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聖徳太子の謎1〜日本国誕生〜
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堂田「ただいま戻りました。」
波子「おう、ご苦労さん。で?見つかったのか?盗まれただんなの浮気の証拠とかいう手紙は?」
堂田「いや、見つかりませんでした。でももういいって。奥さんは後は裁判所の調停に持ち込む前に離婚届提出して離婚が成立したらしいっすよ。」
波子「旦那が愛人宛に出した手紙ってのは、夜逃げしたとかいう愛人宅にあったんだろう?しかしなんだなあ。愛人の歓心を買うために借金の保証人になったはいいがその愛人に逃げられて、それが嫁さんにバレて今度は嫁さんから浮気を攻められた挙句、離婚されたなんて。あの社長さんも全てを失っちゃったよな」
堂田「あそこの会社は、大株主で名誉会長の伯母さんが実権をまだ手放してないそうですからね。旦那さんは会社も追い出されるでしょうね。依頼人の奥さんも会長さんの遠縁だそうですしね。」
波子「げぇっ!身包み剥いでおいだしたのかい?女は恐ろしいやね。」
堂田「そうですね。とはいっても、妹さんは社長の味方らしくって、愛人からの手紙を隠して処分したのも妹さんかもしれないって奥さんは言ってました。」
波子「それもまあ考えようによっちゃ女の戦いだからな。ところで会長とやらに子供はいないのかい?」
堂田「まだ学生らしいっす。それも体が弱くってずっと病院を出たり入ったりだそうです。で。繋ぎとして今の社長が選ばれたとか。」
波子「つらい立場だねぇ。で、やさしい愛人に縋っちゃったら逃げられたってわけかい。その社長さんに同情するよ。」
堂田「返事が無くなっちゃったっていうとこが、何かにてるなあ。国書紛失事件に・・・・・・。」
波子「何だ!?国書だと!!国際犯罪のにおいがする。このところ、銅鐸の世間話や浮気の調査とずっとせせこましい話ばかりが続いたが、いよいよ国際派探偵の俺の出番か!」
堂田「英語もしゃべれないくせに何が国際派ですか」
波子「うるさいっ!俺にはぼでぃらんぐえっじとやらがある。何とかなるんだよ実際。」
堂田「そんな発音まで超日本的ですね?」
波子「ほっとけ、俺の発音なんて。ところで国書とやらは何処から何処への国書なんだ?」
堂田「いや、これは歴史的な話であって・・・」
波子「最近話題の{歴史認識問題}ってやつか。とすると日本と中国とか朝鮮半島の話だな」
堂田「最近話題?なってるのかな。とにかく関係国はあってます。今回はするどいっすね。」
波子「君は俺が歴史に疎いとおもって馬鹿にしてるだろ。君だって頭の回転ののろい馬鹿のくせに。俺だってそれくらいは知っているのだ。ところで、どういった経緯で紛失したのだ?」
堂田「まず、日本から中国に国書を送ったんですが、その返事を持った使者が帰る途中に朝鮮半島で無くしたという話です。」
波子「ほう、朝鮮で?盗まれた?」
堂田「いや、あまりに都合が悪い返事だったので使者がなくしたことにして握りつぶしたという可能性もあるようです。」
波子「ははぁん、それで今回の社長浮気事件に似ていると?盗まれたんだか、隠したんだかわからないってとこが」
堂田「まあ、それだけです。」
波子「あまい!甘すぎるっ!!駄菓子やのコーラ飴よりも甘いぞ堂田君。舐めすぎて脳みそでも溶け出したか?」
堂田「何がデスか?」
