3 / 22
時代の始まり
2話
しおりを挟む
「シルエラなのか……?」
そこには前の俺と冒険をした顔なじみが立っていた。
「---様なの? 本当に?」
言っていることの一部が聞こえない。文脈的に俺の昔の名前を呼んでるんだろうけど……。俺は昔の俺を認識できない。どうしよう……。
「あ、そうか。---っていうのはわからないんだった」
むこうもそのことを思い出してくれたらしい。
「えっとね、あなたいろんなスキルを持ってたりしない?」
「ああ、持ってるよ」
「てことは最初のスキルは《転生》だったりしない?」
「そうだよ、シルエラ」
証明として名前を言ってあげる。
「やっぱりだー!! ーーー様と会えた! 良かったよー。うわぁーん」
泣きがはいってる。
「いや、俺は今ユウトだ。昔の俺の名前はわかんないから」
「そうだよね。じゃあユウト君って呼ぶね」
こいつはシルエラ。俺が《大賢者》だった時に一緒に冒険していた《魔法使い》だ。へっぽこだが。
「なんでお前がここにいるんだ? おれは何十年と言わずもっと前に死んだはずだろ? いくら俺より小さかったとはいえまだ生きているはずがない」
「よくぞ聞いてくれました!!」
なんだよ急に。テンション上がりすぎだろ。
「---様っじゃない。ユウト君は大賢者の時に特殊技能で《時渡》を完成させたでしょ?」
「うん、だがあれは結局誰に教えても俺しか成功しなかったはずだけど」
「ユウト君が死んだあとも、いろんな人が挑戦して諦めてたんだけど。私は諦めずに! 延々と試行錯誤を繰り返した結果が今です!!」
褒めて褒めてって感じでこっちを見るなよ……。
「それはすごいな。あのお前が……」
「でしょでしょ!」
「だが俺はシルエラにこんな気安くしゃべっていい許可なんてだした覚えないんだけど」
そういって俺は《威圧》を発動させる。
「ひぃっ、ごめんなさいごめんなさいもうしません許してください」
あれ?
「お前こんなに怯えてたっけ?」
「いやユウト君の《威圧》が強くなってるんだよ……」
そうなのか。あ、そういえば
「《魔王》の時に確かに強くなった気がするな……」
「そんなことしてたのユウト君……」
それはそれとして。
「誰を君付けで呼んでるのかなー?」
「ごめんなさいユウト様」
頬をぎりぎり引っ張るとすぐに昔の呼び方に直した。
「でも私がユウト様に様付けしてるほうがおかしくないですか?」
「知るか」
腹が立つだろ。
「そんなぁー」
グルルゥ。
あ、忘れてた。
「悪かったな。ほうったまんまにしてて。そういえばシルエラはなんで俺が俺だとわかったんだ? 容姿も全くかけ離れているけど」
ドラゴンを撫でながら気づいたことを聞いてみる。
「昔みたいにシルでいいですよ。そりゃ10歳かそこらでドラゴンを呼び出してる人見たら疑いますよ……。ありえないじゃないですか」
それもそうか。
「ちなみに言っとくけどこのドラゴンは呼び出したわけじゃないぞ?」
「じゃあどうしたんですか」
「《創造》した」
「は? じゃあユウト様はこのドラゴンの存在概念を《創造》したってことですか?」
「伊達に時渡を完成させてないな。呑み込みが早くて助かる」
「えぇ、まぁわかってましたよユウト様がそういう人なのは…」
フンス!
