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第二章

45:この世界の事

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僕、悪役令息?令嬢?何て見てないよね?

もしかして第二王子殿下に婚約者が居なかった事がゲームの内容を改変してしまったんだろうか?

同じく攻略対象者だった第二王子殿下の側近達の婚約も相手側から破棄されている訳だから違うよね?

.....もしかしてこの世界って単純に似通ってるだけでゲームの世界とは違うのかも知れない。だって僕達には感情がそれぞれあって、一生懸命生きてる。辛いこともあれば悲しい事もあって、勿論楽しい事や嬉しい事もある。それ全てが作られた感情だなんて思えないし思いたくない。

ナーレ・コルチカム子爵令息に関しては主人公補正が掛かってる可能性はあるけど結局誰も彼の側には残っていない。アルト君達が噂話してたけど、彼は今まで第二王子殿下や側近達、高位貴族令息にばかり近寄ってクラスメイト達にも尊大な態度をしていたそうで、第二王子殿下達が居なくなった今、誰も彼を相手にはしていないそう。一時はナーレ・コルチカム子爵令息にちやほやしていた高位貴族令息達も殿下達の末路をどこかから聞いたのか、ナーレ・コルチカム子爵令息と懇意にしていたら自分もそうなるって噂になってるみたいで、それもあってナーレ・コルチカム子爵令息が何時ものように声を掛けても相手にして貰えなくて憤ってるそうなんだ。だから今では学園内では殆ど1人で行動するか、第二王子殿下の元側近の2人を追い掛けまわしてるそうだ。

「ある意味凄く前向きと言うか場を読まないと言うか....凄いよね、本当に彼は」

ネモローサ君なんて、完全に呆れ果てていてどう言えば良いのか僕も困るかな....?

「まぁでも実際にナーレ・コルチカム子爵令息が関わった相手が学園を辞めたのは事実なんだし、噂が広がるのは仕方ないし、自業自得と思うけどね。それに高位貴族令息を狙って行動してたなら、何か問題が起きた時のリスクだってわかってる筈だから僕達が何かしらしてあげる必要はないかな」
「そうそう。要は自分の危機管理能力がなかっただけだよね」

確かにナーレ・コルチカム子爵令息は貴族にしては貴族らしくない態度ばかり取っているような気がしなくもないなとずっと思ってたけど....もしかして彼も転生者だった可能性もあるのかもしれない。そして、このゲームを知っていて攻略しようとしていたとか....?

でもそれからこの世界が似ているようで似ていない可能性に気づかなかったのかも知れない。正直に言えば、ゲームの中ではハーレムエンドが成り立つかも知れないけど、現実でそれをしようとしたらかなり顰蹙ものだと思うんだ。

多分今の現状がネモローサ君やアルト君の言う現状になってるんだと思う。

「.....ルテウスも気を付けてね!アイツ、たまにルテウスの事睨んでるから....何かしてくる可能性もあるんだからね!」
「....う、うん....」

学園の中でも僕にはカーディナル様が付けてくれた影の人が警護をしてくれてるみたいだから安心して授業とかこうして受けていられるんだけど、本当は少しだけ怖いんだ。

第二王子達からされたあの行為が少しだけ僕のトラウマになっているのかも知れない。カーディナル様には心配を掛けちゃいけないと思って言ってないけど....。

それに学園には影の人だけじゃなくて、先生達も居るから下手な事は出来ないと思うし僕もナーレ・コルチカム子爵令息とは極力会わないように気を付けてるから多分大丈夫なんじゃないかと思ってる。

けれどそう思っているのは僕だけで、僕の周囲に居る人達は皆、僕に何かしようとしているんじゃないかとナーレ・コルチカム子爵令息を警戒していた事に僕だけが気がつかなかった。

けれどそんな周囲の警戒を他所に、その後は何事もなく僕達は最終学年へと進級を無事に果たした。最後の学年では僕達は生徒会へと抜擢され今まで以上に忙しくもあり、有意義な学園生活が送れたんだ。実はその間に我が家ではお兄様やお姉様の婚約が決まり盛大に御披露目のパーティーを開いたり、僕が卒業と同時にカーディナル様が公爵家を正式に国王陛下から賜る事になっているからその準備も忙しくて....。それでもカーディナル様が僕を愛してくれる日は少なくなるどころか増える一方で僕は嬉しいけど本気で体力をつけなきゃいけない!って思ったんだ。

そして数日後に学園主催の卒業パーティーが迫っていた。本来なら悪役令息、令嬢が第二王子殿下に"断罪"され"婚約破棄される"パーティー。

悪役が居ない今、どうなるのだろうか?

準備の為にパーティー会場へと向かっていた僕は背後から名前を呼ばれた。

「ルテウス・ルピナス伯爵令息」

そう。を。

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