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11話
しおりを挟む「お父様……?」
私は父の言葉の意味を汲み取ることが出来なかった。
なぜ私が決めるのだろうか。
こういったことは、本来大人である父や、国王が処罰を決めるものなのだが……。
「しかしプレスコット公爵、家紋の件やその他の問題はかなり政治的な問題だ。アリス嬢一人に全てを決めさせる、というのは無理があるぞ」
「いえ、私が申しているのはロバート王子たち三人の処罰のみです」
「真意が汲み取れないな。なぜわざわざそんなことを?」
「問題ありますでしょうか? 三人とも廃嫡になるので問題は無いと思ったのですが……」
「……」
父は言外に「当然廃嫡ですよね?」と問いかけた。
国王たち三人の大人は黙った。
しでかしたことを考えれば、当然廃嫡するべきだ。
しかし情がそれを邪魔しているのだろう。
父は肩をすくめて続ける。
「それに、彼ら三人からは今まで“一度たりとも”謝罪の言葉を頂いていないので。ええ、本人から処罰を下されるほうが罪を自覚出来るのではないかと思いまして」
ギラリと睨みつける眼光。
父から数瞬だけ放たれた圧はロバートたち三人に恐怖を与えた。
口調から読み取れず、内容から今やっと分かったが、やはり父は怒っている。
それも相当に。
本人に処罰を決めさせる、ということは一切の情状酌量の余地もない処罰を下される可能性が高いということだ。より過剰な処罰になる可能性もある。
つまり一切手加減をするつもりは無いのだ。
しかし、私は、私に処罰を決めさせるのにもう一つ別の理由があることを理解していた。
父は私が適切な処罰を下すことが出来るのかどうか見極めているのだ。
これは父からの試練であると、私は確信した。
「……構わないだろう」
「……やむを得ません」
「……これも因果応報なのでしょう」
そして大人三人は、私が処罰を下すことに同意した。
「父上!?」
「そんなっ!」
「待ってくれ!」
ロバートたちは不満の声をあげる。
しかしそれは誰も取り合うことはしなかった。
私も覚悟を決めた。
父からの試練である以上逃げるわけにはいかない。
「……分かりました。それでは、処罰を決めさせて頂きます」
私は深く息を吸った。
「ロバート王子は『同じことをやり返してやる』と仰っていました。ですから処罰は──『私がされたことと同じことをする』で如何でしょうか?」
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