ドラゴンが自慢するかのように胸を張る。
いちいちドラゴンって言うのおかしいな……。
「じゃあお前の名前はプリュムだ。これからよろしくな」
名付けたはいいものの、
「シルは野宿でいいとしても世話を頼むのはさすがになぁ」
「やめてください。一晩で灰ですよ」
「いやプリュムは氷竜だから氷漬けになるだけで済むぞ」
「いやそれ人間が死ぬには十分ですから!」
防ぎようはあると思うけどなぁ。
「よしプリュム。人間に化けてついてこい。記憶がない体でいくぞ」
そういって俺は《賢者》時代の魔法を発動させる。
「擬人化」
するとプリュムの姿が縮み、どんどん小さくなって……。
とうとう6歳くらいの女の子になった。
「お前メスだったの!?」
衝撃である。シルの登場なんぞ比べ物にならない。
「なんでですか! 私けっこう頑張ったんですけど!」
見た目が幼いのは俺が創造してから成長しているからか。
「言葉はしゃべれるか?」
と聞くと、ふるふると首を振る。さすがに厳しいか。
「じゃあ俺がうまく言うからなんとなく合わせてくれ」
そういって歩き出すと
こてんっ。
追いかけようとしたプリュムが転んだ。ドラゴンとしても歩いてないのに人に化けた状態で歩けないのは当然か。
なので……。
ひょいとプリュムを抱きかかえ、連れて行くことにする。
「じゃあ俺たち戻るから。そこらへんに隠れててくれ」
「お姫様抱っこ……。私もしてもらったことないのに……」
「おい、聞いてる?」
「あ、はい! 見つからないようにします」
「くれぐれも注意しろよ」
そう言ってシルを置いてプリュムと2人で、いや1人と1匹で村に戻った。
そこには前の俺と冒険をした顔なじみが立っていた。
「---様なの? 本当に?」
言っていることの一部が聞こえない。文脈的に俺の昔の名前を呼んでるんだろうけど……。俺は昔の俺を認識できない。どうしよう……。
「あ、そうか。---っていうのはわからないんだった」
むこうもそのことを思い出してくれたらしい。
「えっとね、あなたいろんなスキルを持ってたりしない?」
「ああ、持ってるよ」
「てことは最初のスキルは《転生》だったりしない?」
「そうだよ、シルエラ」
証明として名前を言ってあげる。
「やっぱりだー!! ーーー様と会えた! 良かったよー。うわぁーん」
泣きがはいってる。
「いや、俺は今ユウトだ。昔の俺の名前はわかんないから」
「そうだよね。じゃあユウト君って呼ぶね」
こいつはシルエラ。俺が《大賢者》だった時に一緒に冒険していた《魔法使い》だ。へっぽこだが。
「なんでお前がここにいるんだ? おれは何十年と言わずもっと前に死んだはずだろ? いくら俺より小さかったとはいえまだ生きているはずがない」
「よくぞ聞いてくれました!!」
なんだよ急に。テンション上がりすぎだろ。
「---様っじゃない。ユウト君は大賢者の時に特殊技能で《時渡》を完成させたでしょ?」
「うん、だがあれは結局誰に教えても俺しか成功しなかったはずだけど」
「ユウト君が死んだあとも、いろんな人が挑戦して諦めてたんだけど。私は諦めずに! 延々と試行錯誤を繰り返した結果が今です!!」
褒めて褒めてって感じでこっちを見るなよ……。
「それはすごいな。あのお前が……」
「でしょでしょ!」
「だが俺はシルエラにこんな気安くしゃべっていい許可なんてだした覚えないんだけど」
そういって俺は《威圧》を発動させる。
「ひぃっ、ごめんなさいごめんなさいもうしません許してください」
あれ?
「お前こんなに怯えてたっけ?」
「いやユウト君の《威圧》が強くなってるんだよ……」
そうなのか。あ、そういえば
「《魔王》の時に確かに強くなった気がするな……」
「そんなことしてたのユウト君……」
それはそれとして。
「誰を君付けで呼んでるのかなー?」
「ごめんなさいユウト様」
頬をぎりぎり引っ張るとすぐに昔の呼び方に直した。
「でも私がユウト様に様付けしてるほうがおかしくないですか?」
「知るか」
腹が立つだろ。
「そんなぁー」
グルルゥ。
あ、忘れてた。
「悪かったな。ほうったまんまにしてて。そういえばシルエラはなんで俺が俺だとわかったんだ? 容姿も全くかけ離れているけど」
ドラゴンを撫でながら気づいたことを聞いてみる。
「昔みたいにシルでいいですよ。そりゃ10歳かそこらでドラゴンを呼び出してる人見たら疑いますよ……。ありえないじゃないですか」
それもそうか。
「ちなみに言っとくけどこのドラゴンは呼び出したわけじゃないぞ?」
「じゃあどうしたんですか」
「《創造》した」
「は? じゃあユウト様はこのドラゴンの存在概念を《創造》したってことですか?」
「伊達に時渡を完成させてないな。呑み込みが早くて助かる」
「えぇ、まぁわかってましたよユウト様がそういう人なのは…」
フンス!