波子「国と国の間の手紙だぞ!使者の一存でそんなことできるわけないだろう。いや、個人でも一緒だ。他人が握りつぶしたりはできない。手紙を無かった事にできるのは国家という権力組織だけなのだ。そうでない場合、手紙の内容自体が何かの犯罪に大きく関与している場合だ。その国書は誰と誰の間で交わされたものなのか解かってるのか?」
堂田「犯罪?日本の皇太子と向こうの皇帝さまです。」
波子「そう、犯罪というのは何時の世でも発覚を恐れるものなのだ。罪に対する認識は時代によって左右される。が、犯罪を隠そうとする心理だけは同じように存在する。だいたい、国書なんか無くしておいてそのまま済むはずが無い。場合によっては内容を電話ででも確かめればいいし、事故にでも巻き込まれて失ったというなら再発行してもらうという手もある。その直後に不穏な動きはなかったのか?」
堂田「直後ってわけじゃないようなんですが、皇太子が隠居みたいになっちゃったようですよ」
波子「皇太子が隠居??一週間ほど前に愛子さまとテレビに出てたが隠居なんて話はしてなかったぞ!」
堂田「愛子さまって、国書紛失事件ってのは大昔の話ですよ。最初の皇太子とも言われてる聖徳太子の時代じゃないっすか。学校でならったでしょう?」
波子「なんだ、またまた大昔の話か。しかし君は頭の回転が鈍い馬鹿のくせに余計なことに限ってはよく知ってるなぁ。君の少ない脳みその容量を少しは思考にまわしたらどうだい?そんなことだから、リソースが足りませんって言われるんだ。いっそのことXPにバージョンアップしたらどうだ?おっ、我ながらいい考えだ、今日から君を「堂田,WINDOWS,ミレニアムエディション,イクゥオール,ME」と名づけよう。すぐにフリーズするところなんて君の脳みそとおんなじだ。」
堂田「・・・・・」
波子「何だ、不満か?そんなうらめしそうな顔するなよ。・・・・。しようがないなあ。じゃあ聞いてやるよ君の役に立たない歴史薀蓄話を。さあ、話せ、やれ話せ、何が疑問なのかなぁ堂田ME君」
堂田「この日本書紀の訳文を見ながら聞いてくださいね。かくかくしかじか」
波子「せっかく聞いてやろうっていうのに横着なやつだな」
堂田「いや、表記ではかくかくしかじかだけですが、3時間近くもかけてしゃべったじゃないすか。日本書紀の前後の記述や法隆寺資料とか倭の五王とかいった中国資料までしゃべらせといて・・・・。ちゃんときいてたんでしょうね?で、どう思いますか?やっぱり盗まれたんですかね?それとも握りつぶされたのかな?だいたい国書の返書には何が書いてあったんですかね?」
波子「・・・・。よし!?わかったよ、国書の返事には、新王国の承認が書いてあったんだよ。倭国でなく日本誕生だ。でも、実際の聖徳太子は自前で新王国をし切れる力がなかった。実際の新王国日本は旧来からの倭国におんぶにだっこの寄生虫のような王国だったんだ。せめて都だけでも立派にしようと斑鳩に移住して中華の都を真似た都を作ろうとしたんだ。法隆寺なんかは本当はお寺じゃなかったのだ。政庁だよ。当然、返書は聖徳太子の元に届けられたはずだ。」
堂田「へっ?」
波子「でも倭国のお偉いさんがたは、認めなかったんだろうんなあ。ここでヘンな都ができちゃったわけだ。隋から見れば新王国日本の首都斑鳩、倭国からみれば単なる皇太子の隠居の地斑鳩だ。でも倭国としても隋の威光がある間は簡単にはつぶせない。隋と結んじゃったわけだからな。隋に逆らうようなことになるのは避けといたほうが得策だ。その後聖徳太子は隋が滅んだということでショックをうけ心労のため死んじゃった。倭国はこれをチャンスだとおもって今度は斑鳩の日本を無視して隋に変わった唐と直接結ぶんだ。これで斑鳩の日本は滅んだのと同じ。でも日本国の跡継だというやつが騒ぎ出した。