ジュラシック村

緊急避難

いやあれは動物園の獣ではない。

明らかに大きかった。怪獣である。

スマホに警報が流されるということは、行政は既にこの異常に気がついているということだ。

しかし、避難エリアが酷く限定されている。里山を中心にした地区の道路を全部指定域しているのだが、あからさまに限定的だ。

例えれば、都の条里制のごとく四角に区切られているのだ。

そうこうしていると、大きなトラックが近くの大通りに止まった。

トラックから足早に降りてきた作業員達は、軍隊のような作業着をきているのに酷く違和感を感じた。

彼らはあれよあれよという間に、道路に巨大なフェンスを建てていく。かなり頑丈そうだ。

作業を、監督して指示を出している者が、私たちに気がついた。

「君たち、ここは危険地域に指定された。今の内にフェンスの外側に避難しなさい」

監督はまだ若そうだが、反論を許さない雰囲気で、私たちに向かって言い放った。

それを聞いていた若者たちは暫し呆然としていたが、私に見せていたスマホを奪うようにして、道路の方に走っていった。

そのとき、山の上から巨大な咆哮が聞こえてきた。

あからさまに、ライオンやトラなどではない。