入れば毎回毎回減ったかどうかわからない書類の山が机の上に乗っている。これは捌いても捌いても減らないのか、ギルドマスターが真面目に仕事していないのか判断が微妙にしにくい気がしなくもない。

いや、そんなに書類って溜まるものなの?

冒険者ギルドの内勤の書類仕事がどれぐらいあるのかわからないリンは不思議で不思議で仕方がない。

「おー、どうしたリン?」
「ホワイトバードの羽根で作った布団が出来上がったので持って来ました」

そう言って無限収納から羽毛布団を取り出すと、ギルドマスターが嬉しそうに椅子から立ち上がり此方に歩いてくる。

「随分と早かったな。無理して作ったんじゃないだろうな?」
「いいえ、そんな事は一切してないですよ」

差し出された手に羽毛布団を渡すと、その余りの柔らかさに驚愕の表情を浮かべた。

「おおっ!これは凄いな!!」
「そうでしょうそうでしょう!」
「......こんなに柔らかな布団は見たことがないな....それにこのさらっとした手触り....貴族の屋敷でもこんな布団はないんじゃないか?」

流石にそれは言い過ぎでは?

そう思ったけど、確かに羽毛布団と言う存在自体がこの世界に今まで無かったのならこれだけ柔らかな布団はどこにもないだろう。

まぁ今のところ販売する気はないし、販売したとしてホワイトバードが乱獲されても困るし。
いくら魔獣だと言っても一気に乱獲しては後々困る事にも繋がるだろう。
私の知人に頼まれた分ぐらいは引き受けるが、それ以外は私は知らない。

「それは私にはわかりませんけど別に不特定多数の誰かに見せる訳じゃないので問題ないんじゃないですか?ギルドマスターが不特定多数に寝室を見せるのは私の責任の範囲ではないので問題が起きた際は自分で責任を取って下さい」
「いや不特定多数に寝室なんて見せないからな!?」

因みにここで言う不特定多数は当然女性の事だ。ギルドマスターも良い年頃なんだし、そう言う事も多々あるだろう。

「......そう言う事にしておきます」
「ないから!!」

そんなむきになって言うことではないんだけどなぁ~……ギルドマスターとしての立場的な物かな?

「まぁそれは別に良いとして、一応希望通りの緑色にしてみたんですが色味はそんな感じで良いですか?」
「良いのかよ......ああ大丈夫だよ、こんな布をどこで見つけて来たんだ。」
「え、普通の生地屋さんですよ?ああでもお店のおばさんが普通の生地より値段が高いから平民は余り買わない生地って言ってました」

そうだそうだ、そう言ってた。だからこの生地自体は貴族とかが使ってるけど布団の生地とかでは使ってないだけなんだなー。

「そうか.....そんなに高いならちゃんと布団の代金は払うぞ?」
「いえ大丈夫です。高いと言ってもギルドで護衛を雇うよりは全然安いですしね」
「そうか?」
「はい、そうなんです。だからお金はいらないです。それよりも沢山使って貰えた方が私も嬉しいです」

頑張って作った羽毛布団だし、あげた人には沢山沢山使って欲しい。

「なら遠慮なく使わせて貰うよ」
「はい」

ギルドマスターにも概ね好評のようだし、マリッサさんにも作ってあげようかなぁと思ってたんだけどご家族が居るならマリッサさんだけにあげる訳にもいかないので、そっちはまぁ追々考える事にした。




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