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4話
しおりを挟む先程までは正論で責められ続けていたノーマンは、私を責める大義名分が手に入り、勢いづいた。
「ずっと俺を責めていたのに、サリーを虐めていたのか!最低な人間だな!」
私はサリーに冤罪を着せられたことに動揺していたが、すぐに落ち着いた。
サリーの話には証拠が無いからだ。すぐに調べれば私が無罪だということは分かる。
「私はそんなことはしていません」
「黙れ!お前の話など信じるか!」
「そうです!早く自分の非を認めてサリー嬢に謝罪しなさい!」
ロナルドとフィリップが私を指差し怒鳴りつける。
しかし私は毅然として答えた。
「信じるかどうかの話ではありません。私が彼女に危害を加えていたと言うなら、その証拠を提示するべきです。でなければただの言いがかりです」
「そんなの知るか!サリーがそう言ってるんだから、それで十分だ!」
「は?」
ノーマンは私を罵倒する。
私は何を言われているのか分からなかった。
証拠なんて、関係ない?
「そうだ!そうやって言葉で俺達を騙そうとしてるんだろう!この悪女め!」
「ええ!そうに決まっています!サリーが嘘をつくなんてあり得ないんですから!」
私は片方の証言だけで証拠が無いのにまるで犯罪を犯したかのように叩かれ、暴言を吐かれる。
無茶苦茶だ。こんなの、ただの私刑ではないか。
「おい!そいつを拘束しろ!」
ノーマンが二人に命令する。
そしてロナルドとフィリップが私の腕を掴み、身動きが取れないように拘束した。
「は、離して!」
当然男性に拘束され、私は恐怖する。
しかし私の力ではロナルドとフィリップの拘束を逃れることは出来ない。
そしてノーマンが私へと近づいてきた。
「吐け!サリーを虐めていたと!」
バチンッ!
ノーマンは私の頬を叩いた。
当然力加減なんてされていない平手打ちに、私は倒れそうになったが、私を拘束している二人が支え、強制的に立ち直させる。
「わ、私は、やってません……!」
痛みに耐えながら私は無実を主張する。
次の瞬間、また平手打ちされた。
「っ……!」
「言え!このクズが!」
私は公爵家のプライドとして、ノーマンを睨みつける。
「私は、やってない……っ!」
私が無実を主張すると、そのたびにノーマンは私を叩いた。
まるでそれは拷問のようだった。
しかし巻き込まれるのを避けるため、王子とその側近の蛮行を止めるものはいなかった。
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