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1ヶ月。【弓坂×小山】
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「えーっ!?青、付き合って1ヶ月なのにまだキスすらしてないの!?」
「ちょっと真由美、声大きい。」
昼休み、いつもどうり食堂で真由美とお昼を食べていると、何故か私と弓坂君の話になった。
そして質問攻めにあった結果、付き合って1ヶ月経ってもキスができてないことがバレた。
「いやまあ恋愛の進展なんて人それぞれだけどさ、あまりに遅くない?」
「そうなの?みんなそんなに早いの?」
「だいたい1ヶ月もすればやるとこまでやるっしょ。」
「やるとこ...?」
「要はセックスよ。」
「せ、せせせせ!?」
「あー、ダメだこりゃ。超純情清純乙女にはまだ早いお話だったかな。」
「たった1ヶ月でそんな...みんなそんなに...。」
「とはいえ急がない方が良いよ。どうせあんた経験ないんでしょ。初めてはちゃんととっておきなさい。」
「そうだよね。急がなくても、私たちのペースで進めば良いよね。」
「あ、でも遅すぎてもダメよ。特にあんたがそういうことをあからさまに拒否するような態度とってたら、男はすぐに逃げていくから。男なんて所詮ヤリたいだけのヤラシイ生物だからね。」
「弓坂君に限ってそんなこと...。」
「そのあんたが大好きな弓坂ってのも股に大層なもんぶら下げてんでしょ。だったら同じだよ。ヤリたい星人。」
「でも弓坂君はそんなんじゃ...。」
「青、もっと現実見な。男と付き合うってことはそういうことは避けて通れないんだから。」
私だって高校生だ。
何も知らないわけじゃない。
弓坂君と、異性と付き合うということは、そういうこともいつか直面するだろうことはなんとなくわかっていた。
でもそれが1ヶ月でやってくるとは思ってもいなかった。
「とりあえずキス、だよね。」
「順番的にはそうね。」
「頑張る...。」
「頑張れ、超純情清純乙女・小山青さん。」
「何それ。」
真由美にこんなことを言われたからだろうか。
教室に戻り弓坂君と目が合うと、無意識に目を逸らしてしまった。
「小山、俺何かしたか?」
「う、ううん、大丈夫だよ。」
「なら良いんだが...」
部活が終わって校門に向かう。
今日はバスケ部とほぼ同じ時間に終わるから、弓坂君と一緒に帰る約束をしている。
昼休みの話で頭がいっぱいだけど、弓坂君には悟られないようにしないと。
校門前には既に弓坂君が待っていた。
「弓坂君!遅くなってごめんね。」
「大丈夫、俺も今来たところだ。」
「そっか。じゃあ行こ!」
空はアニメやドラマで見るような綺麗な夕焼けが広がっている。
夕日に照らされる弓坂君の横顔は凄く綺麗で、たまにしか見れないこの光景に見とれてしまう。
それに今日はやたらと口元を見てしまう。
弓坂君とキス...弓坂君とキス...
どんな感触なんだろう。
どんな味がするんだろう。
「小山、顔に何かついてるか?」
「え、ううん。何もついてないよ。」
いいえ、綺麗な夕焼けに染まった橙の美しいお顔がついています。
そんなことは当然言えない。
「そうか。ずっと見られている気がしたから何かついているのかと思った。」
「ごめんね。」
「いや、見ることは構わないんだ。ただ、ちょっと恥ずかしい。」
夕日とは違う赤に染まった顔を見て何故か私まで熱くなってしまう。
「そういえば小山、昼休み本当に何もなかったのか?午後からなんだかよそよそしく感じたんだが。」
「ああ、うん、ちょっと...」
「何だ?俺に何か不満でもあるのか?あるなら教えてくれ。直すから。」
「違うの。弓坂君に不満があるわけじゃないの。」
「じゃあ何だ?」
「昼休み、真由美にキスもまだしてないのかって言われて、みんな付き合って1ヶ月にはもうしてるって言われて、ちょっと...意識しちゃった。」
ああもう、恥ずかしい。
絶対顔赤くなってる。
夕焼けで隠せてないかな。
「なるほど。そういう事か。」
「ごめんね。気にしないで。」
「...今日裏道使ってもいいか。」
「え、良いけど...」
そう言うと弓坂君は私の腕を掴んで足早に狭い路地に入って行く。
人が2人通るのが精一杯なほど狭く、人通りは全くない。
建物の影で薄暗く少し不気味な場所だ。
どうして弓坂君は急にこんな道を通ろうとしたんだろう。
路地を少し入ったところで弓坂君は立ち止まりこっちを向いた。
すると私の肩を優しく掴んで壁の方に押し付けた。
少し緊張したような、真剣な顔をしている。
「弓坂君...?どうしたの?」
「俺は今まで怖くてこういうことは避けてきた。すまなかった。」
「だからいいよ、そんなの。弓坂君は悪くないし。」
「いや、俺の勇気の無さで小山に辛い思いをさせた。小山、キスしてもいいか。」
かっこ悪いくらいまっすぐな目。
気の利かない不器用すぎる言葉。
それでも嬉しさと恥ずかしさで胸の奥がキュッとなる。
やばい、今私絶対凄い顔してる。
「うん。いいよ。」
「じゃあ...」
弓坂君の顔が近づいてくる。
私は目を閉じて弓坂君を待つ。
両肩を掴む手が震えている。
緊張してるのかな。
可愛いな。
弓坂君の息が顔に触れる。
もう少し、もう少しだ。
唇に柔らかくて温かいものが触れた。
