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15話
しおりを挟むそれからヴァンとソフィアは頻繁に会うようになった。
一週間に一回会っていたのが二、三日に一回になり、最終的に毎日会うようになった。
ヴァンと過ごす時間はソフィアにとって幸せな時間だった。
ヴァンはいつも知らない世界を教えてくれる。行ったことのない場所へと連れて行ってくれる。
ヴァンにとってソフィアと過ごす時間は癒やしだった。
ヴァンはある“家の事情”から、異性の友人はいなかった。
また、ヴァンのその美貌から周囲には顔目当ての女性しか寄ってこなかったので、心から友人として扱ってくれるソフィアと一緒に過ごすことがヴァンの異性に対する苦手意識を和らげていった。
ソフィアはヴァンを明確に異性として意識するようになり、またヴァンもソフィアも同じく異性として意識するようになった。
二人の心の距離はどんどんと縮まっていった。
しかし、幸せな時間は突然壊れた。
「ソフィア、縁談の話がきた」
「え……」
ウィリアムズ公爵領にやってきたアランは重々しくソフィアに告げた。
ソフィアはショックを受けた。
ヴァンという心に決めた相手がすでにいたからだ。
「王家からの縁談だ。ライアンがいなくなり、王位継承権が移った第二王子を正妃として支えてほしい、とのことだ」
「そ、そんな……」
「私は反対だ。だが、あちらの第二王子がソフィアを正妃として迎え入れたい、と強く希望しているらしくてな。それに今からソフィア以外に正妃として迎え入れても大丈夫な貴族の女性がいない、という問題もあることから王家はどうしてもソフィアを正妃にしたいらしい」
「……」
ソフィアは言葉が出なかった。
なぜ自分なんか、と思考がぐるぐる空回る。
奇しくも、ソフィアはライアンと同じ状況に陥っていた。
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