それが山背大兄。これで倭国はまた斑鳩を無視できなくなっちゃった。それで聖徳太子の一族が皆殺しの憂き目に遭うわけだ。で日本を倒したのは蘇我入鹿。理屈でいけばこれが、この後の倭国の大将になるはずだ。でも日本も倭国ももとを正せば親戚だろう?親戚筋が納得しないわけだ。その親戚筋が再び日本を利用する。それが大化の改新っていうわけだ。聖徳太子の日本は一旦蘇我入鹿に滅ぼされた。蘇我入鹿はその勢いで倭国の王になっちまった。それを快く思わないのが日本を復興した。それが孝徳天皇や皇極女帝そして中大兄皇子たちなんだよ。で倭国と日本はまた一つの国に戻った。といっても、本来もともと一つの国なんだけどね。このあたりから倭国ではなく日本が国号になったというわけさ。中身は倭国、名前は日本ってことだ。」
堂田「なんだか、歴史トンデモ本みたいな話ですね。もう一つ面白い話があるんです。聖徳太子はいなかったっていう話なんですけどね。」
波子「聖徳太子は、飛鳥の都から斑鳩の新都に行った時点でいなくなったんだよ。倭国からね。冠位なんたらとか何たら憲法なんてものは斑鳩の都でしか通用しなかったんだ。倭国の豪族連中に冠位だけやっててなづけようとしたりもしたんだろう。」
堂田「冠位十二階は有名無実だったと?」
波子「そうだでも後世にその理想は受け継がれた」
堂田「孝徳や斉明そして天智、天武の時代ですね?」
波子「そうだ。だから仏教の父として、そして日本国の元祖として崇められたんだよ」
堂田「納得いかない点があります。隋書のタラシホコなんて厩戸皇子らしくない名前はどうなんですか?舒明の方が似合ってる感じですが」
波子「タラシホコっていうのも、聖徳太子の変名だ。聖徳太子はタラシホコになったわけだな。ホコを垂らすんだ。クワシホコチダル国つまり倭国という中華の呼び名を国名として受け入れた国の皇子ではなくなって斑鳩の王、ひいてはイザナギの国の後継王国の支配者になったという宣言なんだよ。この改名はさぁ。タラシヒコは息長系なんておおざっぱな見方は見当違いだ。
堂田「なんですか『くわしほこちだるくに』ってのは?」
波子「君が渡した日本書紀とやらの最初の方にでてるだろう?神武天皇のところだよ」
堂田「なるほど。。。日本国の別称の一つですね」
波子「でも結局斑鳩の宮殿は蘇我入鹿に焼かれたわけだろ?厩戸の後継者の山背の生年記録や、母親とか、厩戸自身が称号をが改称したとか、そんな記録もちろん焼けちゃったわけだ。倭国はホコチダル国・日本を認めるわけにはいかない。でも日本はできちゃった。だから再び飲み込んだわけだが、制度や国体の理想の面では明らかに蘇我入鹿や孝徳天皇の倭国よりも聖徳太子のクワシ矛チダル国である斑鳩日本の方が理想的国家像を表していた。当たり前だ。日本っていう「国家」はこの時点ではほとんど絵空事だからね。アンチ倭国として倭国の問題点を改善していたんだ。ある意味理想的で当たり前ってわけだ。そうこうしているうちに倭国もピンチに陥っちゃう。白村江の戦いってやつだ。これで倭国は恐慌状態になっちゃうんだな。そうなると出てくるのは理想国家日本の建設論だ。理想的国家の誕生だよ。それを標榜した連中に最後に担がれたのが天武天皇ってわけだ。実行力がなくお蔵入りになってた冠位の制度も憲法の理想も天皇の称号もクワシホコチダル国日本から持ち出したんだよ。天皇の号の最初は聖徳太子ってわけだ。実体は大きく違うけどな。で聖徳太子は自分の父親にも追号したんだ。それが薬師如来とかの池辺天皇銘なわけだ。一方の推古、斉明とかの女帝は倭国の象徴ってわけ。女王国の名残だよなぁ。