上 下
72 / 250
二章 学園生活

23話 園外学習スタート

しおりを挟む
俺は子供の姿に変わった後、森から馬車の方に戻って行った。

そこは別れた時と全く変わらない状態で、生徒たちはみんな怯えていてカードルさんたちはその生徒たちを慰めていた。

「カードル先生。戻りました」

俺はカードル先生がいるところに移動してそう告げた。

「帰ってきたか。ガキどもがずっと不安がっててな、今回は一回国に戻った方が良いかも知れん」
「大丈夫です。このまま続けましょう」
「いや、そう言ってもなぁ。この通り全員精神的に疲れてるからさ」
「なら回復するだけです。精神範囲回復マインドレインジキュア

これは光魔法の一種で、精神の異常を範囲で回復させる能力がある。

俺がこれをここにいる全員を対象に使うと、青ざめていた生徒たちが元気を取り戻した。

「すげー」
「これで問題ないですね。では行きましょう」
「お、おう。目的地はもう直ぐだからもう少し我慢しろよー」
「「「「ハーーイ」」」」

みんなさっきとは一変して笑顔になっている。

「坊主、なんで国に戻らないんだ?。国はまだ近い方だし、わざわざ魔法を使うこともなかったろ」
「それなんですが……学園は信用できなくなりました」

俺は黙秘をしようかとも思ったが変に怪しまれては困るからそう言った。

「何かあったのか?」
「ええ。なので今は国に戻っても危険な可能性があります」
「何がどうなってるのか詳しく聞きたいが……俺たちにはどうしようもないんだろ」
「まぁ……そうですね。相手が何をしでかすかも分からない状態ですから」
「まぁ俺はガキどもが笑ってりゃあそれで良いんだけどな」

カードル先生はそう言いながら後ろの馬車を眺めた。

「なら、守ってあげてくださいね」
「当たり前だ。ガキどもは俺が死んでも守り通してやるよ。まぁ坊主には助けられっぱなしだけどな」
「気にしないでください。僕にはその力があるんです。できることは全力でやります。ですが……優先順位は決まってます」
「そいつが襲われてたら他の襲われている奴を切り捨ててそいつを救うってか」
「はい。守ると決めたならそのために必要なもの以外は全て捨てます」
「……そうか」

俺がそう言うとカードルさんは軽く返事をして黙りこくってしまった。
気まずい雰囲気が漂っていたが、少しすると普通に会話ができるぐらいには良くなった。
しばらく進んでいるとやっと目的地に着いた。

「よし、着いたぞ!。ここから俺たちは手出しをしない。どうしてもと言う時は別だが基本は団体で行動するように。じゃあ最初はテントを建てていけ。終わったら一度俺のところに集まれ。じゃあ始め!」

カードルさんがそう言うと、生徒たちは前もって作っていた班で固まってテントを設置して行く。

そうして、俺たちの学園外学習が始まった。


~学園長side~

「今頃あの子たちはどうしてるかしら」

学園長はそう呟きながらワインを片手に窓の外を眺めていた。

「私を脅迫した報いは受けてもらうわ。アラストール君」
「せいぜい、足掻いて死んでしまいなさい。結構な額はあげたし、しっかりやってくれるでしょう。強いといっても、多勢に無勢では意味ないのよ」

学園長はその言ってグラスのワインを飲み干した。

「私の手で仕留めれないのは悔しいけど、まぁ死んでくれるのはいいかしらね。
さようならアラストール・エリーニュス君。ふふふ」

学園長はそう言って不敵な笑みを浮かべるが、彼女が後に地獄を見るのはアストしか知らなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~

夢幻の翼
ファンタジー
 典型的な社畜・ブラックバイトに翻弄される人生を送っていたラノベ好きの男が銀行強盗から女性行員を庇って撃たれた。  男は夢にまで見た異世界転生を果たしたが、ラノベのテンプレである神様からのお告げも貰えない状態に戸惑う。  それでも気を取り直して強く生きようと決めた矢先の事、国の方針により『ステータスプレート』を作成した際に数値異常となり改ざん容疑で捕縛され奴隷へ落とされる事になる。運の悪い男だったがチート能力により移送中に脱走し隣国へと逃れた。  一時は途方にくれた少年だったが神父に言われた『冒険者はステータスに関係なく出来る唯一の職業である』を胸に冒険者を目指す事にした。  持ち前の運の悪さもチート能力で回避し、自分の思う生き方を実現させる社畜転生者と自らも助けられ、少年に思いを寄せる美少女との恋愛、襲い来る盗賊の殲滅、新たな商売の開拓と現実では出来なかった夢を異世界で実現させる自由気ままな異世界生活が始まります。

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】 僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。 そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。 でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。 死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。 そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

処理中です...