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【クレハンの涙】第一章
43話
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「……」
ラビは光の前まで来たが、どうしても中に飛び込む気になれない。
不安な気持ちが胸一杯に広がって、ここまで来た事を少し後悔していた。
「やっぱり、あそこで待ってた方が良かったかも。……戻ろ」
ラビは急いでこの紫色の光から離れようとしたが、いくら走っても距離が広がる事はない。
むしろ、光が自分を呑み込もうと近付いて来るようにさえ見える。
「は、早く、早く早く早く早く早くっ!」
もう、元の位置すら分からないまま全力で走った。
あの光はダメ。
何故かは分からないが、ラビの中の本能がそう叫んでいた。
死に物狂いで逃げろ!と叫んでいた。
「誰かーっ、誰かいないのーっ!」
必死に叫ぶが、その声も闇に呑まれてしまう。
紫色の光は、今にもラビを包み込もうと言う程に接近していた。
「い、いやぁぁぁぁっ!お母さんお父さん助けてーーっ!」
……ラビッ!こっちっ……
どこからか先程の声がした途端、彼女は強烈な真っ白い光に包まれた。
オオオォォォォォォォォォォォォォォォ
獣の咆哮のような音が空気を激しく震わせる。
全てを包み込む程の真っ白い光が収まった時には、ラビを追い回していたあの紫色の光は、何処にも無くなっていた。
ラビは光の前まで来たが、どうしても中に飛び込む気になれない。
不安な気持ちが胸一杯に広がって、ここまで来た事を少し後悔していた。
「やっぱり、あそこで待ってた方が良かったかも。……戻ろ」
ラビは急いでこの紫色の光から離れようとしたが、いくら走っても距離が広がる事はない。
むしろ、光が自分を呑み込もうと近付いて来るようにさえ見える。
「は、早く、早く早く早く早く早くっ!」
もう、元の位置すら分からないまま全力で走った。
あの光はダメ。
何故かは分からないが、ラビの中の本能がそう叫んでいた。
死に物狂いで逃げろ!と叫んでいた。
「誰かーっ、誰かいないのーっ!」
必死に叫ぶが、その声も闇に呑まれてしまう。
紫色の光は、今にもラビを包み込もうと言う程に接近していた。
「い、いやぁぁぁぁっ!お母さんお父さん助けてーーっ!」
……ラビッ!こっちっ……
どこからか先程の声がした途端、彼女は強烈な真っ白い光に包まれた。
オオオォォォォォォォォォォォォォォォ
獣の咆哮のような音が空気を激しく震わせる。
全てを包み込む程の真っ白い光が収まった時には、ラビを追い回していたあの紫色の光は、何処にも無くなっていた。
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