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第一章

3:神様は美人さんでした

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『問題は雫さんなのです』
「僕....ですか?」
『はい。実は雫さんはここで死ぬ運命ではなく、まだまだ寿命が沢山残っているんです。ですが私の部下のミスで川底に穴が空いてしまいまして...』

神様は凄く言いづらそうに話すが、それでも僕から視線を外さずに説明を続けてくれる。

『その穴に雫さんが落ちてしまいまして、亡くなられたのです....私が気がついた時には既に遅く、もう雫さんを生き返らせる事も出来なかったのです....本当に申し訳ありませんでした』

神様はそう告げて頭を下げた。でもそれって神様が直接の原因ではなく、部下の人?のミスなのに。

『部下のミスは私のミスも同じですから』

そう言いきれる神様は凄く良い神様なんだと思う。それにもう死んでしまったのを言っても仕方がないと思うし、正直この世界に....と言うか、あの家族に未練は一切ないから別に構わないと言うか.....。

『それでここからが本題なのですが、雫さんは異世界に興味はありますか?実は私が管轄している世界は他にも沢山ありまして、その中に貴殿方地球人が異世界と呼ぶ世界もあるのです』
「異世界.....」

って、あのラノベやアニメの世界みたいな所だよね!?じゃあまさか魔法とか錬金術とかもあるのかな?

『勿論魔法も錬金術もある世界です。今回のお詫びにその世界に転生しませんか?勿論、日本での雫さんの記憶も残るようにしますから子供時代から所謂ちーと?でしたか?あれも今回のお詫びに附与させて頂きますよ』
「僕が異世界に」
『はい。私は雫さんに次の世界で幸せになって頂きたいのですよ』

幸せに....僕が.....?

「....幸せになれるでしょうか?」
『雫さんならきっと大丈夫です』

ならどうして月宮 雫は幸せになれなかったんだろうか?

『.....それは貴方のお父上の再婚された女性の欲が貴方が幸せになる為の幸運を凌駕する程に強かったからです。時に人の欲は他人の幸福を包み込み駄目にしてしまうのです』

そうか....義母が....。

『あの女性の居ない世界ならば貴方は幸せになれます。今回は神である私が保証します....幸せになって下さい雫さん』

ああ。こんなにも僕の幸せを望んでくれる誰かが居るのか。

次の世界では幸せになれるのなら....。

「わかりました。僕は異世界に転生して今度こそ幸せになれるよう頑張ります」

もう少しだけ頑張ってみようか?

『....では貴方には貴方の世界では異世界と呼ばれる世界へ転生させます。この世界には貴族階級があり、貴方は伯爵家の次男として産まれますよ』
「伯爵家の次男」
『はい。ちーと部分は私にお任せ下さい。雫さんの記憶が戻ったら"ステータスオープン"と言えば自身の現在のステータスを見ることが出来ますからね』
「はい、ありがとうございます。でも余りチート過ぎると逆に生きにくくなりませんか?」

貴族階級があるなら当然王族も居るのだろう。変に目を付けられて王族に縛られて生きるのは本末転倒になりそうな予感しかしない。

『そうですか?でも無いよりはあった方が何かしら役には立つと思いますよ?要は他人に解らないように隠匿のスキルも付けておきますので大丈夫ですよ!』
「はぁ.....それなら大丈夫....なのかな?」
『ええ、大丈夫です。では雫さん、準備は良いですか?次に産まれてくる時は幸せになって下さいね。教会に行けば私ともコンタクトを取れるようにしておきますので、記憶が戻ったら暇な時で構いませんので顔を見せに来て下さいね』

ニッコリとそう言って微笑んでくれた神様。

それが僕、月宮 雫の最後の記憶だった。



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