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私達はギルド『希望の王国』に戻ると、早速受付へ行って依頼を完了させることにした。
冒険者の登録の時の受付の女性にフラム草収集の依頼書を提示する。
「すみません、この依頼終わったので鑑定お願いします」
「はい、それではここに薬草を置いてください」
差し出されたカゴにアイテムポーチから取り出したフラム草を置く。
「それでは鑑定に入るので少々お待ちください」
「分かりました。あ、すみませんあとこれも鑑定して欲しいんですけど……」
そう言って受付に私は回収したキングウルフの爪を置いた。
受付嬢の目が驚愕に開かれる。
「こ、これは!? キングウルフの爪と牙!?」
受付嬢は信じられないような目で私が渡したキングウルフの爪を見た。
同時に、周囲にいた冒険者たちがざわざわと騒がしくなる。
「ど、どうやってこれを!?」
やばい。そう言えば何も考えて無かった。
冷静に考えて、今日登録したばかりの冒険者がAクラスの魔物を倒せる訳が無い。
「あ、えっと……通りすがりの強い冒険者に倒して貰って……色々と譲ってもらいました」
「では討伐報酬はその冒険者が?」
「あ、いえ。それも貰いました……」
「……なるほど。それでは査定して来ます」
私がひねり出したのはかなり苦しい言い訳だった。
受付嬢は怪しんだようだが、取り敢えず納得してくれたようで、何も言わずにキングウルフの爪を鑑定しに行ってくれた。
「ふぅ……」
安心して私は胸を撫で下ろす。
そして私は隣のルーチェに話しかけた。
「ねぇ、なんでルーチェのことを隠すの?」
「念の為。アイリの力を封印した奴に気づかれたくない」
「そっか、確かに知られたらまずいよね……」
「お待たせしました」
受付嬢は机の上にドン、と大きな袋を置いた。
そしてまずカロ金貨二枚を私に差し出す。
「まずこれは今回の依頼の報酬二万カロ。そしてキングウルフの討伐報酬と素材の買い取りで、合わせて八千万カロです」
ドン、と重い音を立てて袋が机に置かれた。
「八千万カロ!?」
私は驚愕した。
私が予想してたのよりも、とんでもなく大きな金額だった。
私の声で周りの目が私に向いたので、慌てて私は口を閉じた。
「Aクラスのキングウルフですので。カロ白金貨でのお支払いでよろしいですか?」
「は、はい……!」
「それではお確かめください」
私は八千万カロの入った袋を開け、中を覗いた。
中には人生で初めて見る量のカロ白金貨が大量に詰められていた。
カロ白金貨は一枚で五十万カロ。なので袋には百六十枚入っている計算だ。
額の大きさに、私は柄にもなく慌ててしまう。
「あわわ、白金貨がこんなに……!」
「アイリ、落ち着いて」
横のルーチェが冷静に突っ込む。
ルーチェの冷静な態度で、私はなんとか平静を取り戻すことができた。
何度か息を吐いて気持ちを落ち着けて、しっかりと白金貨の枚数を数えた。きっかり百六十枚ある。
「か、確認しました……!」
そう言うと、受付嬢は「それでは、お気をつけて」という言葉を添えて丁寧にお辞儀をした。
私は受付嬢のその言葉がどこか少し引っかかった。
しかしそれ以上気にすることなく、私はギルドから出ていった。
冒険者の登録の時の受付の女性にフラム草収集の依頼書を提示する。
「すみません、この依頼終わったので鑑定お願いします」
「はい、それではここに薬草を置いてください」
差し出されたカゴにアイテムポーチから取り出したフラム草を置く。
「それでは鑑定に入るので少々お待ちください」
「分かりました。あ、すみませんあとこれも鑑定して欲しいんですけど……」
そう言って受付に私は回収したキングウルフの爪を置いた。
受付嬢の目が驚愕に開かれる。
「こ、これは!? キングウルフの爪と牙!?」
受付嬢は信じられないような目で私が渡したキングウルフの爪を見た。
同時に、周囲にいた冒険者たちがざわざわと騒がしくなる。
「ど、どうやってこれを!?」
やばい。そう言えば何も考えて無かった。
冷静に考えて、今日登録したばかりの冒険者がAクラスの魔物を倒せる訳が無い。
「あ、えっと……通りすがりの強い冒険者に倒して貰って……色々と譲ってもらいました」
「では討伐報酬はその冒険者が?」
「あ、いえ。それも貰いました……」
「……なるほど。それでは査定して来ます」
私がひねり出したのはかなり苦しい言い訳だった。
受付嬢は怪しんだようだが、取り敢えず納得してくれたようで、何も言わずにキングウルフの爪を鑑定しに行ってくれた。
「ふぅ……」
安心して私は胸を撫で下ろす。
そして私は隣のルーチェに話しかけた。
「ねぇ、なんでルーチェのことを隠すの?」
「念の為。アイリの力を封印した奴に気づかれたくない」
「そっか、確かに知られたらまずいよね……」
「お待たせしました」
受付嬢は机の上にドン、と大きな袋を置いた。
そしてまずカロ金貨二枚を私に差し出す。
「まずこれは今回の依頼の報酬二万カロ。そしてキングウルフの討伐報酬と素材の買い取りで、合わせて八千万カロです」
ドン、と重い音を立てて袋が机に置かれた。
「八千万カロ!?」
私は驚愕した。
私が予想してたのよりも、とんでもなく大きな金額だった。
私の声で周りの目が私に向いたので、慌てて私は口を閉じた。
「Aクラスのキングウルフですので。カロ白金貨でのお支払いでよろしいですか?」
「は、はい……!」
「それではお確かめください」
私は八千万カロの入った袋を開け、中を覗いた。
中には人生で初めて見る量のカロ白金貨が大量に詰められていた。
カロ白金貨は一枚で五十万カロ。なので袋には百六十枚入っている計算だ。
額の大きさに、私は柄にもなく慌ててしまう。
「あわわ、白金貨がこんなに……!」
「アイリ、落ち着いて」
横のルーチェが冷静に突っ込む。
ルーチェの冷静な態度で、私はなんとか平静を取り戻すことができた。
何度か息を吐いて気持ちを落ち着けて、しっかりと白金貨の枚数を数えた。きっかり百六十枚ある。
「か、確認しました……!」
そう言うと、受付嬢は「それでは、お気をつけて」という言葉を添えて丁寧にお辞儀をした。
私は受付嬢のその言葉がどこか少し引っかかった。
しかしそれ以上気にすることなく、私はギルドから出ていった。
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