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2章
乱入者
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1546年(天文15年) 10月中旬 美濃国稲葉山城 織田信長
道三の反応に、皆俺の言っていることが真実だと分かったようだ。
美濃家臣たちのざわめきが大きくなり始めた。
俺は一つ咳ばらいをし、道三に提案する。
「少々口が過ぎたようにございまする。皆様方に要らぬ混乱を招いてしまったようですな。お詫びとして、皆様方に神通力の効果を体験していただきたいのですが、よろしいですかな?」
俺の提案に、道三が訝しむ様にこちらを見る。
しかし諦めたように首を振り、ため息をつきつつ答えた。
「……好きにせい」
「はい。では」
――≪浄化≫――
皆の体が次々と光に包まれていき、身も心も綺麗さっぱりとした状態に変化していく。
最後に、強めの≪浄化≫と≪回復≫を道三に掛けてやった。
「これが神通力、か……先ほど皆の脇差が一人でに折れたのも、その力によるものかの?」
「はい。この半蔵を予め神通力により強化しておりましたので。一瞬のうちに皆様方脇差を折って回った次第にござります」
ざわめきがまた強くなる。
“なんと”“まさか”などと皆口々に言い始めた。
半蔵も少し得意げだ。
「あれだけの大口を叩くだけはある、ということか。確かにお主を殺めるのは骨が折れそうじゃのぉ」
顎をさすりながら俺を眺める道三。
このおっさん、まだ諦めてないのかよ。
「確かにこれは、織田弾正忠家と同盟を組むのが得策か……。前回の負け戦から、次こそはと思っておったが、それも如何してなかなか上手くいかぬものじゃのう」
ため息をつき、遠くを眺める様にして視線を外す道三。
そんな彼に、俺も優しく答えてやる。
「何をおっしゃいますか。戦を起こし織田家を滅ぼしてしまえば、尾張の旨味は半減してしまいます。しかしこの同盟がなれば、某は山城守殿の娘婿となり、家族となるのです。これ以上の勝ちが他にございましょうか?」
少し言い過ぎかな?
でもまぁこの選択は道三にとって悪い物じゃないだろう。
このまま放っておけば、道三はあと何年かで殺されるんだ。
それなら俺に巻き込まれて、残りの人生を謳歌しても良いんじゃないかな。
俺の話を受け、目を閉じながらしばらく考えこむ道三。
そしてゆっくりと目を開け、ニヤリと笑いながら口を開いた。
「なるほどのぉ。お主を家族とすることが、儂にとって一番価値のあることじゃと、そう申す訳か」
「はい」
道三の挑戦的な質問に、俺は毅然とした態度で答えてやる。
「ふふ、生意気な小僧じゃて。まぁ良い。今回はお主の口車に乗せられておいてやる。が、お主に価値が無いと分かれば――」
「どうぞその時は御随意になされませ。まぁその様なこと、某が生きている限りは起きえないでしょうが」
美濃の国主らしい威厳のある態度で脅しをかけてくる道三。
が、俺もそれを突っぱねてやる。
これからどうなるかなんて正直分からないけど、まぁ生きてる限りは好き勝手やらせてもらうさ。
「その言葉、努々忘れる出ないぞ?」
「はっ」
俺の答えに、厳しくも少し嬉しそうに頷く道三。
「うむ。それではこれからよろしく頼むぞ、婿殿」
「こちらこそ、よろしくお願いいたしまする。義父上殿」
まだまだ信頼関係がしっかりと取れたわけじゃないけど、まぁとりあえずは合格点かな。
あとは平手の爺さんに細かい所を任せてしまうとしようか。
というか後ろの覆面親父はいつまでじっとしているつもりなんだろう。
完全に出る機会を失くしてしまっている気がするんだが。
道三の反応に、皆俺の言っていることが真実だと分かったようだ。
美濃家臣たちのざわめきが大きくなり始めた。
俺は一つ咳ばらいをし、道三に提案する。
「少々口が過ぎたようにございまする。皆様方に要らぬ混乱を招いてしまったようですな。お詫びとして、皆様方に神通力の効果を体験していただきたいのですが、よろしいですかな?」
俺の提案に、道三が訝しむ様にこちらを見る。
しかし諦めたように首を振り、ため息をつきつつ答えた。
「……好きにせい」
「はい。では」
――≪浄化≫――
皆の体が次々と光に包まれていき、身も心も綺麗さっぱりとした状態に変化していく。
最後に、強めの≪浄化≫と≪回復≫を道三に掛けてやった。
「これが神通力、か……先ほど皆の脇差が一人でに折れたのも、その力によるものかの?」
「はい。この半蔵を予め神通力により強化しておりましたので。一瞬のうちに皆様方脇差を折って回った次第にござります」
ざわめきがまた強くなる。
“なんと”“まさか”などと皆口々に言い始めた。
半蔵も少し得意げだ。
「あれだけの大口を叩くだけはある、ということか。確かにお主を殺めるのは骨が折れそうじゃのぉ」
顎をさすりながら俺を眺める道三。
このおっさん、まだ諦めてないのかよ。
「確かにこれは、織田弾正忠家と同盟を組むのが得策か……。前回の負け戦から、次こそはと思っておったが、それも如何してなかなか上手くいかぬものじゃのう」
ため息をつき、遠くを眺める様にして視線を外す道三。
そんな彼に、俺も優しく答えてやる。
「何をおっしゃいますか。戦を起こし織田家を滅ぼしてしまえば、尾張の旨味は半減してしまいます。しかしこの同盟がなれば、某は山城守殿の娘婿となり、家族となるのです。これ以上の勝ちが他にございましょうか?」
少し言い過ぎかな?
でもまぁこの選択は道三にとって悪い物じゃないだろう。
このまま放っておけば、道三はあと何年かで殺されるんだ。
それなら俺に巻き込まれて、残りの人生を謳歌しても良いんじゃないかな。
俺の話を受け、目を閉じながらしばらく考えこむ道三。
そしてゆっくりと目を開け、ニヤリと笑いながら口を開いた。
「なるほどのぉ。お主を家族とすることが、儂にとって一番価値のあることじゃと、そう申す訳か」
「はい」
道三の挑戦的な質問に、俺は毅然とした態度で答えてやる。
「ふふ、生意気な小僧じゃて。まぁ良い。今回はお主の口車に乗せられておいてやる。が、お主に価値が無いと分かれば――」
「どうぞその時は御随意になされませ。まぁその様なこと、某が生きている限りは起きえないでしょうが」
美濃の国主らしい威厳のある態度で脅しをかけてくる道三。
が、俺もそれを突っぱねてやる。
これからどうなるかなんて正直分からないけど、まぁ生きてる限りは好き勝手やらせてもらうさ。
「その言葉、努々忘れる出ないぞ?」
「はっ」
俺の答えに、厳しくも少し嬉しそうに頷く道三。
「うむ。それではこれからよろしく頼むぞ、婿殿」
「こちらこそ、よろしくお願いいたしまする。義父上殿」
まだまだ信頼関係がしっかりと取れたわけじゃないけど、まぁとりあえずは合格点かな。
あとは平手の爺さんに細かい所を任せてしまうとしようか。
というか後ろの覆面親父はいつまでじっとしているつもりなんだろう。
完全に出る機会を失くしてしまっている気がするんだが。
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