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第四話
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「綺麗ですね、このお庭」
「ふふ、そうでしょう? 私の自慢の庭園なの」
庭園には色とりどりの花が咲き、とてものどかな雰囲気だった。
「イザベルちゃん、ちょっと大事なお話していい?」
「はい……?」
「アルノーのことを選んでくれて、ありがとう」
ズキン。
胸が痛んだ。
「あの子は少し臆病なところがあってね。自分の本当の姿を見て幻滅されたくないのよ。だからあんな評判まで流したの。これ以上自分の評価が下がらないように、って」
アンリエッタさんが私に向かって微笑む。
「だから、あの子のことを大切にしてあげてね?」
「はい……」
アンリエッタさんの笑顔に私は頷くしかなかった。
けど、私は本当は……。
★★★
「かわいいわよ! イザベルちゃん! やっぱり若いと似合うわね~!」
庭園からかえったあと、私は何故かアンリエッタさんが選んだ服を着せられていた。
もうかれこれ一時間ほど着せ替え人形になっているところだ。
今来ているのはアンリエッタさんが選んだフリフリとしたドレスだ。
「あ、あの……私こんなにかわいいものを着ていいんでしょうか?」
「大丈夫。似合ってるわよ!」
「いえ、あの……私こんな服着たことなくて」
私がそう言うとアンリエッタさんが難しい顔をして黙ってしまった。
「あ、すみません。私何か変なことを言いましたか……?」
アンリエッタさん笑顔で首を振った。
そして私を優しく抱きしめた。
「いいえ、何でもないわ。私に任せてちょうだい」
「は、はい……?」
「ま、これでいいわ。じゃあ次は本命ね」
「え?」
アンリエッタさんが私の手を引いて歩き出した。
困惑する私をよそに、上機嫌なアンリエッタはずんずんと進んでいく。
そして、食堂の前につれて来られた。
「さ、入って」
私は促されるまま食堂に入る。
食堂に入ると、何故か食堂に豪華な食事が用意されていた。
食堂にいたアルノーやパルマーさんや、使用人の人達が私に向かって拍手をしている。
「こ、これは……?」
「君の歓迎パーティーさ。私の屋敷に来てくれたね。母上と君が出かけてきてくれている間に用意したんだよ」
「そんな、私にこんな豪華なものなんて……!」
「いやいや、君は私を選んでくれたんだ。これくらいの感謝を伝えないと」
アルノーの笑顔に私の心がズキンと痛んだ。
やっぱり、ちゃんと本当のことを言わないと………!
「あ、あの……!」
「ん、どうしたんだい?」
「私、本当は妹に押し付けられて来ただけなんです……!」
食堂が静まり返った。
私は一生懸命に頭を下げる。
「ごめんなさい」
ああ、怒られるだろうな。
当然だ。私は今まで騙してたんだから。
私はここから追い出されるかもしれない。
けど、それぐらいのことはしたんだ。
でも、もう少しこの温かい空間にいたかったな……。
「顔をあげて欲しい」
顔をあげると、アルノーの表情はとても優しかった。
「まず、すまない。私の勘違いで君に辛い思いをさせていたようだ」
ああ、この人はどこまで優しいんだろう。
私はあなたにずっと酷いことをしていたのに。
「いえ、私はずっと嘘をついていたんです……!」
「それは君が私が傷つかないようにだろう?」
「家に帰りたくなかったから、この屋敷にいるための打算でもありました!」
「嘘だ。例えそうだとしても」
アルノーが私の頬に手を添えた。
「冷たい人間はこんな顔をするわけがない」
言われて気づいた。
私はぽろぽろと涙を流していた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「だからもういいんだ。君はもう泣かなくていい」
アルノーが私を優しく抱きしめた。
パルマーさんとアンリエッタさんが明るい表情で私を見ている。
「そうだぞ、先走ってしまった我々が悪いんだ。君が気に病む必要は無い」
「それに、いっそのこと本当にしてしまえばいいのよ!」
「え……?」
私は一瞬何を言っているの分からなかった。
アルノーとパルマーさんはアンリエッタさんの提案に「おお!」と驚いた。
「確かにそうだな! 嘘から始まる恋もある。それに愛は育むものだ!」
「ええ、イザベルは本当にいい娘ですから。……イザベル、私たちと暮らしてくれるかい?」
つまり、私はまだここにいてもいいのだろうか?
