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義賊集団

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※ゼロ視点※

エルをベッドに寝かせて頭を一撫でする。
あまりにもエルが可愛くてつい我慢できず指を入れてしまった。
本気で嫌がってはいなかったが、少し理性を保たないとな。

男を気持ちよくする方法は知らず、手探りでやったが気持ち良さそうだったから良かった。
あんなにエルの中が暖かいものなんだと初めて知った。
ビクビク震えていて少し撫でるだけできゅうきゅう締め付けてきて気持ちよかった。
もっともっとエルの可愛い顔を見たい。

夕食はエルの好物を作ってあげよう、デザートも添えて…
エルが起きるまでに作らないととエルの額にキスを落として寝室を後にした。
エルの姿を見て俺のも反応してしまい、料理を作る前にどうにか処理をしなくてはならない。

兵舎の騎士団長の部屋は三部屋繋がっている。
エルがいる寝室とリビングと執務室だ。
執務室に入り、ソファーに座る。
少し目を閉じるだけで先ほどまでのエルの姿を思い出す。
ズボンの前をくつろげて自分のに触れる。

「…っ、はぁ…っ、エル…好きだ」

本人はここにはいないが、口にするだけで興奮が高まり擦る手を早めた。
息も大きく吐いて、すぐにでも絶頂を迎えそうなほど興奮している。
声を押し殺して手の中に果てる。

エルを心から手に入れたいという欲求が日に日に増していった。

「…エル」と切なく呟き、微笑んだ。






※※※

冷蔵庫に食材があっただろうかと冷蔵庫を開けると部屋がノックされた。

「誰だ」

「俺~、俺俺~!!」

名前を名乗らない訪問者はずっと「俺」を連発していた。
無視をして、材料が足りないなと考えて買いに行こうと冷蔵庫を閉じた。

するとしびれを切らした訪問者はやっと「ヤマトだってばぁ~!!」と叫んでいた。
こんなアホな訪問の仕方をするのは一人しかいないから知ってる。

面倒そうに部屋のドアを開けるとヘラヘラと笑うヤマトが顔を覗かせていた。
俺の戦い方に付いていけるのは数えるくらいしかいない、長年の付き合いだからかヤマトはそれが出来るから右腕の副騎士団長に任命した。
ただ、俺の知らないうちに二人が仲良くなっているのが気に入らない。
エルに聞いたらずっと俺の話をしていると言っていたが、それでも俺以外に笑いかけるエルは見ていて気分がいいものではない。

エルが何処にいるのか分かるように部屋の鍵に付いている小さな黒猫の人形に俺の魔力で動く探知機を装着した。
どこにいるかだけじゃなく音声を拾う探知魔導具にすれば良かっただろうか。

「会って早々怖い顔しないでよー」

「それで、何の用だ?」

「頼まれていたもの、持ってきたよ」

ヤマトがずっと脇に抱えていた資料を渡された。

これは俺達騎士団が追っているとある集団の資料だ。
まだそれまで王都中に知れ渡っているわけではないからエルは知らないだろう。

エルはターゲットにならないだろうが、いつこの殺人集団が牙を向くか分からないから先に捕まえた方がいいだろう。

義賊だなんだとコイツらを知る奴らはそう口にする。

俺が騎士団長になってから分かった事がある。
他の騎士の奴らは知らないだろう。

騎士団が何故差別社会の象徴と言われているか知らなかった…それは世間一般の差別が可愛く思えるほどにこの箱庭の中での差別は残酷なものになっているからだ。
詳しくは知らない人が多いだろうが、何となく分かっている人もいるだろう。

この世はとても理不尽で出来ている。

大量殺人を犯した犯罪者を捕まえた場合、捕まえると必ず裁きの間と呼ばれる場所に連れていかれる。
騎士に囲まれ、中心に罪人が立ち…騎士団長が罪状を読み上げ相応の裁きが下される。
そこで罪状を読み上げる前に質問されるのは魔法使いか否か。
魔法使いだと犯罪者が言うと、子供の頃誰もがやる魔力診断の時に使われる水晶で本当かどうか確かめる。

もし本当だったら、そこで裁きは終わり…どんな罪状であれ無罪となる。

俺はその裁きの場を初めて見た時、騎士団の裏の姿に触れた。
そうか、グラディオ様も同じものを見ていたのかもしれない。
何故、人間が罪を犯したら軽いものでもすぐに死刑なのに魔法使いは許されるんだ。

そんなの可笑しいだろ、あってはいけないんだ。
あの時の俺はまだただの騎士団員なだけだったから何も出来なかった。
何度も罪人が無罪になり、再び犯罪を犯す姿を見る度に何も出来ない自分を恥じた。

こんな情けない姿、エルに見せられない。

でも今の俺は騎士団長だ、騎士団を正しい道に引っ張る必要がある。

グラディオ様はたった一人で立ち向かい、差別の世界に絶望した。
だから俺は人間も魔法使いも平等に裁くようにヤマトと共に変えていった。
裁きの間の決定権は騎士団長にある、だから俺の一声で誰でも裁ける。
だから前の騎士団長は自分の好みで好き勝手やっていたのだろう。

無罪を確信していた魔法使いには犯した罪の重さと同じくらいの裁きを言い渡した。
最後まで悪あがきをしていた犯罪者を見て、こんな奴らを守る価値はないと思った。

人間達には感謝されるが、魔法使い達には冷酷な男だと言われている。
俺は自分が正しいと思った事をしているだけだ。
それは根元まで既に腐敗していた騎士団の連中にまで俺達のやり方に反発する者も少なからずいた。
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