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「なにこれ……」
私が城壁についたとき、目に入ったのは大量の魔物と、それを城壁から迎撃する冒険者達だった。
地面が見えない程に魔物で埋め尽くされた城門前は、魔物達の猛攻をかろうじて食い止めているが、今にも限界を迎えそうだったを
「こんなに魔物がたくさん……」
「おい! 何ボサッとしてんだ! そんな暇があるなら早く魔法をあいつらにぶち込め!」
私が絶句していると、隣の体験を背負った冒険者が怒鳴ってきた。
丁度良かったので、魔法を撃ち込みながら私は色々状況を尋ねる。
「すみません! 強い冒険者達はどこへ行ったんですか!」
親切にも、その冒険者は私と同じように魔法を魔物の群れに撃ち込みながら答えてくれた。
「強い冒険者たちは軒並みクエストで外に出てるんだ! 救援は呼んだが、どれだけ早くても一日はかかるそうだ! クソッたれ!」
つまり、このままじゃいずれここは突破されるということだ。
そうすれば、街は魔物たちに蹂躙されることだろう。
その光景を想像して、私は歯を食いしばった。
「ルーチェ」
隣にいるルーチェに私はある事を尋ねた。
ルーチェの宝石みたいな目と見つめ合う。
「なに?」
「精霊巫女の力なら、この魔物の群れを何とか出来る?」
ルーチェは私の質問に力強く頷いた。
それを見て、私は魔法を撃ち込むの切り上げる。
「よし! ……私がなんとかします!」
「は?」
「ルーチェ! 私を魔物の群れの真ん中まで連れて行って!」
「うん」
ルーチェは頷くと、背中から天使のような翼を生やした。
白銀に輝く羽は夜だというのに、辺りを昼間のように明るく照らしている。
その神秘的な光景に、周りの冒険者たちもこちらを見た。
「なんだあれ……」
「天使か……?」
大剣を背負った冒険者もルーチェを呆然とみていたが、ハッと首を振って正気を取り戻した。
「おいお嬢ちゃん! 何するつもりだ!」
私がルーチェに言ったことを聞いた冒険者が必死に止めようとする。
「私が魔物を粗方倒します!」
「なっ!? そんなの無理だ! こんな数の魔物女一人でどうこう出来るわけないだろ!」
「大丈夫です! 私がなんとかします!」
私はそう言うと城壁から飛び立った。
ルーチェが照らした光で群れがよく見える。
もごもごと蠢く魔物達がとても不気味だ。
「ここが群れの中心だ」
ルーチェがそう言って、地面へと降下する
私は地面に降り立つと、ルーチェの手を握って唯一使える中級魔法を発動した。
「『ファイアウェイブ!!』」
業火。
魔法を発動した瞬間、精霊巫女の力で威力が増幅された炎の波が辺り一帯を包んだ。
私から同心円状に広がった荒れ狂う炎は魔物の群れを飲み込み、全てを焼き尽くしていく。
「す、すげぇ……」
「なんだよこの威力……」
「上級魔法より強ぇぞ。もしかして、伝説級魔法の使い手なんじゃ……」
私の放った『ファイアウェイブ』の熱風を受けた冒険者たちがそんな事を言うが、これは上級魔法じゃない。ただの中級魔法だ。
炎が収まり、一帯が見渡せるようになった。
ほとんどの魔物を倒すことが出来たようだ。
これなら後は残りの冒険者だけで討伐出来そうだ。
私が安堵すると──
「……あれ」
視界がボヤけ、思考が霧がかったようになる。それに加えてふらふらとしてきた。
(あ、これもしかして魔力使い過ぎたかも……)
視界が反転し、私は倒れた。
私が城壁についたとき、目に入ったのは大量の魔物と、それを城壁から迎撃する冒険者達だった。
地面が見えない程に魔物で埋め尽くされた城門前は、魔物達の猛攻をかろうじて食い止めているが、今にも限界を迎えそうだったを
「こんなに魔物がたくさん……」
「おい! 何ボサッとしてんだ! そんな暇があるなら早く魔法をあいつらにぶち込め!」
私が絶句していると、隣の体験を背負った冒険者が怒鳴ってきた。
丁度良かったので、魔法を撃ち込みながら私は色々状況を尋ねる。
「すみません! 強い冒険者達はどこへ行ったんですか!」
親切にも、その冒険者は私と同じように魔法を魔物の群れに撃ち込みながら答えてくれた。
「強い冒険者たちは軒並みクエストで外に出てるんだ! 救援は呼んだが、どれだけ早くても一日はかかるそうだ! クソッたれ!」
つまり、このままじゃいずれここは突破されるということだ。
そうすれば、街は魔物たちに蹂躙されることだろう。
その光景を想像して、私は歯を食いしばった。
「ルーチェ」
隣にいるルーチェに私はある事を尋ねた。
ルーチェの宝石みたいな目と見つめ合う。
「なに?」
「精霊巫女の力なら、この魔物の群れを何とか出来る?」
ルーチェは私の質問に力強く頷いた。
それを見て、私は魔法を撃ち込むの切り上げる。
「よし! ……私がなんとかします!」
「は?」
「ルーチェ! 私を魔物の群れの真ん中まで連れて行って!」
「うん」
ルーチェは頷くと、背中から天使のような翼を生やした。
白銀に輝く羽は夜だというのに、辺りを昼間のように明るく照らしている。
その神秘的な光景に、周りの冒険者たちもこちらを見た。
「なんだあれ……」
「天使か……?」
大剣を背負った冒険者もルーチェを呆然とみていたが、ハッと首を振って正気を取り戻した。
「おいお嬢ちゃん! 何するつもりだ!」
私がルーチェに言ったことを聞いた冒険者が必死に止めようとする。
「私が魔物を粗方倒します!」
「なっ!? そんなの無理だ! こんな数の魔物女一人でどうこう出来るわけないだろ!」
「大丈夫です! 私がなんとかします!」
私はそう言うと城壁から飛び立った。
ルーチェが照らした光で群れがよく見える。
もごもごと蠢く魔物達がとても不気味だ。
「ここが群れの中心だ」
ルーチェがそう言って、地面へと降下する
私は地面に降り立つと、ルーチェの手を握って唯一使える中級魔法を発動した。
「『ファイアウェイブ!!』」
業火。
魔法を発動した瞬間、精霊巫女の力で威力が増幅された炎の波が辺り一帯を包んだ。
私から同心円状に広がった荒れ狂う炎は魔物の群れを飲み込み、全てを焼き尽くしていく。
「す、すげぇ……」
「なんだよこの威力……」
「上級魔法より強ぇぞ。もしかして、伝説級魔法の使い手なんじゃ……」
私の放った『ファイアウェイブ』の熱風を受けた冒険者たちがそんな事を言うが、これは上級魔法じゃない。ただの中級魔法だ。
炎が収まり、一帯が見渡せるようになった。
ほとんどの魔物を倒すことが出来たようだ。
これなら後は残りの冒険者だけで討伐出来そうだ。
私が安堵すると──
「……あれ」
視界がボヤけ、思考が霧がかったようになる。それに加えてふらふらとしてきた。
(あ、これもしかして魔力使い過ぎたかも……)
視界が反転し、私は倒れた。
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