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4話
しおりを挟む「っ! 何なんだよアイツはッ!」
エリカが出ていった後、サミエルは手に持っていた紙を床に叩きつけた。
「少しくらいやってくれても良いだろうが! 何で俺があそこまで言われないといけないんだ!」
怒鳴り散らすサミエルを何人もの生徒が見ているが、サミエルはエリカに対する怒りに呑まれて気づかない。
「それにまだ婚約者なんだぞ! 俺の言ってることは別に間違ってないだろ!」
サミエルは爪を噛みエリカに対する愚痴と、自身の正当化を行う。
するとサミエルに声をかけてきた人物がいた。
「サミエル。どうしたのかな」
「レオ王子……」
サミエルに声をかけてきたのは、サミエルを生徒会に引き上げた本人であるレオ王子だった。
「怒っていたようだけど、何があったんだい? 僕で良ければ相談に乗るけれど……」
レオはサミエルに優しく声をかける。
「い、いえ、大丈夫です。これは自分の問題なので」
「そっか、でも助けが欲しいときは何時でも相談に乗るから気安く声をかけてくれ。君は生徒会の期待の星なんだから!」
レオに期待されていると言われてサミエルは鼻を高くする。
「はい! 分かりました!」
「ところで、君に預けていた催し物についての仕事がそろそろ締切なんだけど、もう出来ているかい?」
「え……」
ギクリ、とサミエルは固まった。
全ての仕事をエリカに任せていたせいで、どの仕事の事を言われているのか分からなかったのだ。
当然、エリカの進捗具合など知る由もない。
サミエルは苦し紛れの嘘をついた。
それが自分の首を絞めることになるとは知らずに。
「も、もうすぐ完成します」
「それは良かった。じゃあ、明日の締切にも間に合うね」
「あ、明日!?」
レオはホッと安心して息を吐く。
しかし反対に、サミエルは冷や汗をかいていた。
「じゃあよろしく頼むよ」
レオはその場から去っていった。
「クソッ! クソッ! 不味い不味い!」
レオの姿が見えなくなった途端、サミエルは必死にどうやって乗り切るか考え始めた。
エリカには頼れない。
これ以上はレオに報告されるかもしれないし、個人的に頼りたくない。
「こうなったら自分でやるしか……!」
サミエルは床に叩きつけた紙を拾い集め、必死に理解しようとする。
しかし──。
「何だ、これ……」
長期間全ての仕事をエリカに任せ続け、遊び呆けていたサミエルは書類に書かれている内容が全く理解できなくなっていた。
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