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第5章
66.女神見習い、少女と買い物を楽しむ(3)
しおりを挟む「あ、そうだリディ。ちょっと商業ギルドに行ってもいい?」
「……ん、いいよ」
~商業ギルド~
「こんにちはー」
「あら、エナさん。こんにちは」
「あ、こっちはリディとその従魔のブランです」
「……はじめまして」
「それとポーション持ってきたんですが……」
「はじめまして。早速ポーション持ってきてくれたんですね? 嬉しいです。昨日、アレも入荷したのでご用意しますね」
「ほんとですか? 楽しみにしてたんですよー」
お茶がもう入荷してたなんてっ。なんでグッドタイミングなんだっ。わーいわーい。
「はい、こちらが例のお茶です……ひと月に1度入荷する予定ですので、これからもポーションお願いしますね?」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
わーい、これで美味しいお茶が家で飲めるねー。ジャムを落として飲んでみたいし……
商業ギルドではブランよりもリディよりも私に視線が集まっている気がする……なんでかな? はっ、もしや前回の騒ぎが噂になってるとか……
そそくさと商業ギルドを後にすることにした。
「ふぅ……これで、美味しいお茶が飲めるようになったね」
「ん、楽しみ……」
あとは街をぶらぶらしつつ、冬に向けてストールや重ね着できる服、雑貨屋ではリディのナイフとナイフホルダー、背負い袋、毛布、水袋、火打石、ロープなどの新人冒険者が持っていそうなものもひと通り購入。
ブランの羽を仕舞っておく入れ物、今回のジャム作りであったら便利だと実感したザルと木ベラ、ジャム用の瓶などを諸々購入した。
リディは野菜の種や苗をいくつか買っていた。育てるのが楽しいのかな?リディ用のスペース作ったほうがいいかな……ま、私としては野菜畑はリディの好きにしてくれていいんだけどね。
いつものお兄さんとお姉さんの屋台で昼食を買い食いしたり……すっかり顔を覚えられてて、おじさんもお兄さんて呼ばないと反応しない徹底ぶりなんだよ、はぁ。
リディは買い食いも初めてみたいで楽しそう。少し買いすぎた気もするけど、余ったらストレージに入れておくので問題ない。
あとは砂糖やはちみつを探して購入したり……ちょっとお高めだったよ。でも、甘くて美味しいジャムのためだから仕方ない。
パンはいつものパン屋さんで少し贅沢な柔らかめなパンをたくさん購入……だって柔らかいほうがジャムに合いそうなんだもん!
一応、ブランには外で待っててもらうことにした……食品を扱ってるお店だし、何より魔物に慣れてないみたいだったから。
だけどブラン……窓に張り付いてを店内をうかがうとか怪しさ満点だから。
このままじゃブランが誰かに討伐されてしまいそうなので素早く買い物を済ませた。
ちなみにジャムパンとか惣菜パンはなかった……美味しいのにこの街で見たことないな。というか、そもそもあるんだろうか……
看板娘ミリアさんと強面お兄さんの進展具合を聞きたかったと思いつつ、黄金の羊亭へ戻る。
~夕方、黄金の羊亭にて~
そして、リディとミーナ初対面。
「こんばんわ」
「エナお姉ちゃん、いらっしゃい!」
「ミーナちゃん……えっと、この子はリディとブランだよ」
「リディ、こちらはミーナちゃんでカーラさんの妹なんだよ」
「ん……はじめまして」
「はじめまして、ミーナだよ!よろしくねリディちゃん!」
「ん、よろしく」
おおー、ミーナちゃんの社交性がリディにも発揮されている。リディも緊張はしてるけど嫌そうじゃないから……様子見かな。美少女2人が並ぶと一気に絵になるなぁ……あ、親父さんまでガン見してる……
「ミーナちゃん、今日は夕飯食べていきたいんだけど」
「はい、じゃあこちらへどうぞ」
「あら、いらっしゃい。持ち帰りのパイももうすぐ焼きあがるよ。それに旦那が張り切っちゃってたくさん作ったからここでパイを食べていかない?」
「いいんですか?」
「ええ、せっかくだもの。是非食べて行ってね」
「では、お願いします」
おかみさんとミーナちゃんが持ってきたのはりんごパイをはじめとするジャムを使ったパイ。それ以外にもミートパイを出してくれた……モグモグ……
「うわー、このミートパイすごく美味しいですね」
絶対に自分じゃ作れない味だ……え、こら! 誰が普通の料理も作れないくせにだって?
「ん、美味しい……」
「それは良かった。気に入ったならこれも持って帰るかい?」
「いいんですか?」
「たくさんあるし、いいよねあんた?」
親父さんも頷いて親指を立てた……わーい。ありがとうございます!
ちなみにジャムを使ったパイは2枚ずつ焼いてくれたそう。それ以外にもいつものお持ち帰りやミートパイなどを受け取りホクホク……かなりの大荷物になって心配されたけどリディが少し持ってくれたのでなんとか誤魔化せた。黄金の羊亭を出て人気のない場所でさっとストレージに入れる。
ちなみにリディはよくみる光景なので特に驚いていない。
だいぶ暗くなってきたので足早に家に帰る。草原を抜け、森の洞穴で瞬間移動。なんとか日が落ちる前に家に着くことができた。
「ねぇ、リディさっそくお茶飲んでみる?」
お腹はいっぱいだけど、お茶くらいなら全然余裕……
「ん、飲みたい……ブランも飲むって」
「はいはい」
今日買ったティーセットにお茶を入れ、ジャムを用意して……
まずは普通にひと口……うん、ギルドでのんだ美味しいお茶だ。
「美味しいね」
「うん……」
カップの半分くらいになったところでジャムを落としてみる……リディも見よう見まねでジャムを入れている……ブランにも要求された様子。
「うわー、ジャムを入れたら全然違うけどこれはこれで美味しいよね」
「ん……美味しい」
「こりゃ、すぐにジャムなくなっちゃうね……」
「ん」
「また、作ろうね」
「ん、頑張る」
お風呂から上がったリディの髪を乾かしていると
「……これ、エナとブランに……」
「ん? なに……えっ、これって」
「いつものお礼……」
なんと、リディが私とリディとブランお揃いのリボンをプレゼントしてくれたんだよ!色はそれぞれ青、緑、うす紫と違うけど端に小さな鳥のチャームが付いていて、それを見たブランのテンションがもの凄く上がっている。
今日の依頼料で買ったんだって……私がティーセットを買うかどうか悩んでいる間に、『紫紺の猫商会』の奥さんに相談して決めたらしい。
いつの間にって感じだけど……奥さんは前にも「ふふ、お揃いっていいわよね……」って言ってたからお揃いはいかが?ってリディに勧めたのかも。
ブランはさっそく足に巻いてもらって自慢げだ。何気にリディの持ち物は鳥のモチーフで埋まっていってる……ブランが喜ぶから少し癪だけど、今度からプレゼントを選ぶときは鳥のモチーフにしよう。
「わー、ありがとう!嬉しいなぁ……髪の毛結ぶときに使うね」
「ん……」
リディのプレゼントに胸がぽかぽかと温かくなった……
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