リンの異世界満喫ライフ

水月

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27:お引っ越しです

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ギルドマスターから呼び出された日から1週間経った。毎朝少しだけ時間を置いてからギルドに顔を出し薬草採取の依頼を受けると言うのを、毎日のルーティングワークとした。

宿屋の銀亭は最初に1週間しか予約をしてなかったのと、居心地が凄く良かったので更に1週間程延長を申し入れたら快くOKが出た。まぁ丁度部屋が空いてたからだと思うけど。ただずっと宿屋だと宿代が嵩むので何か考えた方が良いかもしれない。けど10歳の私では確実に家を借りる事は出来ないだろう。

「うーん......ギルドに話したら相談に乗ってくれるかなぁ?」

あれからギルド職員のマリッサさんとはそれなりに仲良くなって、毎回ギルドに行く時はマリッサさんが対応してくれている。マリッサさんなら間違いなく相談に乗ってくれそうな気はするが......。



「と、言うことなんですけど」

悩んでても仕方がないので採取した薬草を納品しつつ、マリッサさんに相談してみた。

「あら、それならギルドの貸し出し用の寮があるわよ」

悩んだ時間が勿体ないくらい素早い回答がマリッサさんから返ってきた。

「貸し出し用の寮?」
「そうよ。特に家のない子供の新人冒険者ってリンちゃんが言うように宿代を稼ぐだけでも大変でしょ?だからそんな子の為にギルドが無料で貸し出してる物件があるのよ」
「へぇ~……そんなのがあったんですね」
「勿論、冒険者ランクが上がれば収入を増やす事が出来るから一定のランクが上がるまでの期間限定にはなるんだけど、部屋代は無料よ。でも食事は付いてないからその分は自分で用意しないといけないけどね」

元々料理をするのは好きなのでそれは特に問題はない。面倒な時は今まで通り外で食べれば済む話だしね。

「ちなみに場所はこのギルドの建物の3階部分で、5部屋程よ。今は......確かこの間まで入居してた子が部屋を出たから誰も住んでない筈よ。良かったら見学してみる?」
「良いんですか?」
「勿論よ、ちょっと待っててね」

マリッサさんはそう言って手早く薬草採取の達成手続きを済まし、一旦席を外し直ぐに戻ってきた。

「鍵を貰って来たから行きましょうか」

手に持っている鍵を私に見せてきて受付横にある階段を示すと、受付カウンターから私を促した。

階段をゆっくり3階まで登っていくとマリッサさんの言う通り5つの部屋の扉が左右に別れてあった。

「部屋の内装は全て同じようになってるから、手前の部屋を見せるわね。もしここに住むと決めたら空いてる部屋のどこを選んでも大丈夫よ」

そう言って一番手前の部屋の鍵を開け、部屋の中へと入ると部屋の広さは8畳程のワンルームにベッドとテーブル、ミニキッチンとトイレとシャワー、洗面台が備え付けられている。流石にお風呂はなかったがシャワーが付いているだけでも十分だろう。これだけの部屋が無料で借りれるなら新人冒険者にはありがたいかも知れない。

「リンちゃんがここで良ければギルドマスターに話は通しておくから、いつからでも住めるわよ、どうする?」
「あ、えっと.....実は宿屋の予約が数日残ってるのでそれが終わったら此方に引っ越してきても良いですか?」
「勿論大丈夫よ。じゃあ鍵を渡しておくから部屋の準備は空いてる時間に来てくれても良いわよ、どの部屋にする?」

マリッサさんからどの部屋にするのかを聞かれ、悩んだ末に結局見せて貰った階段に1番近い部屋に決め、それから5日後、私はギルドの3階へと引っ越しをしたのだった。




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