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第62話 暗黒大陸の洗礼

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 俺たちは龍の精霊に連れられて、竜人族の里をめざしていた。
 しばらく歩いていると、なにやらゴオオオオという大きな音を耳にした。

「おいこの音はなんだ……?」
「ああ、これはファルコーンの声だね」

 と、龍の精霊は答えた。
 聞き覚えのないモンスター名だ。
 もしかして、暗黒大陸特有のモンスターなのか?

「ファルコーン?」
「巨大な空を飛ぶ鳥さ、まあ危険なモンスターではあるけど、こちらからなにもしなければ大丈夫さ」
「ふぅん……」

 そう聞き流していると。

「うおおおおおおお! ここじゃぞ! 降りてこおおおい!」

 とカンナが大声で空に向かって叫びだした。

「なにやってんだてめええええええ!!!!」

 俺は急いでカンナを羽交い絞めにする。
 ここにはサテナも龍の精霊もいるんだし、無駄な戦いは危険だし、なるべく避けたかった。
 だというのにこのバカは、強敵だときいてファルコーンをおびき寄せようとしやがった。

「きゅえええええええ!!!!」

 ファルコーンは俺たちを見つけると、上から襲い掛かってきた。

「うお……!」

 さすがは暗黒大陸のモンスターだ。
 向こうにいる生き物とは比べ物にならない大きさだ。

「にゃぁ……!?」
「カンナ……!?」

 ファルコーンは俺たちのもとまで滑空して降りてくると、そのままカンナを咥えてどこかに飛び去っていった。

「にゃあああああああああ!!!!」
「おい!? 大丈夫か……!?」

 俺は急いで浮遊魔法を使う。
 くそ、カンナのアホめ……。めんどうなことになったな。
 まあ放っておいても、魔王だしさすがに大丈夫だろうけど……。

「喰らえ……! サンダーバード――!!!!」

 俺は空を飛んでいるファルコーンに向けて、雷属性の魔法を放った。
 すると――。

 ――バリバリバリバリバリバリィ!!!!

 俺の手から鳥のような形をした雷の衝撃波が発出され、ファルコーンを追いかけた。
 そしてみごとファルコーンに直撃!

「きゅえええええええええええ!!!!?!???」

 ――ズドーン!!!!

 巨大な怪鳥は地に落ちた。

「よし……!」
「いててて……おいレルギア! 私も殺す気か! 痛かったじゃないか!」
「いや、お前がアホなことするからだろ……」

 っと、俺は地面に降りてくる。
 そういえば、さっき上に上ったときに集落のようなものが遠めに見えたな。
 あれが竜人族の里だろうか。

「ふう、もういから、さっさといくぞ……」

 俺はそういって踵を返した。
 その途端。
 ――きゅええええええええええ!!!!
 再びそのような声が後ろから、今度は大量にきこえてきた。

「なんだ……!?」

 振り向くと、そこには大群をつくったファルコーンがいた。
 巨大な怪鳥だというのに、まるで蜂のような生態だ。

「あの大きさで群れをつくるのか……!? どんな鳥だよ……!?」
「こんどは負けんぞ……!」
「あ、おいバカ……!」

 するとカンナが、とんでもない量の魔力を込め始めた。
 ――ズズズズズズズ。
 まさかここら一帯を吹き飛ばすつもりじゃないだろうな。

「くらえ……! ダークマター――!!!!」

 ――ズドドドドドドン!!!!

「きゅえええええええええええええええええ!!!!!」

 今度はカンナの大闇魔法で、ファルコーンの群れが一気に消滅してしまった。

「なんちゅー威力だよ……」
「ふっふん、暗黒大陸は広くて思い切りぶっぱなせるから気持ちがいいのー」
「だからってやりすぎだろ……」

 カンナが魔法を放ったあとには、なにも残っていなかった。
 ファルコーンを倒すだけなら、正直いってやりすぎだ。

「ねえ、今のはさすがにまずいよ……」
「え……?」

 すると、龍の精霊がそんなことを言い出した。

「今ので危険な他の魔物を呼び寄せちゃったと思うんだけど……」
「なんだって……!?」

 すると龍の精霊の言った通り、カンナが魔法を撃った方向からたくさんのモンスターがぞろぞろと湧いてきやがった。

「これじゃ倒してもらちがあかねえぞ……!? 逃げろ……!!!!」
「うわああああああ!!!!」

 俺たちは竜人族の里めがけてもうダッシュするのだった。


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