ドラゴンが自慢するかのように胸を張る。
いちいちドラゴンって言うのおかしいな……。
「じゃあお前の名前はプリュムだ。これからよろしくな」
名付けたはいいものの、
「シルは野宿でいいとしても世話を頼むのはさすがになぁ」
「やめてください。一晩で灰ですよ」
「いやプリュムは氷竜だから氷漬けになるだけで済むぞ」
「いやそれ人間が死ぬには十分ですから!」
防ぎようはあると思うけどなぁ。
「よしプリュム。人間に化けてついてこい。記憶がない体でいくぞ」
そういって俺は《賢者》時代の魔法を発動させる。
「擬人化」
するとプリュムの姿が縮み、どんどん小さくなって……。
とうとう6歳くらいの女の子になった。
「お前メスだったの!?」
衝撃である。シルの登場なんぞ比べ物にならない。
「なんでですか! 私けっこう頑張ったんですけど!」
見た目が幼いのは俺が創造してから成長しているからか。
「言葉はしゃべれるか?」
と聞くと、ふるふると首を振る。さすがに厳しいか。
「じゃあ俺がうまく言うからなんとなく合わせてくれ」
そういって歩き出すと
こてんっ。
追いかけようとしたプリュムが転んだ。ドラゴンとしても歩いてないのに人に化けた状態で歩けないのは当然か。
なので……。
ひょいとプリュムを抱きかかえ、連れて行くことにする。
「じゃあ俺たち戻るから。そこらへんに隠れててくれ」
「お姫様抱っこ……。私もしてもらったことないのに……」
「おい、聞いてる?」
「あ、はい! 見つからないようにします」
「くれぐれも注意しろよ」
そう言ってシルを置いてプリュムと2人で、いや1人と1匹で村に戻った。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
もふもふ好きの異世界召喚士
海月 結城
ファンタジー
猫や犬。もふもふの獣が好きな17歳の少年。そんな彼が猫が轢かれそうになった所を身を呈して助けたが、助けた彼が轢かれて死んでしまった。そして、目が醒めるとそこは何もない真っ白な空間だった。
最弱国の転生魔王の異世界統一
ねいばー
ファンタジー
ベタなオチにも程があると言いたいが、俺は冬に車に轢かれて死んだ。
そしてなんでも願いを叶えると言う約束の下、異世界を統一する為に、俺は一国の魔王に転生する。
しかし、俺が転生した国は滅亡1週間前で…⁈
俺は本当に異世界統一なんて出来るのか⁈
最弱国からスタートの魔王はどんな世界を作り上げるのか…
500〜1000文字程度で投稿します。
勉強、仕事の合間や長編小説の箸休めとして美味しくいただいてください。
オワリ ト サイセイ
ここはオワリの場所
サイセイの場所はマダナイ
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
しっかり者のエルフ妻と行く、三十路半オッサン勇者の成り上がり冒険記
スィグトーネ
ファンタジー
ワンルームの安アパートに住み、非正規で給料は少なく、彼女いない歴35年=実年齢。
そんな負け組を絵にかいたような青年【海渡麒喜(かいときき)】は、仕事を終えてぐっすりと眠っていた。
まどろみの中を意識が彷徨うなか、女性の声が聞こえてくる。
全身からは、滝のような汗が流れていたが、彼はまだ自分の身に起こっている危機を知らない。
間もなく彼は金縛りに遭うと……その後の人生を大きく変えようとしていた。
※この物語の挿絵は【AIイラスト】さんで作成したモノを使っています
※この物語は、暴力的・性的な表現が含まれています。特に外出先等でご覧になる場合は、ご注意頂きますようお願い致します。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
世界樹の加護を受けし王
reki0
ファンタジー
異世界へと召喚された主人公。
『王の資格』を手に入れ、『世界樹の加護』を受け取る。
世界樹から国を造り、世界の国々を統一するように言われる。
奴隷救出に居住区建設、食糧生産と大変な日々だが少しずつ国の規模を大きくしていく。
どんどんと国の規模が大きくなることによって、周辺諸国は脅威と認定。
「だがこれはチャンスだ」
世界の管理者である世界樹に準ずる力を持つ主人公はどんどん他国を取り込んでいく。
いつか、世界を統一することを目指して。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる