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第二章
36:夜会の準備
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その日から僕はカーディナル様のお屋敷での生活になった。お屋敷の使用人の人達も凄く僕に優しくて嬉しくなる。カーディナル様の屋敷の使用人は基本的には年配の人が多い。何故なら若い使用人を入れるとカーディナル様の王弟殿下と言う地位に媚を売ってくる人が多々居たからだそう。夜、寝室に忍び込もうとしたメイドも侍従も過去に何人もいたから、全員解雇してある程度歳のいった人を雇ったらしい。
でもその人達の気持ちもわかる気がする。だってカーディナル様、凄く綺麗で格好いいもの!
だから今雇われている使用人の人は全員カーディナル様からの信頼を得ている人達だけなんだそうだ。
日本で生きていた頃はこんなにも好きな人が出来るなんて思いもしなかった。好きな人から好きだと言って貰える事がこんなにも幸せな気持ちになるんだと初めて知ったんだ。
神様、僕は今幸せです。僕をこの世界に生まれ変わらせてくれてありがとうございます。
そして今日は王族主催の夜会の日。僕の社交界デビューと同時に結婚発表の日でもある。朝から屋敷の使用人総出で僕達の準備をしている。
実はこの日が来るまでは誰にも言っちゃいけなくて、アルト君とネモローサ君にも、リコリス公爵家のオーレア様とトラウビー様にも伝えられなかったので今日ようやく伝える事が出来て嬉しい。
王様には僕のお父様とカーディナル様が話し合いをされたあの日の夜に婚姻の報告にカーディナル様が本当に行ったそうで、国王がロティスの我が儘を通そうとしたから急遽婚姻届けを出したのだと文句を言いに行ったそうだ。そもそも僕が5歳の時から自身の仮の婚約者だと告げていたにも関わらず王命で無理矢理好きでもない第二王子のロティスと婚約させようとするなんてどんな暴君だと言ってのけたらしい....。カーディナル様凄い!
実は国王陛下は歳の離れた弟のカーディナル様をかなり可愛がっているらしく、息子同様にカーディナル様にも甘いのだとか。でもさ、そんなに可愛がっていた弟の仮とは言え婚約者を自分の息子の婚約者に王命を使って宛がおうとするなんてどうなの?それ絶対にやっちゃ駄目なやつだよね?
結果的に僕は早くカーディナル様と結婚出来たからもう良いけど.....。
「ルテウス、準備は出来た?」
「あ、はいっ」
今日の僕達の衣装は結婚発表に合わせて白に銀糸で刺繍の入れた丈の長めのジャケットとズボンで、胸元にお互いの目の色の薔薇のブローチを付けている。これはカーディナル様の公爵家の意匠になる薔薇のモチーフなのだとか。ちなみにカーディナル様は僕が学園を卒業すると同時に正式に新たなローゼ公爵家当主となるそうだ。僕もカーディナル様を支えられるような公爵夫人になれるように頑張る!
銀糸の入った白い衣装にカーディナル様の漆黒の髪が良く似合っていていつも以上に格好良くて思わず見惚れてしまう。
「ん?どうかしたか?」
「.....その.....カーディナル様が凄く格好よくて見惚れてました」
言いながら頬が染まる。
「ありがとう。ルテウスも良く似合っていて可愛いな」
「ふぁぁっ!」
カーディナル様が満面の笑みでの僕の前に立ち、頬を指でひとなでする。
「今日は私達の結婚発表でもあるから、もしかしたらロティスが絡んでくる可能性もある。ロティスには私達の事はまだ伝えて居ないからな」
「え?そうなんですか」
「ああ。今日大勢の貴族達の前で発表した方が馬鹿な真似は出来ないだろう?」
第二王子と言う立場を理解していたら絶対に馬鹿な事は出来ない筈だ。納得するしかないのだから。
「.....大丈夫でしょうか?」
「うん。だからルテウスは絶対に私から離れないように」
「わかりました!僕、何があってもカーディナル様から離れません!」
ぐっと両腕に力を入れて握りしめるとカーディナル様が僕の緊張を解すためか唇にチュッとキスをしてきた。
「カカカ....カーディナル様っ!」
「ふふふ。ルテウスは本当に可愛いな」
さぁ本当に行こう、間に合わなくなると言ってカーディナル様と一緒に急いで馬車に乗り、王宮へと向かった。
でもその人達の気持ちもわかる気がする。だってカーディナル様、凄く綺麗で格好いいもの!
