24 / 41
俺、自重する
しおりを挟む「カーラ…もっと…大きく口を開けろ…」
「ふぁい…ぐっ」
「あぁ…上手だッ…」
「カーラ、ほら手が止まっているよ。こちらにも集中しなくちゃね…」
クルトさんの熱くて太いモノから、ドクドクと波打つ脈が伝わってくる。二人から様付けが無くなったのはいいんだけどね…。どうしてこんな事に…。
遡ること数時間前…。
森です!!ついに森にやって来ました────!!魔物です!!魔法です!!フェードアウトです!!興奮が隠せなくてスキップして進む。どんな魔物かなー。楽しみだなー。っと思っていた自分を殴りたい…。
魔物には会ったよ?会ったんだけどね…虫なのよ…。違うんだよ!!俺が求めていたのは違うの!序盤の魔物と言えば、ゴブリンやオークが相場でしょ?!なんで虫?!しかもめちゃくちゃデカいアリさん!!あの強靭な顎…噛み砕かれるな…絶対にバリボリと骨ごとやられるわ…。
気を取り直してッ!!魔法を使ってみよう。虫と言えば火かな?ファイアボールぐらい?超初級魔法にしないと…森が焼け野原に…なんて洒落にならん!!
「カーラ様お下がりください!!」
「ここは私達が!!」
俺を背に庇う様に立つ二人。カッコイイなー。普通にイケメン行動やん…胸キュンやん。やっぱり攻略対象者だけはあるな。でも、俺、魔法試したいんだ…ゴメンね!!見上げるほど大きなアリさんに手をかざし、心の中でファイアボールと唱える。
アリさんの攻撃とタイミングが重なる。放たれるファイアボール。口から勢いよく火炎放射を噴射するアリさん。混ざり合い辺り一面を焼き尽くす程の炎が…。ヤバ…。
「カーラ様!!」
「ここは引きましょう!!」
大賛成です!!一刻も早く逃げましょう!!ジンさんに抱きかかえられ逃げる。
ふぅー。ここまで来れば大丈夫でしょ。川のせせらぎを眺めながら、先程の事を思い出す。アリさんの癖に火を噴くなんて!!反則だー!!俺が憤っていてると頭上から不穏な会話が聞こえてきた。
「まさか…ファイアアントンの炎の威力が…」
「瘴気の影響かもしれん…上に報告を…」
まずい!!非常にまずい流れですよ!!俺の魔法のせいで…とは、とてもじゃないけど、言える雰囲気ではありません!!ごめんなさい!!次からは気をつけます!!
二人の会話を耳に入れたくなくて、川に近づき手で水を掬う。綺麗だなー。ここだけ見ると平和そうな世界なのに…。
シュルッ
ふぁッ?!気づかない間に、岸辺の向こう側から延びる蔦に片足を取られた。げっ?!ズズズッ────!!体を地面に引き倒され茂みの中に勢いよく引き込まれる。
なんだなんだー?!勢いを止めようと、地面に指を立て爪に土がくい込む程強く縋るが、虚しく跡だけが続く。ドスンッ!!体が何かにぶつかって勢いが止む。
イッてぇ…。ヤバイ…一人で森の中に…。まてよ!でもコレってフェードアウトするチャンスなんじゃ…
ポトッ、ポトッ
服の上に落ちてくるドロリとした液体。人差し指で恐る恐る触れてみた。何?このねっとりとした液体は…正体を確かめようと上を見上げる。
ギョェェェエエ工────!!
なんだこのデカい食虫植物は?!口が俺の方を向いて開いており、先程の謎の液体を垂らしている。気持ち悪い!!四つん這いになり逃げようとするが、蔓が俺の邪魔をする!一本や二本どころ数ではない!!無数の蔓の一つ一つが、明らかな意志を持って俺の手足の自由を奪いに来る。
エロゲの定番!!触手キタ────!!全然嬉しくない!!見る側がいい!!される側はお断りよ!!俺の触手プレイなんて誰得なんだ?!ひぃ────!!エロイベントに突入しないで────!!
16
お気に入りに追加
1,981
あなたにおすすめの小説
兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~
クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。
いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。
本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。
誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
第12回BL小説大賞に参加中!
よろしくお願いします🙇♀️
猫が崇拝される人間の世界で猫獣人の俺って…
えの
BL
森の中に住む猫獣人ミルル。朝起きると知らない森の中に変わっていた。はて?でも気にしない!!のほほんと過ごしていると1人の少年に出会い…。中途半端かもしれませんが一応完結です。妊娠という言葉が出てきますが、妊娠はしません。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる