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転生皇女。

二人で……。

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 ……元々この体はわたくしのものであったはずなのに。

 ……転生の魔法でこの時代に生まれ変わるはずだったのです。

 ……でも。気がついたら貴女がわたくしより先にこの体に転生していて……。

 あうあう。カッサンドラさまの声がする……。

 ……ああ、やっとわたくしの声が貴女に届いたのですね……。


 ああ、そうみたい。っていうかなに?

 転生のバッティング?

 そんなことあるの?


 ……何度も貴女に声をかけてたのですけど、今まで気がついて貰えなくて……。

 ああ、なんだかかわいそうになってきた。。

 ……せめて、と、予感のイメージを送ったりしていたのですけど……。

 え? もしかして今までの悪い予感って、あなただったの? 

 ……そうです! この身体が傷つくのは回避しなければ、と、必死でしたよ。

 そうだったんだ。ごめんなさい。と、ありがとうございますカッサンドラさま。

 でも、なんで急に声が聞こえるようになったんだろう?

 ……祭壇の聖杯のおかげでしょうか。あれにはわたくしが生前に力を込めておきましたから。代々の預言者への指針も残しておきましたし。

 ……貴女とわたくしが繋がるキッカケになったんだと思いますよ。

 そっか。

 に、しても。カッサンドラさまはこの身体を操ったりは出来ないの?

 ……今までは……、出来ませんでしたね。この先は、もしかしたら出来るようになるかもしれません。貴女がわたくしのチカラを受け入れてくれれば、可能かもしれません。

 なら……。試してみます?

 わたしはさっきの聖杯の光の真っ白なイメージを思い出す。

 こころの中の深いところ、そこにあの白いイメージがあるような、そんな気がして。

 自分の中に潜る。


 ああ、ここに来るのは何度目だろう?

 わからないけどきっと何度か来たことあるはず。なんだか懐かしい。

 わたしは自分の中の、インナースペース? 昔お話でよく読んだそんな言葉が出てきて、そこにたどり着いたのだろう。

 そこは真っ白な空間。何も無いようにもみえるけど、何かがある気配がする。

 意識を集中していくと、そこに、サーラの姿が現れた。

 貴女が……カッサンドラさま?

 その少女は微笑み頷いた。

 彼女がサーラ? だとしたら、わたしは?

 わたしの意識は……、記憶の中にある見覚えのある手、足。顔にかかる髪。

 やっぱりわたしは瑠璃の姿なのか。



 ひょっとして、わたしの方が、邪魔者、なのか……。




 涙が溢れて止まらない。


 ここは精神世界みたいなものだから肉体的にどうこう、じゃないけど。

 涙が止まらない、の。

 今までのサーラとして生きてきた存在すべて否定された気がして。

 わたしは、生まれ変わった事さえ、間違い、だったのか、と。


 悲しくて悲しくて。自分がもう情けなくて。いなくなってしまいたくて。

 ああ、この気持ち、あの時と一緒、だ。

 亜里沙ちゃん。

 やっぱりわたし、生きてちゃいけなかった。

 悲しい。

 もう。

 消えてしまいたい……。



 ……待って、サーラ。そんな風に自分を追い込まないで。

 サーラって、あなたの事なんでしょう? カッサンドラさま……。

 ……いいえ。サーラとして生きてきたのは間違いなく貴女です。確かにサーラの姿はわたくしと似ています。それはわたくしが自身の血族に生まれ変わるよう転生の魔法をかけたのでそう準備されたからであるのは間違い無いのです。でも、サーラとしてのこの8年間の人生は、貴女のものなのですよ。

 ……このサーラとしての8年はわたくしではありません。貴女、ですよ。自信持ってください。



 目の前のサーラの姿をした少女はそう言うと、わたしの涙をそっとぬぐい、そして、わたしを抱きしめた。

 ……貴女はサーラ、です。わたくしがそれを肯定します。ごめんなさいね。貴女にそんな悲しい思いをさせるつもりはなかったの。

 ううん。カッサンドラさま。わたしが転生しちゃったおかげで、今までずっと何もできない状態だったなんて、わたしだったら多分耐えられない。それなのに、ごめんなさい。ありがとうカッサンドラさま……。

 ……二人で、生きていきましょう。サーラ。貴女とわたくし、二人で。

 うん。ありがとうカッサンドラさま。わたし、……。うん。二人で……。



 ああ。なんか、救われた、気がした。

 前世からずっと引きずってきた気持ち、みんな。
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