マギアクエスト!

友坂 悠

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円環の昇華。

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 金色の粒子が奔流となり、レヒトの体にまとわりついた。
 だんだんと、溶けるように。
 彼の体が薄くなっていく。

 浄化、だけれど、それだけじゃない。
 その本質を、レイスそのものを大霊グレートレイスに還して。
 そして。
 円環サークレットリンカネーションの輪に戻すのだ。

 ガガガガ
 と、まるで壊れたテレビの画面のように滲んでいくレヒト。

「嫌だ! 嫌だ! いやだいやだいやだ!!!」
 頭を振ってその奔流から逃れようともがく。

「嫌だ、このまま消えるのは、嫌だ!」

 そう叫ぶレヒトに。

「消えるんじゃない。兄さんはやり直すんだよ」

 そう、声をかけるノワ。

「やり直す……?」

「ああ、きっと、最初からやり直せる。俺はそう信じてる」

 大霊グレートレイスに溶け、そうしてもう一度真新しいレイスとしてやり直す。
 輪廻転生の輪に、円環の輪にもう一度そのレイスを戻して。

「そうか。ありがとう、ノワール……」

 最後には、そうして穏やかな顔になって逝ったレヒト。

 あたしも、信じてる。
 レヒトはきっと、本来の穏やかな性格のそんなレイスとして生をやり直せるって。



 金色の奔流が収まったとき。

 そこにはただ、静寂が残っていただけだった。

 あたしはノアと手を繋いで、この場所から降りていく。
 ゆっくりと、ふんわりと。
 羽を広げ、地上へと・・・


 ⭐︎⭐︎⭐︎


 お日様が昇ってきた。
 朝日がゆったりと辺りを照らし始める。

「終わったの?」

「ああ。終わったな」

 あたしは隣にいるノワの肩に、コツンと頭を乗せた。

「ねえ、ノワ。あたし」

「ああ、マキナ」

「あたし、この世界であなたのために生きたいの。ずっと隣にいることを許してくれる?」

「もう、だから。そういうことは俺の方から言わせて欲しい」

 ノワは、あたしのおでこにそっと唇を寄せて。

「俺は、君を、一生かけて守る。誓うよ」

 そう優しく言った。

 朝日が照らす彼の顔は、とっても綺麗で。

 あたしはますます彼のことが好きになったのだった。
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