15 / 16
勇気をだし一歩を踏み出します!
しおりを挟む――私は一体どうしたいんだろう。何を望んでいるのだろうか?
メリーナが去ってから、アメリアは常に自分に問いかけていた。
侯爵邸に引き取られてから、我慢して自分の心に嘘をつき続けることに慣れっこになっていたせいか、自分の心を見ないようにしていた。それに傷つくことも怖い・・
だから、本当の私は何を望んでいるのか・・自分の本心にずっと蓋をし続けていた。
私のお母様は侯爵家の令嬢として生まれ育ったが、周りの反対を押し切って医師になり、
そして留学先の隣国でお父様と出会い、駆け落ち同然で家を飛び出しお父様と一緒になったのだ。
フェルナンド様も日頃の心底呆れるような行いはともかくとして・・真実の愛に生きると言って婚約破棄騒動を起こしたのだ。
でも、メリーナさんの話から察するに二人の仲は破局・・
おそらく、これからも彼は真実の愛とやらを探すのだろう。私にはどうでもいいことだが・・
とにかく婚約破棄をしてくれたことに本当に感謝しているし、今は清々しい気分だ。それでも、ボコボコのタコ殴りにしたことはちょっと反省はしている。
メリーナさんも自分の心に忠実に生きている人。言っている意味はたまに・・ん?と意味不明なところもあるが、周りの目を気にせず正直に生きる姿勢はちょっと羨ましくもあった。
その執念で、将来は素敵な人を射止めることだろう。
人を愛するというのは人を惑わし破滅に至ることもあるけど、ときにはとてつもない力を発揮するのかもしれない。
アメリアは明日の準備をしながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
日中の診療も終わり、夕方になると明日に使う薬と医療品の準備をしてから家に帰るのがアメリアの日課になっていた。
けど今日は違うのだ・・!本当は怖いけど、勇気を出して聞いてみようと思う。もしダメだったら・・旅に出ればいいんだ。そんな決意を心に秘め・・
明日の準備も終わり、セルフィスと二人っきりになるとアメリアは意を決して言葉にする。
「セルフィス様、とても大切な話があります!少しだけ・・お時間を頂けないでしょうか!!」
「・・! ・・わかりました。どんな話でしょうか?」
急に大きな声をだされセルフィスは驚いて目を丸くする。そして静かにアメリアの方を向いたのだ。
「・・・!!」
ただ・・それだけの仕草なのに、アメリアは不覚にも心臓がどきどきして、顔まで赤くなってしまったのである。
1
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説
話が違います! 女性慣れしていないと聞いていたのですが
四季
恋愛
領地持ちの家に長女として生まれた私。
幼い頃から趣味や好みが周囲の女性たちと違っていて、女性らしくないからか父親にもあまり大事にしてもらえなかった。
そんな私は、十八の誕生日、父親の知り合いの息子と婚約することになったのだが……。
この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私はあまり大切にされず育ってきたのですが……?
四季
恋愛
この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私、これまであまり大切にされず育ってきたのですが……?
自分の家も婚約した相手の家も崩壊の危機だと分かったため自分だけ逃げました
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
ミネルヴァは伯爵家に養女として引き取られていたが、親に虐げられながら育っていた。
侯爵家の息子のレックスと婚約させられているが、レックスの行動を見て侯爵家は本当は危ないのでは?と嫌な予感を抱く。
調べたところレックスの侯爵家は破綻寸前であることがわかった。
そんな人と心中するつもりもないミネルヴァは、婚約解消をしようとするがどうしても許してもらえないため、家と縁を切り自分だけ逃げることにした。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
僕のお姫様~愛情のない両親と婚約者に愛想を尽かして婚約破棄したら平民落ち、そしたら目隠しをした本当の末姫に愛された~
うめまつ
恋愛
もう我が儘な婚約者にうんざりだ。大人しかった僕はとうとうブチキレてしまった。人前で、陛下の御前で、王家の姫君に対して大それたことを宣言する。
※お気に入り、栞ありがとうございました。
※婚約破棄の男視点→男に非がないパターン
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる