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後編
しおりを挟む「フィン」
目を開けると、視界いっぱいに広がるルドラの顔。あぁ、久しぶりに見たけど、相変わらず素敵。素晴らしい毛並みだよ。触りたくて腕をのばすが避けられてしまった。
ルドラはバース性が判明してから以前の様に触らせてくれなくなった。ルドラがアルファで僕がオメガだから。そして…キースが現れたから。でもね、今日は逃がさないよ!!
ルドラは完全なる狼の獣人。獣が二足歩行してる感じだ。人間も少ないが獣人も少ない。大半は半獣人なのだ。ルドラの毛並みは素晴らしい!!体も大きく、小さい頃は抱きつくのが大好きで、しょっちゅう抱き枕にして一緒に昼寝してた。大きな手も大好き!!いつも優しく僕の頭を撫でてくれる。一度離れてしまった手。それを取り戻す為なら僕は何だってやる!!好き、大好き。だから僕を…。
「ルドラ…」
熱っぽい声で名前を呼ぶ。ようやく来た…この時をずっと待ってた…。ルドラが手で鼻を隠す。おそらく僕のフェロモンが出ているせいだ。
「フィン!!発情期なのか?!抑制剤は?!」
「持ってない…ルドラ…」
「くっ、待ってろ。キースを呼ぶ」
まてまてまてまて!!キースを呼ぶんじゃなーい!!あんな奴に体を許してたまるか!!
「ルッ、ルドラ!!キースはもう婚約者じゃないんだ…元々好きでもないし…」
父がキースの強引さに負けて婚約しちゃっただけだから!!話を聞いた時は一生口を聞いてやらん!!と激怒したもんだ…。僕の意思を聞かないなんて!!
「婚約者じゃない…?」
こくんと頷く。それに初めてはルドラじゃないと嫌だ!!僕の全てをあげるから…だからルドラの全てを僕に…
「ルドラ…きて…」
もう一度腕をのばす。今度は避けられる事無く、もふもふに触れることが出来た。あぁ、この毛ざわり…僕の、ぼくのモノだよ。誰にも渡さない。首にしがみつき、ルドラのフェロモンの匂いを嗅ぐ。柑橘系の甘い匂いがする。
「フィンが…体調を崩せば…見舞いと言って近づける…」
んっ?何になに?
「キースが浮気する度にお前が悲しむ顔をする。俺ならば絶対にそんな顔はさせないッ…!!だが、お前はキース選んだ…そう思っていた。キースが憎かった…殺したいほど憎くて…羨ましかった…」
えっ、自惚れてもいいですか?僕、めちゃくちゃルドラに愛されてるって自惚れてもいいですかー?!嬉しい!!嬉しい!!頭の中の妄想ではいつも両想いだった!!まさか現実でも両想いだなんて!!
「ルドラ…好き…好き過ぎて辛いぐらい…好き」
首につけているチョーカーを外す。それからの僕達に言葉なんて要らない。お互いの体を熱を確かめる様に抱き合う。ルドラがパジャマの上から僕の乳首を少し引っ掻く様に上から下に何度も繰返す。じわじわと快感が生まれてくる。もどかしい…直に触って欲しくて胸を突き出してしまう。
思いが伝わったのか、パジャマの上を脱がされる。ルドラの指の爪で乳首を何度も弾かれ、僕の口からは、だらしない喘ぎ声が止まらない。更に指で摘まれ、ひねっては戻すを繰り返し、最後に両方の乳首を引っ張られ、ようやく胸の愛撫が終わった…。なんてこった…胸だけでイカされるなんて…。ルドラ上手すぎる…。まさか!!誰かと…?!うぅっ、考えたら悲しくて泣けてきた…。
「フィン?!どうした?!痛かったか…?」
違う!!違うよ…ルドラは僕のなのに…他の誰かに触られたと思うと…ぐずっ
「るどらぁ…ぼくっ、ひっ…ぼくだけをみてぇ…」
「フィン…。何を考えてるかはわからんが…俺にはフィンだけだ。フィンしか要らない」
「でもぉ…ぐっ…エッチ上手だし…」
「そうか…上手いか…くくっ」
僕が泣いてるのに何笑ってるんだよ!!胸に頭突きをくらわす。が、意図も簡単に受け止められ、抱きしめられた。仕方がないので、顔をスリスリしてもふもふを堪能する。
「俺はな…フィンを頭の中で何百回、いや何千回かもな…犯した。色んなフィンを楽しんだ。それが功を奏したな」
なんだとー?!ルドラの頭の中の僕め!!なんて羨ましいんだ!!いつからだ?!いつからなんだー!!僕なんて今日が初めてだぞ!!悔しいー!!
「ルドラ!!全部して!ルドラが僕と想像した事!!全部して欲しい!!」
負けてなるものか!!
「あぁ。全部してやる。俺の可愛いフィン。俺の唯一」
そして僕は言った言葉を少し後悔するほど、ルドラの愛を思い知った…。獣人って、みんな絶倫なのね…。凄いわ。
僕は無事ルドラと番になれた!!サラバ!!僕のチョーカーよ!!久しぶりに項を晒すからスースーするな。両親にはちゃんと事後報告した。卒業したら結婚かー。ルドラは超がつく一流企業の社長の息子らしい!!僕は肩書きなんてどーでもいい。ルドラが良い!!
あと、キースはね…今は休学してる…。浮気相手の1人が身ごもったらしい…。認知するかどうか揉めてる…。自分の子じゃないと言ってるらしいけど…。
そして僕は今、ルドラの立派なしっぽを胸に抱きながら悩んでいる…ルドラの頭の中に出てきた自分に未だに嫉妬してしまう事を…。なんて僕は嫉妬深いんだ…。ルドラが頭の中に出てきたフィンも可愛かった、とか言うからいけないんだ!!思わず眉間に皺が寄ってしまう。ルドラが僕の眉間を肉球でグリグリしてくる。
「フィン。簡単な事だ。俺の頭の中に出てくる必要がないほど現実のフィンが相手をしてくれたらいい」
そっか!!ルドラ頭の良い!!そしてまんまと乗せられて、次の日、学校を休む事となるのだ…。これの繰り返しである。でもいーんだ!!幸せだから!!ねっ、僕の大好きな旦那様!!
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