上 下
140 / 250
四章 武魔闘技全国大会

20話 雫の価値

しおりを挟む
俺は残った1人と向かい合った。

「今まで世話になったなぁ」
「はっ!殺すなら殺しやがれ」

そう煽ってきたのは俺がこの力を手に入れる最もな理由を作った男藍沢あいざわ 響紀ひびきだ。

「今、お前に聞く。なぜ雫だったんだ」
「雫……あーアイツか。お前の妹だっけか」
「早く言え」
「ただ俺が気にかけていたんだよ。そん時に雫を売ってやるってやつがいたんだ。そいつから俺は雫を買った。だから、アイツは実質俺のもんだったんだよ。なのにアイツはお前と帰って俺にはなんの興味もしないでやがる。そんで気晴らし程度に遊んだのさ」
「⁉︎……」

俺はコイツが金で雫を買ったと言うフレーズと雫を売ったと言うフレーズに反応した。

「…………雫を……いくらで買ったんだ」
「あん時は……600万ぐらいか。俺が雫を気にかけていることを知った父さんが協力してくれたよ」

俺は今すぐにでもコイツを殺したかったが一番聞かなくてはならないことがあるため奥歯を噛み締めながら踏みとどまった。

「…………それで、売ったのは誰なんだ」
「……………………」
「誰だと聞いてるんだ!」
「…………や」
「あん?」
「お前の父親だってんだよ!」
「…………は?」

俺はその言葉を聞いて頭がフリーズした。

父親?何言ってんだよ……俺と親父には生みの親っていうぐらいしか接点がないのに……なんで親父が雫を……なんで……なんでなんでなんでなんでなんでなんで!俺たちを置いて消えて言ったくせに!育てもせず全てを母さんに押し付けたくせに!自分は一丁前に親父を装って雫を売っただと……殺す!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!雫を売って全ての元凶を作り出した……クソ親父をぶっ殺す!。

「確か、その雫を売った金な。お前の母親の方にもわたってるらしいぞ」

俺はその言葉を聞いてまたフリーズしてしまった。

母さんまで……なんなんだよ……なんなんだよ!みんなにとって雫は一体どれだけの価値があったんだよ!そこらの石ころ程度だと思ってたのかよ!クソったれが!雫は俺の……俺の唯一の……血の繋がった妹なのによ……クソ、クソ……雫の存在意義すら、あの世界にはなかったってのかよ。
雫……また、会ったら今度は俺が……お前の居場所になってやる。だから、だから母さんだけは恨まないであげてくれ。雫のお金を貰ったとしてもきっと母さんなら俺たちのために使ってくれただろうから。

「あとな、面白いものもあんだよ。お前の母親な、その金を使ってホストに言ってんだわ。娘を売ったお金でホストとか最悪だな!まぁ聞いた俺にとっちゃ最高に面白かったがな!」

俺はもう聞きたくなかった。
母さんはネットに晒されたり職場を失いながらも頑張って俺たちを育ててくれたってのに……。

「それにな、雫の遺産は雫を買った俺のところにほとんど来たんだがな全部燃やしてやったよあんなの」
「もう…いい」

俺は無感情にそう一言言って目の前の首を切り落とした。

終わった……コイツらへの俺の復讐は……だが!まだ全部が終わった訳じゃない。

絶対に……絶対にアイツらを殺す!

俺がそう心に決めたのも束の間、俺はいきなり気を失ってしまった。

そして、再び眼を覚ますと。

「ズズー、お、起きたか」

そこは、最高神ガイア様と初めてあった茶の間だった。

ーーーーーーーーー
作者より。
今日は始業式だけだったのでこの時間に更新できました!
これからは学校が始まるので夜更新になりそうです。
ですがこれからも変わらず頑張って更新するので応援よろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。

晴行
ファンタジー
 ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...