変な感覚。
でも凄く嬉しい。
弓坂君と付き合って1ヶ月。
私たちはまた1歩進めたようです。
「ちょっと真由美、声大きい。」
昼休み、いつもどうり食堂で真由美とお昼を食べていると、何故か私と弓坂君の話になった。
そして質問攻めにあった結果、付き合って1ヶ月経ってもキスができてないことがバレた。
「いやまあ恋愛の進展なんて人それぞれだけどさ、あまりに遅くない?」
「そうなの?みんなそんなに早いの?」
「だいたい1ヶ月もすればやるとこまでやるっしょ。」
「やるとこ...?」
「要はセックスよ。」
「せ、せせせせ!?」
「あー、ダメだこりゃ。超純情清純乙女にはまだ早いお話だったかな。」
「たった1ヶ月でそんな...みんなそんなに...。」
「とはいえ急がない方が良いよ。どうせあんた経験ないんでしょ。初めてはちゃんととっておきなさい。」
「そうだよね。急がなくても、私たちのペースで進めば良いよね。」
「あ、でも遅すぎてもダメよ。特にあんたがそういうことをあからさまに拒否するような態度とってたら、男はすぐに逃げていくから。男なんて所詮ヤリたいだけのヤラシイ生物だからね。」
「弓坂君に限ってそんなこと...。」
「そのあんたが大好きな弓坂ってのも股に大層なもんぶら下げてんでしょ。だったら同じだよ。ヤリたい星人。」
「でも弓坂君はそんなんじゃ...。」
「青、もっと現実見な。男と付き合うってことはそういうことは避けて通れないんだから。」
私だって高校生だ。
何も知らないわけじゃない。
弓坂君と、異性と付き合うということは、そういうこともいつか直面するだろうことはなんとなくわかっていた。
でもそれが1ヶ月でやってくるとは思ってもいなかった。
「とりあえずキス、だよね。」
「順番的にはそうね。」
「頑張る...。」
「頑張れ、超純情清純乙女・小山青さん。」
「何それ。」
真由美にこんなことを言われたからだろうか。
教室に戻り弓坂君と目が合うと、無意識に目を逸らしてしまった。
「小山、俺何かしたか?」
「う、ううん、大丈夫だよ。」
「なら良いんだが...」
部活が終わって校門に向かう。
今日はバスケ部とほぼ同じ時間に終わるから、弓坂君と一緒に帰る約束をしている。
昼休みの話で頭がいっぱいだけど、弓坂君には悟られないようにしないと。
校門前には既に弓坂君が待っていた。
「弓坂君!遅くなってごめんね。」
「大丈夫、俺も今来たところだ。」
「そっか。じゃあ行こ!」
空はアニメやドラマで見るような綺麗な夕焼けが広がっている。
夕日に照らされる弓坂君の横顔は凄く綺麗で、たまにしか見れないこの光景に見とれてしまう。
それに今日はやたらと口元を見てしまう。
弓坂君とキス...弓坂君とキス...
どんな感触なんだろう。
どんな味がするんだろう。
「小山、顔に何かついてるか?」
「え、ううん。何もついてないよ。」
いいえ、綺麗な夕焼けに染まった橙の美しいお顔がついています。
そんなことは当然言えない。
「そうか。ずっと見られている気がしたから何かついているのかと思った。」
「ごめんね。」
「いや、見ることは構わないんだ。ただ、ちょっと恥ずかしい。」
夕日とは違う赤に染まった顔を見て何故か私まで熱くなってしまう。
「そういえば小山、昼休み本当に何もなかったのか?午後からなんだかよそよそしく感じたんだが。」
「ああ、うん、ちょっと...」
「何だ?俺に何か不満でもあるのか?あるなら教えてくれ。直すから。」
「違うの。弓坂君に不満があるわけじゃないの。」
「じゃあ何だ?」
「昼休み、真由美にキスもまだしてないのかって言われて、みんな付き合って1ヶ月にはもうしてるって言われて、ちょっと...意識しちゃった。」
ああもう、恥ずかしい。
絶対顔赤くなってる。
夕焼けで隠せてないかな。
「なるほど。そういう事か。」
「ごめんね。気にしないで。」
「...今日裏道使ってもいいか。」
「え、良いけど...」
そう言うと弓坂君は私の腕を掴んで足早に狭い路地に入って行く。
人が2人通るのが精一杯なほど狭く、人通りは全くない。
建物の影で薄暗く少し不気味な場所だ。
どうして弓坂君は急にこんな道を通ろうとしたんだろう。
路地を少し入ったところで弓坂君は立ち止まりこっちを向いた。
すると私の肩を優しく掴んで壁の方に押し付けた。
少し緊張したような、真剣な顔をしている。
「弓坂君...?どうしたの?」
「俺は今まで怖くてこういうことは避けてきた。すまなかった。」
「だからいいよ、そんなの。弓坂君は悪くないし。」
「いや、俺の勇気の無さで小山に辛い思いをさせた。小山、キスしてもいいか。」
かっこ悪いくらいまっすぐな目。
気の利かない不器用すぎる言葉。
それでも嬉しさと恥ずかしさで胸の奥がキュッとなる。
やばい、今私絶対凄い顔してる。
「うん。いいよ。」
「じゃあ...」
弓坂君の顔が近づいてくる。
私は目を閉じて弓坂君を待つ。
両肩を掴む手が震えている。
緊張してるのかな。
可愛いな。
弓坂君の息が顔に触れる。
もう少し、もう少しだ。
唇に柔らかくて温かいものが触れた。
変な感覚。
でも凄く嬉しい。
弓坂君と付き合って1ヶ月。
私たちはまた1歩進めたようです。
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