混乱したときは女帝がでるってわけだよ。大土木工事による呪術を使って混乱を押さえた斉明が死んじゃったことで天智はびびった。天智にとっては白村江敗戦は大した事無かったんだよ。女王死亡によって再び混乱が起こる事の方が問題だったんだよ。だからあちこちに城を造ったり、近江に移ったりしたんだ。天智は海の向こうよりも斑鳩の亡霊、つまり理想と現実の狭間にできてしまった旧倭国である天智の新日本は、聖徳太子が遺した「クワシホコチダル日本の幻」を恐れて居たんだよ。思想の行きつく先は理想だからね。。実体のない方が思想の中だけで見ると、実体はないはずなのに逆により鮮明に感じられるものなんだ。犯罪者が犯を起こすときもそうなんだ。ばれるはずがないとか思ってるやつほど思考しているつもりで思考にとりこまれて現実的対処ってやつが不充分になって、隠そうとしてついた辻褄あわせの小さな嘘から破綻が生じて結局犯罪がすけてみえてくるものなんだ。アリバイ崩しっていうのは、小さなつじ突く合わせに突いたちいさな嘘の矛盾点を突くっていあうことなんだよ」
堂田「はあ。たった3時間ほどのレクチュァーでよくここまで・・・・・」
波子「おい!電話が鳴ったぞ早く出ろよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
堂田「波子先生、電話は例の奥さんからでした。社長の愛人、香港の富豪の娘だったそうで、社長と妹さんはその援助を受けて独立して同業なんですが海外を相手にする別会社を起こしたそうです。手紙は好きだ嫌いだというよりその話だったようです。奥さんはくやしいーッつぶしてやる!!って叫んでました。」
波子「次の女帝はその奥さんだな。女は怖いや。君も気をつけろよ。」
堂田「自分こそ、女好きのくせ に・・・。」
波子「うん?今何か言ったか?MEクン。」
本気
堂田「いえ、別に・・・・・・・・・
波子「おう、ご苦労さん。で?見つかったのか?盗まれただんなの浮気の証拠とかいう手紙は?」
堂田「いや、見つかりませんでした。でももういいって。奥さんは後は裁判所の調停に持ち込む前に離婚届提出して離婚が成立したらしいっすよ。」
波子「旦那が愛人宛に出した手紙ってのは、夜逃げしたとかいう愛人宅にあったんだろう?しかしなんだなあ。愛人の歓心を買うために借金の保証人になったはいいがその愛人に逃げられて、それが嫁さんにバレて今度は嫁さんから浮気を攻められた挙句、離婚されたなんて。あの社長さんも全てを失っちゃったよな」
堂田「あそこの会社は、大株主で名誉会長の伯母さんが実権をまだ手放してないそうですからね。旦那さんは会社も追い出されるでしょうね。依頼人の奥さんも会長さんの遠縁だそうですしね。」
波子「げぇっ!身包み剥いでおいだしたのかい?女は恐ろしいやね。」
堂田「そうですね。とはいっても、妹さんは社長の味方らしくって、愛人からの手紙を隠して処分したのも妹さんかもしれないって奥さんは言ってました。」
波子「それもまあ考えようによっちゃ女の戦いだからな。ところで会長とやらに子供はいないのかい?」
堂田「まだ学生らしいっす。それも体が弱くってずっと病院を出たり入ったりだそうです。で。繋ぎとして今の社長が選ばれたとか。」
波子「つらい立場だねぇ。で、やさしい愛人に縋っちゃったら逃げられたってわけかい。その社長さんに同情するよ。」
堂田「返事が無くなっちゃったっていうとこが、何かにてるなあ。国書紛失事件に・・・・・・。」
波子「何だ!?国書だと!!国際犯罪のにおいがする。このところ、銅鐸の世間話や浮気の調査とずっとせせこましい話ばかりが続いたが、いよいよ国際派探偵の俺の出番か!」
