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16話
しおりを挟む「え……」
ブリジットが出ていった後、サミエルは呆然としていた。
サミエルに暴言を吐いたブリジットは今までの優しかったブリジットとは全く変わっていて、その事実を受け入れることが出来なかったからだ。
「なんで……」
サミエルは考える。なぜブリジットがあんな風になってしまったのかを。
以前のブリジットならあんな罵倒はしなかった。
ブリジットが変わったのは自分が生徒会を追放されたことを話した時からだ……。
「まさか……俺に近づいたのは、最初から俺の地位目当てだったのか……?」
サミエルは今さらブリジットの目的に気づいた。
「そうか! だから俺が生徒会じゃなくなった瞬間に出ていったんだな! 俺を騙していたのかブリジット!」
サミエルは怒りに身を任せて部屋のものを壊していく。
花瓶を壁に投げつけ、絵画を裂き、椅子を壊す。
「何でだ……何で俺だけこんな目に合うんだ!」
一通り暴れたあと、落ち着いたサミエルは自分の不幸を嘆く。
レオもブリジットもすぐに自分を見限った。
たった一度過ちを犯しただけで。
レオにもブリジットにも所詮自分は利用されていただけなのだ、と涙を流す。
すると扉がノックされた。
「サミエル、何事だ」
父の声だった。
サミエルの父は扉を開けて部屋の中に入ってくる。
そして部屋の惨状に驚愕した。
「な、何だこれは!?」
「……俺はブリジットに騙されていたんです」
サミエルは涙ながらに父に何があったのかを説明する。
するとサミエルの父は青褪めた。
「何だと……では今までブリジット嬢に使った莫大な金はどうすればいいと言うんだ」
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