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16話
しおりを挟む「っ……!」
(どうする……っ! どうすればいい!)
レイは必死に思考を巡らせていた。
自分が助かるために。
このまま何もしなければ国王の宣言通り、レイは断頭台へと立たされることになる。
それは嫌だった。
レイはまだ死にたくない。
(──逃げよう)
レイは心の中でそう決心した。
幸いにも国王は自分にもう興味を示しておらず、このまま部屋から出た瞬間に逃げようとしても即座には反応できないはずだ。
ただ、部屋の前に立っている衛兵は別だ。
どうにかして衛兵の注意を逸して逃げなければならない。
何か衛兵の注意を逸らせる物は無いか。
レイは辺りを見渡していると、あるものを発見した。
それは隣に立つナタリーだった。
(そうだ! こいつを囮にすればいい! 俺がこうなったのも全部コイツのせいなんだから!)
ただ、レイの中にはナタリーを囮として使うことに罪悪感もあった。
そのため、レイは自分の中でナタリーを使い捨てるための正当性を作り上げていく。
ナタリーは最低の人間だ。
今までねだった物は買ってやり、王子である自分と恋人であることを許してやっていたのに、少しでも自分が形勢不利と見た瞬間に自分を捨てようとした。
結果として自分はこんな状況になってしまった。
そもそも、ナタリーが変なことを言わなければ多少ピンチでも切り抜けることが出来たのだ。
(そうだ。俺は悪くない。悪くない!)
だから、コレを使い捨てても大丈夫。
レイはナタリーを見捨てる覚悟を決めた。
そして部屋の外に出たレイは、ナタリーの足をかけ転ばそうとして──
ナタリーに腕を掴まれた。
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