クレハンの涙

藤枝ゆみ太

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【クレハンの涙】第一章

55話

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「人一人って言うけど……本当に人間なのかい?アタシは気味が悪いよ」

正真正銘しょうしんしょうめいの人間かどうかは、うーん……分からねぇ。とにかく仮人間って事で、ベッドにでも寝かせておくか」

「あと、服だねぇ。素っ裸だし。あっ、確かお父さんの服がタンスにいっぱいあったわっ」

 キマノとミルキーは取り敢えず仮人間に服を着せ、ラビのベッドに寝かせつけた。

「ちょっ、何で私のベッドを使うのよっ!」

「お前の『お肉ちゃん』なんだろ?」

「うぐっ」

 絶句するラビを見て、大人二人はニヤニヤ笑う。

 一通りの支度が終わり、ミルキーは酒場の準備に、キマノはクムート医院を開けに、そしてラビは仮人間『お肉ちゃん』の看病にと、それぞれの仕事を始めだした。

 ミルキー曰く、『自分のモノと言った以上、最後の最後まで面倒みろ』との事。

「そんな事言ったってさぁ」

 ガックリ項垂れるラビの横で、お肉ちゃんはそれは気持ち良さそうにスヤスヤ眠っている。

「いい気なもんよねぇ」

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