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14話
しおりを挟む「……そうだ、ブリジットのところへ行こう!」
サミエルは勢い良く顔を上げた。
そして自分の婚約者であるブリジットのことを思い出す。
ブリジットはいつも自分を立ててくれる。
何を言ってもエリカのように口答えしないし、優しく接してくれる。
地位は侯爵家で伯爵家のエリカより爵位が高く、顔も広い。
何より、エリカみたいに自分を陥れて将来を台無しにされたりなんかしない。
エリカと婚約破棄したのもブリジットの方がより優れた婚約者だったからだ。
「よし! そうと決まればブリジットに慰めてもらおう!」
サミエルは落ち込んだ心を奮い立たせ、ブリジットのところへと向かう。
ブリジットはサミエルの家でパーティーを開いていた。
サミエルがブリジットと婚約する、と決まってからブリジットは「婚約者」だからと言ってサミエルの屋敷でよくパーティーを開くようになった。
もちろん、サミエルの家で開かれるのでパーティーの費用はサミエルの家が持っている。
最近父からよくパーティーを辞めさせるように言われているが、サミエルは全く気にしていなかった。
ブリジットはパーティーの主役として、たくさんの人間に囲まれていた。
きらびやかな宝石や高価なドレスを着たブリジットはとても魅力的に見えた。
ブリジットの身につけている物は全てサミエルが買ったものだが、サミエルはブリジットをここまで綺麗にすることが出来て、誇りに感じていた。
「あらサミエル様、どうしたの」
「ブリジット、少し来てくれ」
公衆の面前でエリカの愚痴を吐くわけにはいかない。
サミエルはブリジットの手を引いて自室までやって来た。
ブリジットは困惑しているようだった。
「どうしましたのサミエル様?」
「聞いてくれ、大事な話があるんだ」
そしてサミエルは何があったのかをブリジットへと説明していく。
「ブリジットも酷いと思うだろう! 俺は何もしていないのに──」
「は?」
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