だから今雇われている使用人の人は全員カーディナル様からの信頼を得ている人達だけなんだそうだ。
日本で生きていた頃はこんなにも好きな人が出来るなんて思いもしなかった。好きな人から好きだと言って貰える事がこんなにも幸せな気持ちになるんだと初めて知ったんだ。
神様、僕は今幸せです。僕をこの世界に生まれ変わらせてくれてありがとうございます。
そして今日は王族主催の夜会の日。僕の社交界デビューと同時に結婚発表の日でもある。朝から屋敷の使用人総出で僕達の準備をしている。
実はこの日が来るまでは誰にも言っちゃいけなくて、アルト君とネモローサ君にも、リコリス公爵家のオーレア様とトラウビー様にも伝えられなかったので今日ようやく伝える事が出来て嬉しい。
王様には僕のお父様とカーディナル様が話し合いをされたあの日の夜に婚姻の報告にカーディナル様が本当に行ったそうで、国王がロティスの我が儘を通そうとしたから急遽婚姻届けを出したのだと文句を言いに行ったそうだ。そもそも僕が5歳の時から自身の仮の婚約者だと告げていたにも関わらず王命で無理矢理好きでもない第二王子のロティスと婚約させようとするなんてどんな暴君だと言ってのけたらしい....。カーディナル様凄い!
実は国王陛下は歳の離れた弟のカーディナル様をかなり可愛がっているらしく、息子同様にカーディナル様にも甘いのだとか。でもさ、そんなに可愛がっていた弟の仮とは言え婚約者を自分の息子の婚約者に王命を使って宛がおうとするなんてどうなの?それ絶対にやっちゃ駄目なやつだよね?
結果的に僕は早くカーディナル様と結婚出来たからもう良いけど.....。
「ルテウス、準備は出来た?」
「あ、はいっ」
今日の僕達の衣装は結婚発表に合わせて白に銀糸で刺繍の入れた丈の長めのジャケットとズボンで、胸元にお互いの目の色の薔薇のブローチを付けている。これはカーディナル様の公爵家の意匠になる薔薇のモチーフなのだとか。ちなみにカーディナル様は僕が学園を卒業すると同時に正式に新たなローゼ公爵家当主となるそうだ。僕もカーディナル様を支えられるような公爵夫人になれるように頑張る!
銀糸の入った白い衣装にカーディナル様の漆黒の髪が良く似合っていていつも以上に格好良くて思わず見惚れてしまう。
「ん?どうかしたか?」
「.....その.....カーディナル様が凄く格好よくて見惚れてました」
言いながら頬が染まる。
「ありがとう。ルテウスも良く似合っていて可愛いな」
「ふぁぁっ!」
カーディナル様が満面の笑みでの僕の前に立ち、頬を指でひとなでする。
「今日は私達の結婚発表でもあるから、もしかしたらロティスが絡んでくる可能性もある。ロティスには私達の事はまだ伝えて居ないからな」
「え?そうなんですか」
「ああ。今日大勢の貴族達の前で発表した方が馬鹿な真似は出来ないだろう?」
第二王子と言う立場を理解していたら絶対に馬鹿な事は出来ない筈だ。納得するしかないのだから。
「.....大丈夫でしょうか?」
「うん。だからルテウスは絶対に私から離れないように」
「わかりました!僕、何があってもカーディナル様から離れません!」
ぐっと両腕に力を入れて握りしめるとカーディナル様が僕の緊張を解すためか唇にチュッとキスをしてきた。
「カカカ....カーディナル様っ!」
「ふふふ。ルテウスは本当に可愛いな」
さぁ本当に行こう、間に合わなくなると言ってカーディナル様と一緒に急いで馬車に乗り、王宮へと向かった。
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