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章6 切り開くもの
子犬様たちに毛布をプレゼントする
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師匠から槍の手解きを受け、若干の疲れを感じつつも、フェン様と子犬たちに会うことを許された。
高ぶる魂を落ち着かせながら、今にでも走り出したい青春真っ盛りの俺だ。
しかし腐っても俺はケモスレ上位のデューク。バロンなどという下っ端のように取り乱したりはしない。
予め妖怪ポシェットより取り出しておいた毛布を子供たちへプレゼントする。
いつもであれば狩猟訓練用の木彫りイノシシも出すのであるが、現在はルリ様が標的役に就任しているため持参してきていない。
子犬からはイノシシジャーキーをくれるニイチャンという認識なんじゃないかな。
もちろん持参してきているジャーキーを配りつつ子犬たちをモフらせてもらう。
焦ってはいけない、匂いを嗅いだり舐めて味見をしたりするのはエルちゃんだけにする予定だ。
本人の許可を得るためにどんな要求にも答えるつもりである。
子犬たちを見るのは2週間ぶりである、以前見たときよりも更に成長している。
エルちゃんも中型犬くらいの大きさだな。頼もしきことこの上ない。
日頃ルリ様を仮想イノシシとして訓練を欠かさない勤勉なる子犬様たちの成長速度は眼を見張るほどだ。
思う存分撫で回したあと、師匠宅を後にする。
次に訪れるときは狂犬病予防接種を終えているのでエルちゃんと一緒に旅立つことになる。実に楽しみだ。
さて久しぶりに我が家へ帰るとするか。
気合充実、今の我に不可能はない。妖怪コアをオンにして周囲へ妖怪センスを飛ばす。
ニンゲンの気配はない。妖怪ウォッチの隠蔽機能をオンにして妖怪ウイングを展開し飛翔、我が家へ向かう。
退院直後でフラつきはあるものの無事に帰宅できた。
玄関に置いている妖怪ショップから取り寄せた「摩訶不思議!恐怖の妖怪空間発生装置」を起動。
これでクマやイノシシに怯えること無く家で過ごすことが出来る。
とても久々に感じる自宅、水道の蛇口を捻り通水しておく、長い間使用していない水道管から出る水は腐っている可能性があるためだ。飲むのにはもう少し放水する必要があるな。冷水シャワーを浴びるぶんには問題無さそうなので汗を流しておこう。ガスを契約していないので温水ではないのだ。
熾しておいた焚き火にあたり暖を取る。
旧三種の神器と言われる冷蔵庫、テレビ、洗濯機。我が家にはカラーテレビしか無い。
数少ない生活家電のカラーテレビを居間から持ち出して縁側に置いて見つつ、イノシシの端肉で作った干し肉を取り出しあぶる。
原始的生物ライフをしても気にならなくなってきたな。1年前の俺だったら信じられない状況だ。
くノ一修行中の怪人ヤマネも富士山の麓にあるニンジャビレッジで似たような生活をしているのだろうか。
案外エンジョイしている気もする。確かWifiもあるはずなので干からびて死ぬこともないだろう。
短い期間しか住んでいないこの邸宅はどうするかなー、解約してしまっても問題ない気もするな。
庭から見渡す我が城には殆ど生活感がない。
あるものは、中庭にある炊事場と若干数の畳を敷いた居間、そして寝袋。
うむ、空き家と思われても仕方のない有様だ。子供が空き家と思い込んで秘密基地化してしまっても不思議がない雰囲気を醸し出している。車が庭に置きっぱなしなので、誰か住んでいるじゃないかな?と思ってくれると助かる。
久しぶりに車を運転してみるか、妖怪ウイングを手に入れてから必要性を感じなくなったのよなー。
晩飯前には妖怪互助会本部へ帰還する予定であったが、車に乗ってコンビニに買い物に行ってみようかな。
放置しすぎるとバッテリーが上がってエンジンがかからなくなる可能性もあるし。(エンジンはナマモノなのよ)
車へキーを刺してセルを回してみる、久しぶりだったけどエンジンは腐っていないようだ。
30分ほどバッテリーに充電もする意味も含め、エンジンを回しておく。
「摩訶不思議!恐怖の妖怪空間発生装置」のせいなのかエンジンの他に虫のなく音もしない。
実に平和な世界である。
庭に熾しておいた炭を火瓶の中にいれて消火を確認。
その後、コンビニを冷やかしがてらドライブ。実にゆっくりとした静岡時間がすぎてゆく。
静岡に来てから、炎のような激しい生活の連続であった。会社づとめしていたときも充実した生活ではあったのだが、質の違う充足感をもたらす生活だ。
当初予定していたサバイバル色は微塵もない。自宅に居るときのほうがサバイバーだ。
自宅へ戻り、車を庭においておく。次ここに戻るのは何時になるのだろうな。
ふと居間に目をやると弱い妖怪パワーを感じる。
誰か居るのか?先程までは感じなかったのだが…
寝袋を捲ってみると小さな子供が眠っていた。ニンゲンではなさそうで安心する。
