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本能寺の変は何故起こったか?9 信長西遊記
しおりを挟む堂田「天竺??三蔵法師じゃないんですから!」
波子「いいところに気がついたね。」
堂田「はぁ?」
波子「信長は知的好奇心と信仰というものを確かめる意味もあって仏教誕生の地インドを見てみたかったんじゃないかなと思ってる。」
堂田「まさか!」
波子「信長は決して仏教や神道を嘘っぱちとして認めなかったわけではない。それにかこつけてる阿漕な宗教者やそれをいい気にさせてしまってる愚かな大衆を断罪したわけだ。」
堂田「まあ、そうともいえるかもしれないですけど。。。天竺だなんて。。。」
波子「本当の仏教を直接もってきてやろうと思ってたのかもしれないよ。その場合、秀吉は猿だから孫悟空だよ。沙悟浄は光秀。」
堂田「猿はともかく、光秀は河童とは呼ばれてないでしょう?」
波子「河童なんて想像上の化け物だからもともとどんな姿をしてたかなんてわからないだろう?あの形になったのは江戸時代の事、西遊記には沙悟浄が河童だなんて書かれてないよ。それに河童は日本で生まれた化け物だ。信長の時代にはまだ河童の格好じゃなくって人間それも坊主の格好をしていたのさ。坊主といえば、はげ頭。光秀に信長がつけたあだ名のキンカ頭ってのははげ頭のことなんだろう?となると沙悟浄は光秀できまりだろう。猪八戒は女に弱そうな勝家か。そうなると信長は当然、三蔵法師だ。」
堂田「何を馬鹿な事いってるんですか!」
波子「はははっ、まあ冗談だが、ありえないともいえないだろう?キリスト教の事を信長の時代にはね『南蛮宗』とか『天竺宗』と呼んでいたんだ。天竺って所は当時の日本人にとって極楽、天国に一番近いところなんだよ。そして世界の一番西の果てでもある。信長だって最初は宣教師たちをインドから来たと思い込んでたらしいしね。四人で天竺まで旅するつもりがあったかもしれない。というかね、信長はそうしてもいいような時間を作るつもりだった。つまり近い内に天下人を止めるつもりだったんだよ。信長は本能寺の変がなくても近々に完全に隠居したんじゃないか?その様子が見て取れたから、光秀も信長の隠居の拒否、信忠政権誕生阻止のために動いたという気もするんだよな。きっと光秀は信長に引退なんてしてほしくなかったんだよ。二代目経営者に創業者時代からの重役がついて行きたくないのは今も昔も同じなんだよ。」
堂田「完全なる隠居ですか?そういえば、信濃の平定後に「天下の儀」つまり天下人の地位も信忠に与えると言ったと信長公記にも載ってるらしいけど・・・・・。」
波子「だってそうだろう?織田家の家督はとっくに譲ってる。毛利と対峙している秀吉は信長の出馬を願っているのにも関わらず自分は動かずに信忠を差し向けようとしている。本能寺にも物見遊山程度の人数で大した兵を連れてない。朝廷から勧められた官職も断って、代わりに信忠に任官させてほしいなんていってる。人間五十年だよ?自分がトップのまま戦う気はなかったんじゃないのか?俺が信長ならそうするね。だってそろそろ遊びたいじゃないか?濃姫や側室や歳のいった家臣を連れ立てて物見遊山でもして余生を過ごしたくなってきたんだよ。きっと。人間五十年というのは命の儚さだけでなく、50になったら生まれ変わってやるなんて意味もこめて歌ってたんだよ。信長は50を過ぎた自分が君臨する天下なんて想像もしてなかったんじゃないか?生きたまま斬った張ったの下天のうちから卒業する気だったんだよ。老衰で死ぬまで戦い続けるなんて賢い人間なら選ばないと思うよ。」
堂田「うーん。。。楽隠居の信長。イメージわかないなぁ。」
波子「天才は天才を知るだよ。君は凡人、私は天才。凡夫たる君のイメージなんて私たち天才からみるとどうでもいいことなんだ。どう考えても私には、天才の私の方が天才の信長の心情を理解できる可能性が高いと思うんだがな。天才同士だから。それに信長は茶道のみならず、囲碁や将棋なんかも奨励している。きっとこういった事を隠居後の自分の居場所にしようと思っていたんだろう。大山のぶ代も高齢を理由にドラえもんの声を引退するんだ。信長が隠居したいと思ったっておかしくないだろう?」
