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第39話 別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?

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「しまった……! 禁術をつかいおったか……!!!? まだ防御結界が……!!!!」

 王が声を上げる。
 どうやら、敵国からの魔法による攻撃のようだ。
 禁術――太古から魔導書に伝わる、禁断の61の魔法。
 それを使用すれば、国のひとつやふたつは、簡単に滅ぼすことができるという。
 しかし――。

「これが禁断……? せいぜい中級魔法の応用ってとこだろ」
「はい……?」

 俺は魔法攻撃が城に着弾する前に、国全土に防御結界を張った。
 もちろん、城には傷ひとつついていない。
 防御結界に魔法がぶち当たったせいで、閃光や震度は伝わってきたがな。
 おそらく、国の周辺の草原は草がめくれかえってるだろうな。
 周囲の低位モンスターも死んだだろう。
 だが、国には傷ひとつついていない。俺が、つけさせない。

「そ、そんな……。禁断をくらったはずなのに……なにも起こっていない……?」

 宰相が窓から顔を乗り出して、当たりを見渡す。

「ま、まさか……これもレルギア様のお力なのですか……?」
「ん、まあな。さっき結界を張った」
「すごい……今の一瞬で……ありえない……ふつう、この規模の結界を張るには国全土の魔法使いを集めて2週間はかかるというのに……」
「そんな悠長なことしてたら、国が滅んでしまうぞ?」

 しかし宣戦布告してその直後に城を狙ってくるとは、相手はとんでもないな。
 これはこっちもさっと動かないと、なにが起こるかわからないぞ。

「伝令――! 伝令――!!!!」

 すると、さっそくまた伝令係が部屋に走りこんできた。

「な、なんじゃ……!? なにごとじゃ……!?」
「王国の外に、国を取り囲むように、数体の巨人が出現……!!!! 今現在、王国軍で対処していますが……第3防衛ラインを、突破されましたあああああああああ!!!!」
「なに……次はタイタンじゃと……!!!?」

 ほらな。相手は不意打ち上等でこちらを滅ぼす気だ。
 そうとうこっちにびびってるものとみた。
 まあ、俺を魔王扱いしてるわけだし、そのくらいの覚悟はあるわな。

「じゃあ、俺そいつら倒しに行ってくるわ……!」
「れ、レルギア様……!? よ、よろしくお願いします……!!!!」

 俺はさっそく、トカゲを呼び出して前線まで繰り出した。



◆◆◆



「大丈夫か……!?」
「だ、大賢者殿……!」

 俺は王国軍の前線基地にまでやってきた。
 そこには顔見知りの将軍が指揮をとっていた。

「ご覧ください。あれが敵国の兵器、タイタンです」

 彼が指さした方向を見ると、そこにはのっしのっしとこちらへ向かってくる人型のゴーレムがいた。

「あれがタイタン……? せいぜい泥人形だろ」
「は、はい……?」
「別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」
「も、もちろんですが……。我々も試しましたが、アレに魔法は効きません……!」
「なら、魔法以外で対処すればいいだけだ……!」

 俺は、おおきくいきをすいこんだ――!
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