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本能寺の変は何故起こったか?8 濃姫と北政所

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堂田「信長に対しても意見ができる?しかし濃姫とやらは資料にも現れてないんで生駒の娘より早く死んだんじゃないかとかも言われてますよね?信長に意見ができるような立場にあったかどうかはわからないじゃないですか?」

波子「北の政所の立居振舞というのは見事なものだ。おそらくお手本があった。そのお手本が濃姫なんじゃなかったのかな?と思うんだよ。」

 堂田「子供が居ない戦国大名の正室の手本かぁ。そういえば北の政所は秀吉の出世には貢献してますが豊臣「家」の天下の継続っていうものには執着が薄いようですね。」

 波子「そうだろう。これも自分に子がいないからじゃないのかな?」

 堂田「自分の子がいないから、豊臣政権がどうでもよかったのかな。関が原の時には豊臣の家内の采配は秀頼の生母が主導してたでしょうしね。」

 波子「どうでも良くはないだろうが、北の政所にとっては清正や正則、三成らが息子みたいなもんだろう。夫のいない豊臣家政権の今後よりも育てた子供でもある彼らが今後も身が立つように考えてたんだろうね。ある意味、政権を残すことに重点を置いていた北条正子より母性が強いのかもしれないね。」

 堂田「そういえば、北の政所あてに信長が送った手紙に「正妻なんだからどしっと構えてせこいきもちをもたないようにしなさい」という文面があったそうですね。」

 波子「正妻なんだから。。。からか。なるほど、信長は「正室」という立場に立つ女性はこうあるべきだと思ってた何よりの証拠だね。そういう正室を彼も持ってたんだろう。もしかするとこの文面は濃姫と一緒に考えた文面かもしれないね。」

 堂田「お手本か。安土殿とよばれる女性が本当に濃姫だとすると。。。。」

 波子「信忠を廃して、信雄を立てるという話が光秀と濃姫の間にあった。という可能性もでてくる。」

 堂田「でも、斎藤利三の私怨のためその計画はパー。」

 波子「計画通りに事が進む方が稀なんだよ。その失敗を取り返すだけの政治力、信用が光秀には備わってなかったんだよ。まあ本心はどうあれ謀叛なんていう形で権力を手に入れると余程の軍事力を単独で有してないと誰もついてこないっていうことだね。謀叛だと思わせない事後工作が必要なんだよ。」

 堂田「で、濃姫はそんな陰謀を墓場までもっていった。その後は。。。。。」

波子「真相は信雄が握り続けた。信雄にとってもこの一代の大芝居が失敗したことがばれるのはまずかったろうからね。正室である濃姫が資料から抜け落ちてるのは、信雄が腐心してその痕跡を抹消したんじゃないかな。本能寺の変直後の公家の日記などを見ても改ざんされてる節もあるようだしな。信雄による事後工作じやないか。これから想像するに信雄はなかなかの政治力、根回し力を持っていたと思う。結果的に家康や秀吉に天下をさらわれたから、両者に利用されたお人よしのように見えるが、信雄が天下を奪ったという結果となったと仮定した場合、家康と秀吉と勝家という旧織田軍三大勢力を手玉にとって瓦解させた男として、歴史に名を残したかもしれないよ。安土殿の面倒を最後まで見たのも信雄だしね。信雄にとって実母と同じような存在だったんだろうね。」

 堂田「ついでに一つきいていいですか?本能寺の変がなかったらどうなってたと思います?天下統一は成ったと思いますか?」

 波子「またバーチャル史論かい?本能寺の変がないというのは光秀がずっと信長の思い通りに生きつづけて死ぬという仮定かい?」

堂田「そうです。それまで通り光秀が能力を信長のために使って。。。」

 波子「天下統一は成ったんだろうねぇ。一応。ただ信長政権が長続きするとは思えないけどね。それに統一完了は信忠政権の仕事になったろうね。秀吉の天下統一より時間もかかったんじゃないかな?」

 堂田「えええっ?柴田戦や家康との戦いもなくなるんだから早くなるんじゃ?」

 波子「その代わり、毛利をはじめ九州や四国を舞台にした西国勢力との殲滅戦が始まるんだろう?絶対にそっちの方が時間がかかる。」

 堂田「そうかなぁ。」

 波子「秀吉が本能寺の変から10年やそこらで天下を統一できたのは、「毛利懐柔」のおかげだよ。毛利と殲滅戦なんてはじめてしまうと、四国や九州の大名たちも自分たちも同じ目に会うと思って秀吉の九州征伐や四国征伐より却って時間がかかるはずだよ。まあ西国に対しても同じやり方を続けるかどうかはわからないがね。」

堂田「朝鮮出兵は?」

波子「もし、殲滅戦を続けて天下統一したんなら朝鮮出兵の意味は半分はなくなるだろう?」

堂田「へ?」

波子「だってそうだろう?秀吉は大大名たちを減らさないで豊臣政権を膨張型の政権にしたいという野望もあったからね。天下統一が終わったら列島外に目を向けるしか新しい領土はないわけだから、列島からはみ出していくのは当然だよ。信長が大大名をどんどん減らしていく方策をとったら別に新しい領土は必要なくなる。実際徳川幕府は取り潰しや改易による緊縮型をとって天下統一を磐石なものに仕上げたろう?」

 堂田「そうかなぁ。秀吉の政策は信長の踏襲だという話だから朝鮮出兵もやったんじゃないかな。」

波子「人間にはね、寿命があれば健康問題も精神的問題もある。何時までも信長が天下布武の志に燃えていた頃の信長のままではないだろうからね。秀吉の晩年がいい例だろう?」

 堂田「そんなものですかね。。。信長は戦国時代随一の天才大名だから、天下統一も早くなりそうな気もするんですが。。。信長は朝鮮出兵しなかったと考えてるわけですね。僕なんかはしたような気がしてなりませんがね。老いには勝てないかぁ。。。」

波子「日本の天下統一が早く終わった場合、ただし1582年より前に完全に平定できていればの話だが、それならやったかもしれないよ。」

堂田「若けりゃって言うことですね。」

波子「まあ、そうだね。でも君は朝鮮・朝鮮というが、それは手段であって目的じゃないことを知っているか?」

堂田「朝鮮の支配が目的じゃない?」

 波子「そうだよ。秀吉の例を見てもわかるが、『唐入り』っていってるだろう。朝鮮半島は通り道にすぎないのさ。秀吉の出兵の場合は唐入りが目的だ。」

 堂田「そういえばそうですね。唐入りだ。でも秀吉の場合はって言いましたよね?信長の場合は違うんですか?」

波子「おそらくね。信長の目的は唐入りじゃ終わらない。天竺入りだろうね。まあ軍隊を引き連れて行くかどうかは知らないがね。」

堂田「天竺??三蔵法師じゃないんですから!」

波子「いいところに気がついたね。」
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