堂田「英語もしゃべれないくせに何が国際派ですか」
波子「うるさいっ!俺にはぼでぃらんぐえっじとやらがある。何とかなるんだよ実際。」
堂田「そんな発音まで超日本的ですね?」
波子「ほっとけ、俺の発音なんて。ところで国書とやらは何処から何処への国書なんだ?」
堂田「いや、これは歴史的な話であって・・・」
波子「最近話題の{歴史認識問題}ってやつか。とすると日本と中国とか朝鮮半島の話だな」
堂田「最近話題?なってるのかな。とにかく関係国はあってます。今回はするどいっすね。」
波子「君は俺が歴史に疎いとおもって馬鹿にしてるだろ。君だって頭の回転ののろい馬鹿のくせに。俺だってそれくらいは知っているのだ。ところで、どういった経緯で紛失したのだ?」
堂田「まず、日本から中国に国書を送ったんですが、その返事を持った使者が帰る途中に朝鮮半島で無くしたという話です。」
波子「ほう、朝鮮で?盗まれた?」
堂田「いや、あまりに都合が悪い返事だったので使者がなくしたことにして握りつぶしたという可能性もあるようです。」
波子「ははぁん、それで今回の社長浮気事件に似ていると?盗まれたんだか、隠したんだかわからないってとこが」
堂田「まあ、それだけです。」
波子「あまい!甘すぎるっ!!駄菓子やのコーラ飴よりも甘いぞ堂田君。舐めすぎて脳みそでも溶け出したか?」
堂田「何がデスか?」
波子「国と国の間の手紙だぞ!使者の一存でそんなことできるわけないだろう。いや、個人でも一緒だ。他人が握りつぶしたりはできない。手紙を無かった事にできるのは国家という権力組織だけなのだ。そうでない場合、手紙の内容自体が何かの犯罪に大きく関与している場合だ。その国書は誰と誰の間で交わされたものなのか解かってるのか?」
堂田「犯罪?日本の皇太子と向こうの皇帝さまです。」
波子「そう、犯罪というのは何時の世でも発覚を恐れるものなのだ。罪に対する認識は時代によって左右される。が、犯罪を隠そうとする心理だけは同じように存在する。だいたい、国書なんか無くしておいてそのまま済むはずが無い。場合によっては内容を電話ででも確かめればいいし、事故にでも巻き込まれて失ったというなら再発行してもらうという手もある。その直後に不穏な動きはなかったのか?」
堂田「直後ってわけじゃないようなんですが、皇太子が隠居みたいになっちゃったようですよ」
波子「皇太子が隠居??一週間ほど前に愛子さまとテレビに出てたが隠居なんて話はしてなかったぞ!」
堂田「愛子さまって、国書紛失事件ってのは大昔の話ですよ。最初の皇太子とも言われてる聖徳太子の時代じゃないっすか。学校でならったでしょう?」
波子「なんだ、またまた大昔の話か。しかし君は頭の回転が鈍い馬鹿のくせに余計なことに限ってはよく知ってるなぁ。君の少ない脳みその容量を少しは思考にまわしたらどうだい?そんなことだから、リソースが足りませんって言われるんだ。いっそのことXPにバージョンアップしたらどうだ?おっ、我ながらいい考えだ、今日から君を「堂田,WINDOWS,ミレニアムエディション,イクゥオール,ME」と名づけよう。すぐにフリーズするところなんて君の脳みそとおんなじだ。」
堂田「・・・・・」
波子「何だ、不満か?そんなうらめしそうな顔するなよ。・・・・。しようがないなあ。じゃあ聞いてやるよ君の役に立たない歴史薀蓄話を。さあ、話せ、やれ話せ、何が疑問なのかなぁ堂田ME君」
堂田「この日本書紀の訳文を見ながら聞いてくださいね。かくかくしかじか」
波子「せっかく聞いてやろうっていうのに横着なやつだな」
