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すれ違い
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また明日もよろしくとリアカさんに言われて、別れた。
今何時だろう、兵舎のエントランスの時計を見るとすっかり夜になっていた。
疲れているゼロに夕飯を作らせるわけにはいかないと早足で部屋に向かった。
この時間なら昨日と同じでまだゼロは帰って来ていない筈だ。
そう思っていたが、今日はいつもと違うようだった。
「エル、何処に行ってたんだ」
「……兄様」
ドアの前で寄りかかって俺を見つめていたゼロに驚いた。
いつもは帰りが早いと嬉しかったが、後ろめたかったから気まずかった。
「帰りが早いね」とゼロに言うと「俺が早かったら不都合でもあるのか?」と返ってきた。
これは不機嫌なゼロだ、俺が夜遊びしていると思っているのだろうか。
それだけは絶対にない、でもゼロに心配掛けてしまった…今度からあまり遅くならないようにリアカさんと相談してみよう。
今回は医務室の付き添いで時間が過ぎてしまったから、きっと次からは大丈夫だろう。
「兄様、俺…夜遊びしてたわけじゃないよ」
「知ってる、全部見てたから」
全部見てた?いったいゼロは何を見たというのだろうか。
ゼロは答えてくれなかったが、俺が何処に行っていたのか知っているような口調で「あんなところで何していたんだ?」と言っていた。
俺が研究室に行った事知ってるのか?もしかしたら出入りしているところをゼロに見られたのかもしれない。
それなら研究室に行った事は隠しても仕方ない、でもバイトはゼロに止められるかもしれないから言えない。
じゃあ何の用事で行ってたんだと言われたら、答えに困ってしまう。
俺はゼロが気にする事じゃないと思わせるために何でもないように笑った。
「声掛けてくれれば良かったのに!」
「…あそこは貴重品を保管している場所でもあるんだ、主に招かれない奴は入れない」
ゼロの言葉に驚いた、主ってリアカさんだよね…リアカさんの許可がないと入れないのか。
そういえばヤマトはリアカさんに許可をもらって入っていたような気がする。
今日の俺もリアカさんに招かれたから入れた、リアカさんが魔法使いならそういう結界も作れるのかもしれない。
俺とリアカさんの接点を知らないゼロは何故招かれたのか分からないようだった。
「たまたまエントランスで会って、それで意気投合して」としどろもどろで説明する。
昨日エントランス…というか研究室の前で出会ったのは本当だ。
意気投合したのかは分からないが、仲良くしてもらっている。
……ギリギリ嘘ではないかな、と慎重に言葉を選んでゼロの顔色を伺う。
ゼロは眉を寄せてさらに不機嫌な顔をしていた、ゼロもリアカさんが嫌いなのだろうか。
ちょっと変な薬とか作るけど、優しい人だと思うんだけどな。
「今日医務室にも行ってたんだな」
「あ、それは…」
「エル、アイツに何された?」
アイツってリアカさんの事だろうか、ゼロはなにか勘違いしている。
俺がリアカさんに怪我を負わされたと思っているのだろうか。
確かに医務室には行ったけど、それは俺ではなくルキアの付き添いだ。
ルキアの事を知っているか分からないが、誤解を解くためには言った方がいいのは分かる。
今何時だろう、兵舎のエントランスの時計を見るとすっかり夜になっていた。
疲れているゼロに夕飯を作らせるわけにはいかないと早足で部屋に向かった。
この時間なら昨日と同じでまだゼロは帰って来ていない筈だ。
そう思っていたが、今日はいつもと違うようだった。
「エル、何処に行ってたんだ」
「……兄様」
ドアの前で寄りかかって俺を見つめていたゼロに驚いた。
いつもは帰りが早いと嬉しかったが、後ろめたかったから気まずかった。
「帰りが早いね」とゼロに言うと「俺が早かったら不都合でもあるのか?」と返ってきた。
これは不機嫌なゼロだ、俺が夜遊びしていると思っているのだろうか。
それだけは絶対にない、でもゼロに心配掛けてしまった…今度からあまり遅くならないようにリアカさんと相談してみよう。
今回は医務室の付き添いで時間が過ぎてしまったから、きっと次からは大丈夫だろう。
「兄様、俺…夜遊びしてたわけじゃないよ」
「知ってる、全部見てたから」
全部見てた?いったいゼロは何を見たというのだろうか。
ゼロは答えてくれなかったが、俺が何処に行っていたのか知っているような口調で「あんなところで何していたんだ?」と言っていた。
俺が研究室に行った事知ってるのか?もしかしたら出入りしているところをゼロに見られたのかもしれない。
それなら研究室に行った事は隠しても仕方ない、でもバイトはゼロに止められるかもしれないから言えない。
じゃあ何の用事で行ってたんだと言われたら、答えに困ってしまう。
俺はゼロが気にする事じゃないと思わせるために何でもないように笑った。
「声掛けてくれれば良かったのに!」
「…あそこは貴重品を保管している場所でもあるんだ、主に招かれない奴は入れない」
ゼロの言葉に驚いた、主ってリアカさんだよね…リアカさんの許可がないと入れないのか。
そういえばヤマトはリアカさんに許可をもらって入っていたような気がする。
今日の俺もリアカさんに招かれたから入れた、リアカさんが魔法使いならそういう結界も作れるのかもしれない。
俺とリアカさんの接点を知らないゼロは何故招かれたのか分からないようだった。
「たまたまエントランスで会って、それで意気投合して」としどろもどろで説明する。
昨日エントランス…というか研究室の前で出会ったのは本当だ。
意気投合したのかは分からないが、仲良くしてもらっている。
……ギリギリ嘘ではないかな、と慎重に言葉を選んでゼロの顔色を伺う。
ゼロは眉を寄せてさらに不機嫌な顔をしていた、ゼロもリアカさんが嫌いなのだろうか。
ちょっと変な薬とか作るけど、優しい人だと思うんだけどな。
「今日医務室にも行ってたんだな」
「あ、それは…」
「エル、アイツに何された?」
アイツってリアカさんの事だろうか、ゼロはなにか勘違いしている。
俺がリアカさんに怪我を負わされたと思っているのだろうか。
確かに医務室には行ったけど、それは俺ではなくルキアの付き添いだ。
ルキアの事を知っているか分からないが、誤解を解くためには言った方がいいのは分かる。
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