上 下
13 / 60
第一章

13:招待状

しおりを挟む
王妃様のお茶会が終わった日から少しして、僕に一通の招待状が届いた。

それはリコリス公爵家のオーレア様とトラウビー様からだった。簡単にまとめると、公爵家に遊びに来ませんか?と言う事だった。

でもこれ実質おっけーの返事しかないやつじゃない?公爵家から招待されて断るなんて出来ないよね?

夕食の席でお母様がお父様やお兄様達にその話をしたからちょっとだけ大騒ぎになった。

「ルーちゃん凄いじゃない!リコリス公爵家の子達と仲良くなったなんて!?」

お姉様が一番はしゃいでいた。....なんで?
不思議に思っているとお兄様が教えてくれた。

「ルーは知らないかもしれないけど、リコリス公爵家の人達は余程気に入った相手じゃないと屋敷に招待しないんだよ」
「えっ??」

気に入った相手じゃないと屋敷に招待しない?

「....でも僕に招待状来ましたよね?」
「だからルーちゃんが気に入られたって事よ!流石私の可愛い弟ね!リコリス公爵家にもその可愛さがわかる人が居たんだわ!」
「お茶会でルーちゃん、ずっとリコリス公爵家の子達とお話してたものね?他の家の子達が皆、第二王子殿下の方へ行ってたから誰ともお話出来ないんじゃないかと心配してたのよね。公爵家の2人がルーちゃんに話し掛けてくれて良かったわ」

お母様が嬉しそうに僕を見る。確かに僕は自分から人に話し掛けるタイプではないから話し掛けられなかったら一人でお茶をしてたかもしれない。
きっとその前に会ったカーディナル王弟殿下との薔薇園でのお散歩を思い出しながら浸っていたかもしれない。

.....もう一度逢いたいな....またねって言ってくれたから逢えるよね?それとも社交辞令ってやつかもしれない....

そんな事を考えてしまって思わずしゅんとしてしまうと、そんな僕を目敏くお兄様が気が付いてしまったみたい。

「ルー、急に元気がなくなってどうしたんだ?」
「な、なんでもないです」

慌てて否定するが何でもお見通しのお母様がそこには居たからすぐに僕の考えてる事なんてわかってしまう。

「うふふふ。ルーちゃんは今日出会った王弟殿下の事が気になるのよね!ルーちゃんの初恋かしら?初々しいわ~」
「「「な!?」」」

お兄様だけでなく、お父様とお姉様まで驚いて立ち上がる。

「あらあら、お食事中に立ち上がるなんて行儀が悪いわよ?」
「す....すまない」
「「....ごめんなさい」」

お父様もお兄様もお姉様も慌てて謝罪を口にして座るが、挙動不審な動きをしている。

「んんっ!....その、ルテウス」
「はい?」

いきなり畏まってお父様が話し掛けてくる。

「王弟殿下とはカーディナル王弟殿下の事かな?」
「....えっと、王弟殿下がほかにいないなら間違いなくカーディナル様です!」
「そ、そうか.....そのお母様が言ったのは本当なのかな?初恋とか.....?」

初恋.....はつこいってなんだっけ....?
はじめてのこい....こい.....恋!?僕が!?

意識してしまうと顔が真っ赤になってうつ向いてしまった。

え?そうなのかな??僕、カーディナル様のことそんな意味で好きになったのかな??

「.....くっ.....!」
「....でもこのぐらいの年齢って年上の人に憧れるものだと思うわ!第二王子の婚約者にって言われるよりマシだと思うもの!」

お姉様が聞きようによっては凄い不敬な事を言ってる気がする。

「まぁ、そうだな。僕もそう思うよ。お父様もそう思わない?」
「....それは、まぁ」
「あらあら。第二王子殿下は我が家では不人気なのね.....まぁ気持ちはわかるけど。友人の子だし、王族だから言わないけれど....ルーちゃんは勿体無いわよね」

まさかのお母様までが参戦した。お母様、貴女の友人の子供じゃないの?確かに僕もあまり仲良くしたいって思わなかったけど.....。

「まぁ王弟殿下の事は置いておいて、ルーちゃん流石に公爵家からの招待状はお断り出来ないからお茶会には参加で返事を出しておくわね?」
「はい。僕もオーレア様とトラウビー様に会うのがたのしみです」
「良いお友達が出来て良かったわね」


それから一週間後、僕はひとりで公爵家にお邪魔する事になった。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版)

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

処理中です...