堂田「いや、表記ではかくかくしかじかだけですが、3時間近くもかけてしゃべったじゃないすか。日本書紀の前後の記述や法隆寺資料とか倭の五王とかいった中国資料までしゃべらせといて・・・・。ちゃんときいてたんでしょうね?で、どう思いますか?やっぱり盗まれたんですかね?それとも握りつぶされたのかな?だいたい国書の返書には何が書いてあったんですかね?」
波子「・・・・。よし!?わかったよ、国書の返事には、新王国の承認が書いてあったんだよ。倭国でなく日本誕生だ。でも、実際の聖徳太子は自前で新王国をし切れる力がなかった。実際の新王国日本は旧来からの倭国におんぶにだっこの寄生虫のような王国だったんだ。せめて都だけでも立派にしようと斑鳩に移住して中華の都を真似た都を作ろうとしたんだ。法隆寺なんかは本当はお寺じゃなかったのだ。政庁だよ。当然、返書は聖徳太子の元に届けられたはずだ。」
堂田「へっ?」
波子「でも倭国のお偉いさんがたは、認めなかったんだろうんなあ。ここでヘンな都ができちゃったわけだ。隋から見れば新王国日本の首都斑鳩、倭国からみれば単なる皇太子の隠居の地斑鳩だ。でも倭国としても隋の威光がある間は簡単にはつぶせない。隋と結んじゃったわけだからな。隋に逆らうようなことになるのは避けといたほうが得策だ。その後聖徳太子は隋が滅んだということでショックをうけ心労のため死んじゃった。倭国はこれをチャンスだとおもって今度は斑鳩の日本を無視して隋に変わった唐と直接結ぶんだ。これで斑鳩の日本は滅んだのと同じ。でも日本国の跡継だというやつが騒ぎ出した。それが山背大兄。これで倭国はまた斑鳩を無視できなくなっちゃった。それで聖徳太子の一族が皆殺しの憂き目に遭うわけだ。で日本を倒したのは蘇我入鹿。理屈でいけばこれが、この後の倭国の大将になるはずだ。でも日本も倭国ももとを正せば親戚だろう?親戚筋が納得しないわけだ。その親戚筋が再び日本を利用する。それが大化の改新っていうわけだ。聖徳太子の日本は一旦蘇我入鹿に滅ぼされた。蘇我入鹿はその勢いで倭国の王になっちまった。それを快く思わないのが日本を復興した。それが孝徳天皇や皇極女帝そして中大兄皇子たちなんだよ。で倭国と日本はまた一つの国に戻った。といっても、本来もともと一つの国なんだけどね。このあたりから倭国ではなく日本が国号になったというわけさ。中身は倭国、名前は日本ってことだ。」
堂田「なんだか、歴史トンデモ本みたいな話ですね。もう一つ面白い話があるんです。聖徳太子はいなかったっていう話なんですけどね。」
波子「聖徳太子は、飛鳥の都から斑鳩の新都に行った時点でいなくなったんだよ。倭国からね。冠位なんたらとか何たら憲法なんてものは斑鳩の都でしか通用しなかったんだ。倭国の豪族連中に冠位だけやっててなづけようとしたりもしたんだろう。」
堂田「冠位十二階は有名無実だったと?」
波子「そうだでも後世にその理想は受け継がれた」
堂田「孝徳や斉明そして天智、天武の時代ですね?」
波子「そうだ。だから仏教の父として、そして日本国の元祖として崇められたんだよ」
堂田「納得いかない点があります。隋書のタラシホコなんて厩戸皇子らしくない名前はどうなんですか?舒明の方が似合ってる感じですが」
波子「タラシホコっていうのも、聖徳太子の変名だ。聖徳太子はタラシホコになったわけだな。ホコを垂らすんだ。クワシホコチダル国つまり倭国という中華の呼び名を国名として受け入れた国の皇子ではなくなって斑鳩の王、ひいてはイザナギの国の後継王国の支配者になったという宣言なんだよ。この改名はさぁ。タラシヒコは息長系なんておおざっぱな見方は見当違いだ。
