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章2 おいでよよーかいの国

050 男の子でも、魔女っ娘になれますか?

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「「「ご馳走様でした」」」三人そろってワン(椀)を置く。
本当に美味しかったね。最初はどうなるかビクッ!ビクン!だったけど。
さて、ご飯も終えたし、日の高くなる前に、奥様の罠の回収へ向かわなければ。

エンピで地面に穴を掘り、食器を水で濯ぎ汚れを落としておく。
食器の汚れを川に流すわけにはいかんからな。江戸時代などの過疎村ではニッポン住民は残飯を川に流していた。それは魚のエサとして消費されつくされるので問題にならなかったが、現在のニッポンは水中に栄養素が豊富である、川に食べ物を投げるのは危険だ。
海が真っ赤になる赤潮の原因となるからな(赤く見えるのはプランクトンの異常発生であり、プランクトンが海水の酸素を食い尽くし、それが原因で周辺の魚も死ぬ。またプランクトンの死骸が積みあがったものが悪臭を放つヘドロである)。
昨今、騒がれなくなったが、依然として大問題だ。川の再生を行っている田鼈さんも良い顔をしないだろう。

「ダイジョー、気に入ったぞ! 褒美をやろう。大抵のことは叶えてやれるぞ!」
なかなか可愛いことを言う幼女ですなぁ。

「うーん、じゃあ魔法使いにしてよ!ラ・ダールトとか撃ってみたいんだよね」
今も夢を追い続ける少年のキラッ☆キラッ☆した目で訴えてみた。
「わかった、クラシックのレベル7で使える魔法使いと僧侶の呪文を使えるようにしてやろー、ほーれ、ほーれ、ドーン!」

俺はカーティノスを喰らったかのように眠らされた。
「こらダイジョー! ダイジョー!起きろ! せっかく呪文が使えるようにしたのに何故寝るのだ!」
「スルガ様?本当に能力を与えてしまわれたのですか?」
「喧しいぞ、田鼈ラー!わたしのすることに文句をつけるつもりか?」
「しかし! 我ら妖怪ならともかく。人種(ひとしゅ)に能力を与えるのは初めてでは…最悪死んでしまいますよ」
「む…そういえば初めてだな。大丈夫であろうか? 死んではいないようだが。咲耶姫はこの辺りに居たな、急ぎ浅間へ迎えを遣り看病させろ」
「はっ!了解いたしました」現代妖怪であるタガメラーはすぐさま妖怪ウィンドウを起動し、妖怪互助会への妖怪タクシーの手配と、浅間支社に人員手配を「妖怪キング:スルガ」の名で依頼した。

『土蜘蛛の子らよ出てこい! この者が意識を取り戻すまで警護しろ』
どこからともなく現れた土蜘蛛はダイジョーを囲むように円陣を組んだ。
「やりすぎたか?しかもゲーム内の魔法を与えるのは不味かったかな」
スルガは少し反省したように見えたが、次の瞬間には忘れていた。日ノ本どころか惑星の支配者である彼女には、一飯の恩意くらいにしか感じていなかったからだ。

今はダイジョーが罠で捕獲したウナギとアナゴを調理したゴハンの事しか考えていない。
調理し始めたら、たかりに行こう。そう考えた。
もはや能力を与えたことなど綺麗に忘れていた。
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