そう理解すると、一度止まったはずの涙がまた流れてきた。
「はい……、お願いしますっ!」
私は涙を拭きながら、久しぶりなので不器用な笑顔を作った。
心の温もりは、まだ消えていなかった。
「ふふ、そうでしょう? 私の自慢の庭園なの」
庭園には色とりどりの花が咲き、とてものどかな雰囲気だった。
「イザベルちゃん、ちょっと大事なお話していい?」
「はい……?」
「アルノーのことを選んでくれて、ありがとう」
ズキン。
胸が痛んだ。
「あの子は少し臆病なところがあってね。自分の本当の姿を見て幻滅されたくないのよ。だからあんな評判まで流したの。これ以上自分の評価が下がらないように、って」
アンリエッタさんが私に向かって微笑む。
「だから、あの子のことを大切にしてあげてね?」
「はい……」
アンリエッタさんの笑顔に私は頷くしかなかった。
けど、私は本当は……。
★★★
「かわいいわよ! イザベルちゃん! やっぱり若いと似合うわね~!」
庭園からかえったあと、私は何故かアンリエッタさんが選んだ服を着せられていた。
もうかれこれ一時間ほど着せ替え人形になっているところだ。
今来ているのはアンリエッタさんが選んだフリフリとしたドレスだ。
「あ、あの……私こんなにかわいいものを着ていいんでしょうか?」
「大丈夫。似合ってるわよ!」
「いえ、あの……私こんな服着たことなくて」
私がそう言うとアンリエッタさんが難しい顔をして黙ってしまった。
「あ、すみません。私何か変なことを言いましたか……?」
アンリエッタさん笑顔で首を振った。
そして私を優しく抱きしめた。
「いいえ、何でもないわ。私に任せてちょうだい」
「は、はい……?」
「ま、これでいいわ。じゃあ次は本命ね」
「え?」
アンリエッタさんが私の手を引いて歩き出した。
困惑する私をよそに、上機嫌なアンリエッタはずんずんと進んでいく。
そして、食堂の前につれて来られた。
「さ、入って」
私は促されるまま食堂に入る。
食堂に入ると、何故か食堂に豪華な食事が用意されていた。
食堂にいたアルノーやパルマーさんや、使用人の人達が私に向かって拍手をしている。
「こ、これは……?」
「君の歓迎パーティーさ。私の屋敷に来てくれたね。母上と君が出かけてきてくれている間に用意したんだよ」
「そんな、私にこんな豪華なものなんて……!」
「いやいや、君は私を選んでくれたんだ。これくらいの感謝を伝えないと」
アルノーの笑顔に私の心がズキンと痛んだ。
やっぱり、ちゃんと本当のことを言わないと………!
「あ、あの……!」
「ん、どうしたんだい?」
「私、本当は妹に押し付けられて来ただけなんです……!」
食堂が静まり返った。
私は一生懸命に頭を下げる。
「ごめんなさい」
ああ、怒られるだろうな。
当然だ。私は今まで騙してたんだから。
私はここから追い出されるかもしれない。
けど、それぐらいのことはしたんだ。
でも、もう少しこの温かい空間にいたかったな……。
「顔をあげて欲しい」
顔をあげると、アルノーの表情はとても優しかった。
「まず、すまない。私の勘違いで君に辛い思いをさせていたようだ」
ああ、この人はどこまで優しいんだろう。
私はあなたにずっと酷いことをしていたのに。
「いえ、私はずっと嘘をついていたんです……!」
「それは君が私が傷つかないようにだろう?」
「家に帰りたくなかったから、この屋敷にいるための打算でもありました!」
「嘘だ。例えそうだとしても」
アルノーが私の頬に手を添えた。
「冷たい人間はこんな顔をするわけがない」
言われて気づいた。
私はぽろぽろと涙を流していた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「だからもういいんだ。君はもう泣かなくていい」
アルノーが私を優しく抱きしめた。
パルマーさんとアンリエッタさんが明るい表情で私を見ている。
「そうだぞ、先走ってしまった我々が悪いんだ。君が気に病む必要は無い」
「それに、いっそのこと本当にしてしまえばいいのよ!」
「え……?」
私は一瞬何を言っているの分からなかった。
アルノーとパルマーさんはアンリエッタさんの提案に「おお!」と驚いた。
「確かにそうだな! 嘘から始まる恋もある。それに愛は育むものだ!」
「ええ、イザベルは本当にいい娘ですから。……イザベル、私たちと暮らしてくれるかい?」
つまり、私はまだここにいてもいいのだろうか?
そう理解すると、一度止まったはずの涙がまた流れてきた。
「はい……、お願いしますっ!」
私は涙を拭きながら、久しぶりなので不器用な笑顔を作った。
心の温もりは、まだ消えていなかった。
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