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七章 決戦

8話 依頼の最中で

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ミリーナ達が出ていくのを見送った後、俺たちはクエストボードに寄った。

「なんかねえかなぁ」
「ここで依頼を見つけるの?」
「ああ、今回はSSSランクがいるから基本どのクエストにでもいけるぞ」
「ふーん。……じゃあこれなんかは?」

そう言って、翔也が見つけた紙にはこう書かれていた。

ーーーーーーーーーー
ワイバーンの巣を殲滅
討伐ランク:S
概要:リーネフの森にワイバーンの巣を発見した。数は不明。
報酬:ワイバーン1匹につき1万toss
ーーーーーーーーーー

なんかどっかで見たことがあるんだが……どこだっけ?。まぁ覚えてないからいっか。

「俺は構わないが、橙里はこれでいいか?」
「僕はなんでもいいよ」
「じゃあ、これ受けようぜ!」

翔也がそう言って受付の方へと走って向かった。

「お姉ちゃん!これお願い」
「はい。依頼ですね。少し拝見します……あの、ごめんね僕。これはSランク以上の依頼になるから今の僕じゃまだ受けれないの」

なんてことを言われてしょぼくれてしまった。仕方ない弟だ。

「すまない。弟が先走ってしまってな。俺がいるから問題ないだろ?」

おれはそう言いながら自分の冒険者カードを出した。

「SSSランク!?ちょ、ちょっと待っててくださーーい!!」

受付の人はそう言いのこして「ギルドマスター!!」と言いながらどっかへ行ってしまった。

「忙しそうだね」
「俺が来たらいっつもなんだけどな」
「それはつまり、全部こうきにいちゃんが悪いってことか」
「……まぁ、そういうことになるな」

翔也が言ったことで少し罪悪感が生まれたが、勝手に騒いでるのはあっちの方なのでおれは悪くないと思う。俺は悪くないのだ……多分。

5、6分椅子に座って待っていると息を切らしたさっきの受付の人と優男な感じのイケメンが出てきた。

「えっと、君がSSSランクの方かな」
「ん?そうだがなんだ?」

俺は一応ギルドカードを見せながらそう答えた。

「いや、確認できただけでいいよ。今日は何の用があったんだい?」
「ちょっと弟達の訓練にな」

俺はそう言って両隣にいる橙里と翔也の背中を叩いた。

「そういうことですか。でしたら少し気をつけてください」
「なんかあったのか?」
「ええ。最近リーネフの森の魔物が活発化してきていて危険度が上昇しているんです。この間もSランクの冒険者がその森に行ってまだ帰ってきていません」
「ふーん。まぁあんまそういうの気にしないから。そんじゃあ行ってくるな」
「そうですか。では気をつけて行ってください」

俺はギルドから出る前に森の場所をギルマスに聞いてギルドから出た。


閑話休題


しばらく歩いて森に着いた。歩くと行っても、場所が俺たちが降りた森だったから戻ったというのが正しいのかもしれない。

「そんじゃあまずは敵を見つけることからだな。やり方はいろいろあるが……お前らはどうやって探す?」
「僕は魔力の波を作って探すよ」
「俺は強い奴の魔力を感じるかな」

魔物を見つけるのに方法はたくさんあるが、2人が言ったのは基本的な見つけ方だ。
魔力の波というのは、体の中にある魔力を薄く周りに広げることでその魔力に引っかかったものの姿を大まかに捉えることができる。
魔力を感じるというのは、瞑想に近い形になり、周りの魔力を感じることで、近くにいるものの全ての魔力を感知することができるのだ。

「わかった。じゃあ俺は基本、手を出さないからあとは2人で頑張ってくれ。危なくなったらすぐに助けるからな」

俺はそう言って、一瞬で姿を消した。

2人は早速、さっき言った方法で魔物を探している。
ちなみに俺は上空で気配を消して浮いている。

「なぁ、翔也」
「ん、なに?」
「勝負しない?」
「勝負?」

2人とも魔力を感知できたのか、やる気満々だった。だが、魔物を狩る前に橙里から翔也にそう提案された。

「うん。どっちが多くの魔物を倒せるかって奴なんだけど……どう?」
「面白そうじゃん!いいよ!」
「よし!じゃあ、ヨーイドン!」
「あ、ずりい!」

言うが早いか、橙里は一直線にワイバーンのいる方角に走って行った。なぜ俺がワイバーンの居場所を知ってるのかと言うと、『判別』で国を出る前からどこにいるかがわかっているからだ。
翔也も急いで橙里のあとを追っているが、もともとのステータスの差か橙里の方が若干速く少しずつだが距離がひろがっていた。

「どうした~翔也。もうへばったのか~」
「橙里にいちゃんが早すぎんの!」
「翔也が遅すぎんだよ」
「橙里にいちゃんが最初にズルしたじゃん」
「予測できないのが悪い」
「まずステータスの差がありすぎるのにここまでついてこれたのを褒めて欲しいんですけど!」
「しーらなーい」

目的地である洞窟のすぐそばまで来た2人はそんな軽い言い争いをした後何かを感じ取ったのか口を閉じた。

「……今の感じたか?」
「うん。なんかさっきより強くなってる気がするんだけど……」

2人はここに来る前に探っておいた魔力が急に大きくなっているのを、瞬時に感じ取っていた。

「どうする?勝負とかいってらんないかもしれないけど」
「勝負とかどうでもいいから生きて帰りたい……」

翔也がそう涙ぐむが、それほどまでに魔力の桁が違っていた。

「ワイバーンって……こんなだっけ?」
「絶対違うでしょ……」
「とりあえず、頑張ろう!」
「もうやだよー……」

翔也がそんな泣き言を言うが、橙里が手を握ってやり2人で洞窟に入って行った。

ーーーーーーーーー
作者より。
ここで自分の大きなミスを報告します。
あのですね、3話か4話あたりで雫がアストの部屋を訪れる予定だったんですが……すっかり忘れてました。
今度その話を作るんで許してください!
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