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7話

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「えっと、マーク王子、何でしょうか……」
「お前、どういうつもりだ」

 マーク王子は怒りを滲ませながら私に詰め寄る。

「どういうつもり……ですか?」

 私はマーク王子の質問の意図が分からなかった。
 なので首を捻って不思議そうにしていると、マーク王子は一層怒っていた。

「何故俺の元に返ってこないんだ!」
「……ええと?」
「お前の怒りが相当深いことは分かった。今までそれを理解していなかった俺の非も認めよう。だから、もう帰ってこい、な?」

 どうしよう。
 マーク王子が何を言っているのか、本当に分からない。
 別にマーク王子に怒っていないし、そもそも返ってくるって何のことだ?

「あの、マーク王子、本当に何を仰ってるか分からないんですけど……」

 レノ王子も横から応援に入ってくれた。

「マーク王子、彼女は自分の意志で私と親しくしてくれています。そのような発言はやめていただきたい」
「お前には聞いてない!」

 レノ王子が言葉を発した瞬間、マーク王子が激昂する。

「シャーロット、今なら許してやる! 俺の元に返ってこい!」

 マーク王子のその横暴な口ぶりに、私はだんだんと腹が立ってきた。
 そして、マーク王子のことを突っぱねた。

「嫌です! そもそもあなたが婚約破棄したんですよね! 今さら戻るわけありません!」
「な……」

 マーク王子は唖然とした表情になる。
 そして私を怒りが篭った目で睨みつけた。

「そうか、俺がここまで言っているのに、お前はそれを突っぱねるんだな……」

 マーク王子が拳を握りしめる。
 様子が尋常ではない。

 次の瞬間、私に向かって飛びかかってきた。
 隣にいたレノ王子がそれを体を使ってみ阻む。
 マーク王子がレノ王子の顔を殴り飛ばした。

 周囲の生徒から悲鳴があがった。
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