もしニンゲンだったのなら大事だ、静岡県警がマッハで自宅を包囲、豚箱まっしぐらの案件である。
若干タヌキっぽいな、メスの妖怪か? 妖怪0歳児の俺からすると間違いなく年上の妖怪であろう彼女を揺すって起こそうとする。
高ぶる魂を落ち着かせながら、今にでも走り出したい青春真っ盛りの俺だ。
しかし腐っても俺はケモスレ上位のデューク。バロンなどという下っ端のように取り乱したりはしない。
予め妖怪ポシェットより取り出しておいた毛布を子供たちへプレゼントする。
いつもであれば狩猟訓練用の木彫りイノシシも出すのであるが、現在はルリ様が標的役に就任しているため持参してきていない。
子犬からはイノシシジャーキーをくれるニイチャンという認識なんじゃないかな。
もちろん持参してきているジャーキーを配りつつ子犬たちをモフらせてもらう。
焦ってはいけない、匂いを嗅いだり舐めて味見をしたりするのはエルちゃんだけにする予定だ。
本人の許可を得るためにどんな要求にも答えるつもりである。
子犬たちを見るのは2週間ぶりである、以前見たときよりも更に成長している。
エルちゃんも中型犬くらいの大きさだな。頼もしきことこの上ない。
日頃ルリ様を仮想イノシシとして訓練を欠かさない勤勉なる子犬様たちの成長速度は眼を見張るほどだ。
思う存分撫で回したあと、師匠宅を後にする。
次に訪れるときは狂犬病予防接種を終えているのでエルちゃんと一緒に旅立つことになる。実に楽しみだ。
さて久しぶりに我が家へ帰るとするか。
気合充実、今の我に不可能はない。妖怪コアをオンにして周囲へ妖怪センスを飛ばす。
ニンゲンの気配はない。妖怪ウォッチの隠蔽機能をオンにして妖怪ウイングを展開し飛翔、我が家へ向かう。
退院直後でフラつきはあるものの無事に帰宅できた。
玄関に置いている妖怪ショップから取り寄せた「摩訶不思議!恐怖の妖怪空間発生装置」を起動。
これでクマやイノシシに怯えること無く家で過ごすことが出来る。
とても久々に感じる自宅、水道の蛇口を捻り通水しておく、長い間使用していない水道管から出る水は腐っている可能性があるためだ。飲むのにはもう少し放水する必要があるな。冷水シャワーを浴びるぶんには問題無さそうなので汗を流しておこう。ガスを契約していないので温水ではないのだ。
熾しておいた焚き火にあたり暖を取る。
旧三種の神器と言われる冷蔵庫、テレビ、洗濯機。我が家にはカラーテレビしか無い。
数少ない生活家電のカラーテレビを居間から持ち出して縁側に置いて見つつ、イノシシの端肉で作った干し肉を取り出しあぶる。
原始的生物ライフをしても気にならなくなってきたな。1年前の俺だったら信じられない状況だ。
くノ一修行中の怪人ヤマネも富士山の麓にあるニンジャビレッジで似たような生活をしているのだろうか。
案外エンジョイしている気もする。確かWifiもあるはずなので干からびて死ぬこともないだろう。
短い期間しか住んでいないこの邸宅はどうするかなー、解約してしまっても問題ない気もするな。
庭から見渡す我が城には殆ど生活感がない。
あるものは、中庭にある炊事場と若干数の畳を敷いた居間、そして寝袋。
うむ、空き家と思われても仕方のない有様だ。子供が空き家と思い込んで秘密基地化してしまっても不思議がない雰囲気を醸し出している。車が庭に置きっぱなしなので、誰か住んでいるじゃないかな?と思ってくれると助かる。
久しぶりに車を運転してみるか、妖怪ウイングを手に入れてから必要性を感じなくなったのよなー。
晩飯前には妖怪互助会本部へ帰還する予定であったが、車に乗ってコンビニに買い物に行ってみようかな。
放置しすぎるとバッテリーが上がってエンジンがかからなくなる可能性もあるし。(エンジンはナマモノなのよ)
車へキーを刺してセルを回してみる、久しぶりだったけどエンジンは腐っていないようだ。
30分ほどバッテリーに充電もする意味も含め、エンジンを回しておく。
「摩訶不思議!恐怖の妖怪空間発生装置」のせいなのかエンジンの他に虫のなく音もしない。
実に平和な世界である。
庭に熾しておいた炭を火瓶の中にいれて消火を確認。
その後、コンビニを冷やかしがてらドライブ。実にゆっくりとした静岡時間がすぎてゆく。
静岡に来てから、炎のような激しい生活の連続であった。会社づとめしていたときも充実した生活ではあったのだが、質の違う充足感をもたらす生活だ。
当初予定していたサバイバル色は微塵もない。自宅に居るときのほうがサバイバーだ。
自宅へ戻り、車を庭においておく。次ここに戻るのは何時になるのだろうな。
ふと居間に目をやると弱い妖怪パワーを感じる。
誰か居るのか?先程までは感じなかったのだが…
寝袋を捲ってみると小さな子供が眠っていた。ニンゲンではなさそうで安心する。
もしニンゲンだったのなら大事だ、静岡県警がマッハで自宅を包囲、豚箱まっしぐらの案件である。
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