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15話
しおりを挟むマックスはセシルに対して泣き落としを始めた。
「悪気はなかったんだ! 今までやったことは謝るから、どうか許してくれ!」
自分に更なる罰が課せられる、と分かった瞬間、マックスは手のひらを返した。
「お前のことを好きだったから、ただ盲目になってたんだ! だから頼む! このとおりだ!」
セシルがマックスを罰し難くなるように、「お前のため」ということを何回も強調する。
そしてマックスは恥も外聞も無く頭を下げた。
全ては自分が助かるためだった。
しかし、もちろんそんな思惑が透けている言葉に、セシルは惑わされたりしない。
「離してください」
セシルは冷たく言い放ち、マックスに握られた手を振りほどく。
「チッ!」
マックスは舌打ちをした。
「クソッ!」
そしてもうセシルに泣き落としは通じない、と分かったのか今度はエリナを見た。
「なぁエリナ! 許してくれ!」
マックスはエリナの元に駆け寄り、許しを願う。
「……」
今になってやっとエリナに謝ったことと、図々しくも許しを勝ち取ろうとするマックスを見て、エリナとセシル、国王は呆れるほかと無かった。
国王にいたっては頭痛がするのかこめかみを抑えていた。
「今までのことは全部謝るから! な! 婚約者のよしみで許してくれ!」
エリナはマックスを見下ろす。
「話を全く聞かずに冤罪を着せたくせに、今更申し訳ないですか?」
もちろん、エリナが許すはずもなかった。
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