堂田「なんですか『くわしほこちだるくに』ってのは?」
波子「君が渡した日本書紀とやらの最初の方にでてるだろう?神武天皇のところだよ」
堂田「なるほど。。。日本国の別称の一つですね」
波子「でも結局斑鳩の宮殿は蘇我入鹿に焼かれたわけだろ?厩戸の後継者の山背の生年記録や、母親とか、厩戸自身が称号をが改称したとか、そんな記録もちろん焼けちゃったわけだ。倭国はホコチダル国・日本を認めるわけにはいかない。でも日本はできちゃった。だから再び飲み込んだわけだが、制度や国体の理想の面では明らかに蘇我入鹿や孝徳天皇の倭国よりも聖徳太子のクワシ矛チダル国である斑鳩日本の方が理想的国家像を表していた。当たり前だ。日本っていう「国家」はこの時点ではほとんど絵空事だからね。アンチ倭国として倭国の問題点を改善していたんだ。ある意味理想的で当たり前ってわけだ。そうこうしているうちに倭国もピンチに陥っちゃう。白村江の戦いってやつだ。これで倭国は恐慌状態になっちゃうんだな。そうなると出てくるのは理想国家日本の建設論だ。理想的国家の誕生だよ。それを標榜した連中に最後に担がれたのが天武天皇ってわけだ。実行力がなくお蔵入りになってた冠位の制度も憲法の理想も天皇の称号もクワシホコチダル国日本から持ち出したんだよ。天皇の号の最初は聖徳太子ってわけだ。実体は大きく違うけどな。で聖徳太子は自分の父親にも追号したんだ。それが薬師如来とかの池辺天皇銘なわけだ。一方の推古、斉明とかの女帝は倭国の象徴ってわけ。女王国の名残だよなぁ。混乱したときは女帝がでるってわけだよ。大土木工事による呪術を使って混乱を押さえた斉明が死んじゃったことで天智はびびった。天智にとっては白村江敗戦は大した事無かったんだよ。女王死亡によって再び混乱が起こる事の方が問題だったんだよ。だからあちこちに城を造ったり、近江に移ったりしたんだ。天智は海の向こうよりも斑鳩の亡霊、つまり理想と現実の狭間にできてしまった旧倭国である天智の新日本は、聖徳太子が遺した「クワシホコチダル日本の幻」を恐れて居たんだよ。思想の行きつく先は理想だからね。。実体のない方が思想の中だけで見ると、実体はないはずなのに逆により鮮明に感じられるものなんだ。犯罪者が犯を起こすときもそうなんだ。ばれるはずがないとか思ってるやつほど思考しているつもりで思考にとりこまれて現実的対処ってやつが不充分になって、隠そうとしてついた辻褄あわせの小さな嘘から破綻が生じて結局犯罪がすけてみえてくるものなんだ。アリバイ崩しっていうのは、小さなつじ突く合わせに突いたちいさな嘘の矛盾点を突くっていあうことなんだよ」
堂田「はあ。たった3時間ほどのレクチュァーでよくここまで・・・・・」
波子「おい!電話が鳴ったぞ早く出ろよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
堂田「波子先生、電話は例の奥さんからでした。社長の愛人、香港の富豪の娘だったそうで、社長と妹さんはその援助を受けて独立して同業なんですが海外を相手にする別会社を起こしたそうです。手紙は好きだ嫌いだというよりその話だったようです。奥さんはくやしいーッつぶしてやる!!って叫んでました。」
波子「次の女帝はその奥さんだな。女は怖いや。君も気をつけろよ。」
堂田「自分こそ、女好きのくせ に・・・。」
波子「うん?今何か言ったか?MEクン。」
本気
堂田「いえ、別に・・・・・・・・・
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