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勇気をだし一歩を踏み出します!

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――私は一体どうしたいんだろう。何を望んでいるのだろうか?

 メリーナが去ってから、アメリアは常に自分に問いかけていた。
 侯爵邸に引き取られてから、我慢して自分の心に嘘をつき続けることに慣れっこになっていたせいか、自分の心を見ないようにしていた。それに傷つくことも怖い・・

だから、本当の私は何を望んでいるのか・・自分の本心にずっと蓋をし続けていた。

 私のお母様は侯爵家の令嬢として生まれ育ったが、周りの反対を押し切って医師になり、
 そして留学先の隣国でお父様と出会い、駆け落ち同然で家を飛び出しお父様と一緒になったのだ。

 フェルナンド様も日頃の心底呆れるような行いはともかくとして・・真実の愛に生きると言って婚約破棄騒動を起こしたのだ。
 でも、メリーナさんの話から察するに二人の仲は破局・・
 おそらく、これからも彼は真実の愛とやらを探すのだろう。私にはどうでもいいことだが・・
 とにかく婚約破棄をしてくれたことに本当に感謝しているし、今は清々しい気分だ。それでも、ボコボコのタコ殴りにしたことはちょっと反省はしている。

 メリーナさんも自分の心に忠実に生きている人。言っている意味はたまに・・ん?と意味不明なところもあるが、周りの目を気にせず正直に生きる姿勢はちょっと羨ましくもあった。
 その執念で、将来は素敵な人を射止めることだろう。

 人を愛するというのは人を惑わし破滅に至ることもあるけど、ときにはとてつもない力を発揮するのかもしれない。

 アメリアは明日の準備をしながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
 日中の診療も終わり、夕方になると明日に使う薬と医療品の準備をしてから家に帰るのがアメリアの日課になっていた。
 けど今日は違うのだ・・!本当は怖いけど、勇気を出して聞いてみようと思う。もしダメだったら・・旅に出ればいいんだ。そんな決意を心に秘め・・

 明日の準備も終わり、セルフィスと二人っきりになるとアメリアは意を決して言葉にする。

「セルフィス様、とても大切な話があります!少しだけ・・お時間を頂けないでしょうか!!」
「・・! ・・わかりました。どんな話でしょうか?」

 急に大きな声をだされセルフィスは驚いて目を丸くする。そして静かにアメリアの方を向いたのだ。

「・・・!!」

 ただ・・それだけの仕草なのに、アメリアは不覚にも心臓がどきどきして、顔まで赤くなってしまったのである。
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