堂田「はいはいわかりました。天才先生。大山のぶ代の話はどうでもいいけど。。。先生の場合、天才より天災の方が似合いそうだけどな。」
波子「「天災」という漢字を覚えたばかりの小学生でも言わないような駄洒落だな。別に私は君に辞めてもらってもかまわないんだけどね。」
堂田「いやいや、辞めるなんてとんでもない、、、、そうだ囲碁といえば、本能寺の変の前夜、その本能寺で信長が後世、碁の大家になる初代本因坊と林家初代に対局させたそうです。でそのときの棋譜が『三劫』になったとか。三劫っていうのは珍しいかたちで、その形になってしまったことで、囲碁の対局はお開きになって、夜に帰った本因坊たちは難を逃れたという話もあります。」
波子「うん、話をごまかすつもりかい?まあ、いいだろう。やっぱ囲碁だね。囲碁でもして気楽に余生を過ごすつもりだったんじゃないか?天才信長は、きっと君みたいな凡人のように権力にしがみつきたいなんて思ってなかったんだよ。やりたい事が天下統一だったから天下統一しようと思った。やりたい事が他にできれば何時までも天下統一なんてことにこだわってなかったんじゃないかな。他にもいろんな趣味を持ってたしね。」
堂田「趣味は確かに多かったですよね。でも信忠が舞の道具を揃えて遊んでいたのを見つけたときには、どうも怒ったらしく道具を没収したりしている。この時一時的に親子不和になり、本能寺の変の多々ある黒幕説の中に信忠黒幕説もあります。実はこの親子不和が原因で信忠が本能寺の信長を襲い、殺した。その動きを察知した光秀が信忠討伐に動いたと考える人も居るようですよ。」
波子「確か信長は信忠の遊び道具を没収してその代わりに俊馬なんて送っている。そこまでの不和じゃないんじゃないか?それにその説の通りならそれを記した明智の書状とか残りそうなものだしね。明智はあちこちに書状を送りつけまくっているんだからさ。単純に若いくせに余裕をもって遊んでいる信忠に信長が嫉妬したんだよ。能なんて舞ってる暇があるんなら、馬に乗って戦えってね。」
堂田「信長だって「人間五十年」って若い頃から舞ってたんでしょ?」
波子「舞うことの意味が違うんだろう。信長が若い頃は自分が五十まで生きられるかどうか不安もあったんだろう。五十年しか生きられない儚さじゃなく、五十までは生きたいという希望をこめて舞っていたのかもしれないよ。」
波子「そう言われれば。。。信長が信忠の年齢のころには尾張の国の支配権をめぐって戦三昧ですもんね。桶狭間とかもこの年ごろですよね。ということはやっぱり『もっと働け』と息子に対して思ってたのかな?で、親を安心させてくれよと。。。。仏教界を震撼させた第六天の魔王も人の親だったのか。」
波子「信長が父と死に別れたのは18の時だ。で織田家当主となっている。当時はまだ小さな領主といえども孤独だったろうね。その時、父信秀の年齢は41。信長が信忠に織田家の家督を譲ったのも41。父信秀が亡くなったのと同じ年齢なんだ。これは偶然じゃないような気がする。」
堂田「ええっ!じゃあ。。。信長は自分と同じように信忠が成長してくれるように願ってたのかな。」
波子「そして人間五十年だ。その歳までに天下人としての全ての権限を信忠に譲るつもりだったんじゃないか。」
堂田「そう聞かされると信長という人は年齢ということに凄いこだわりをもっていたんじゃないか?と感じさせられますね。人間五十年かぁ。第六天魔王は何を考えていたんでしょうね。」
波子「本能寺の変が起こらなくて信長が長生きしていたとしたら、一年以内に『完全に隠居してる』。これが私の答えだ。ところで第六天の魔王って何の事だか知ってるのか?」
堂田「仏教の邪魔をする魔王でしょ?一向門徒や叡山の僧侶たちが仏教の敵という意味で呼んでいたんですよね。」
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