10 / 16
ネズッチ視点~前世の記憶~
しおりを挟む
その日は、人生で1番ツイてない日だった。
朝から高校受験の結果発表のため、本命の高校に張り出される受験番号を見に来た。だが、何度番号を見返しても、俺の番号はなかった。
俺は、喜ぶ隣の人達を尻目に、母親と父親にそれぞれLINEで『落ちてた。滑り止めの高校への入学が決まったよ』と送った。
すると、同時に返信が来た。
母親からは『七転び八起き!』
父親からは『人間万事塞翁が馬!』
とそれぞれのLINEに返ってきており、俺は
『なぐさめ方、似たもの夫婦かよ!』とそれに返信して、憧れだった高校を後にした。
すぐに家に帰る気分にならなくて、俺はコンビニで少年週刊誌でも買って帰ることにした。『友情・努力・勝利』の世界に、現実逃避したかったからだ。現実は努力しても勝利するとは限らないから、無情だ。
コンビニの雑誌コーナーに行くと、女性誌の題名が目に飛び込んできた。
『シンデレラになる為の10の方法!』と、書いてある。
普段は気にならないが、朝砕け散っている俺のガラスのハートには、『シンデレラ』という単語は目に入ると痛かった。
年の離れた妹が好きだから、よくせがまれて絵本を読んでやるが『シンデレラ』が、そもそも俺は嫌いだった。
女の子的には元祖ざまぁな物語で、読んでて楽しいのかも知れない。
でも、男の俺からすると『シンデレラ』は王子様の身分と見た目につられてホイホイ結婚した、条件で男を選ぶ人の代表格にしか思えない。
『シンデレラ』を読むたびに、「王子様並にハイスペックにならないと、女子にモテないよ」と言われてる気分になる。
そして、高校受験に失敗してハイスペックから遠ざかった今の俺にとっては『シンデレラ』は地雷なのである。
俺は気分が悪くなってコンビニを出ようかと思ったが、何も買わないで出るのも悪いかと思い、店内を見渡すと『魔女っ子バビデ』とコラボしたビスケットの商品があった。
『魔女っ子バビデ』は妹が今ハマっている、日曜朝の幼女向けアニメだ。イタズラ魔女っ子のバビデが、お星様のステッキで人間を動物に変えてテンヤワンヤする話だ。
妹はクリスマスプレゼントでお星様の魔法のステッキを手に入れて、家族に向かって「犬になーれ」などとステッキを振って言ってくるので、俺らはしばらくワンワン言って過ごすはめになる。
俺は『魔女っ子バビデ』のビスケットをレジへ持っていくと、店員の茶髪のギャルっぽいお姉さんに、「マジかよ」と呟かれてイタイ存在を見る目で顔を見られた。「違うんです。妹のなんです」俺は内心で叫んだが、逆に言い訳がましいかと思い押し黙った。そうして既に砕けていた俺のガラスのハートは、店員のお姉さんに粉々にされたのだった。
店員のお姉さんの「ありしたー」という7文字くらい省略されてる挨拶に背を押されて足早にコンビニを出ると、外は曇天だった。
雨に降られるのは嫌なので、早足で家に向かうと、途中の公園でボールで遊んでいる5歳くらいの男の子が横目に入った。
「妹と同じくらいの年齢だな」と思い、なんとはなしに目で追っていると、ボールが道路に飛びだして男の子が追いかけて駆け出したのが目に入った。
「おいおい、危ねぇぞ!」
俺のイヤな予感は的中し、トラックが道路を走ってきた。
俺は考えるより先に体が動き、男の子を追って道路に飛びだし、最大限の腕筋を使い男の子を公園の方へ放り投げた。
公園の生垣の中に、男の子が放り投げ込まれたのが目に入ったと同時に、トラックのけたたましいブレーキ音と全身への衝突の感触と共に意識が途絶えた。
朝から高校受験の結果発表のため、本命の高校に張り出される受験番号を見に来た。だが、何度番号を見返しても、俺の番号はなかった。
俺は、喜ぶ隣の人達を尻目に、母親と父親にそれぞれLINEで『落ちてた。滑り止めの高校への入学が決まったよ』と送った。
すると、同時に返信が来た。
母親からは『七転び八起き!』
父親からは『人間万事塞翁が馬!』
とそれぞれのLINEに返ってきており、俺は
『なぐさめ方、似たもの夫婦かよ!』とそれに返信して、憧れだった高校を後にした。
すぐに家に帰る気分にならなくて、俺はコンビニで少年週刊誌でも買って帰ることにした。『友情・努力・勝利』の世界に、現実逃避したかったからだ。現実は努力しても勝利するとは限らないから、無情だ。
コンビニの雑誌コーナーに行くと、女性誌の題名が目に飛び込んできた。
『シンデレラになる為の10の方法!』と、書いてある。
普段は気にならないが、朝砕け散っている俺のガラスのハートには、『シンデレラ』という単語は目に入ると痛かった。
年の離れた妹が好きだから、よくせがまれて絵本を読んでやるが『シンデレラ』が、そもそも俺は嫌いだった。
女の子的には元祖ざまぁな物語で、読んでて楽しいのかも知れない。
でも、男の俺からすると『シンデレラ』は王子様の身分と見た目につられてホイホイ結婚した、条件で男を選ぶ人の代表格にしか思えない。
『シンデレラ』を読むたびに、「王子様並にハイスペックにならないと、女子にモテないよ」と言われてる気分になる。
そして、高校受験に失敗してハイスペックから遠ざかった今の俺にとっては『シンデレラ』は地雷なのである。
俺は気分が悪くなってコンビニを出ようかと思ったが、何も買わないで出るのも悪いかと思い、店内を見渡すと『魔女っ子バビデ』とコラボしたビスケットの商品があった。
『魔女っ子バビデ』は妹が今ハマっている、日曜朝の幼女向けアニメだ。イタズラ魔女っ子のバビデが、お星様のステッキで人間を動物に変えてテンヤワンヤする話だ。
妹はクリスマスプレゼントでお星様の魔法のステッキを手に入れて、家族に向かって「犬になーれ」などとステッキを振って言ってくるので、俺らはしばらくワンワン言って過ごすはめになる。
俺は『魔女っ子バビデ』のビスケットをレジへ持っていくと、店員の茶髪のギャルっぽいお姉さんに、「マジかよ」と呟かれてイタイ存在を見る目で顔を見られた。「違うんです。妹のなんです」俺は内心で叫んだが、逆に言い訳がましいかと思い押し黙った。そうして既に砕けていた俺のガラスのハートは、店員のお姉さんに粉々にされたのだった。
店員のお姉さんの「ありしたー」という7文字くらい省略されてる挨拶に背を押されて足早にコンビニを出ると、外は曇天だった。
雨に降られるのは嫌なので、早足で家に向かうと、途中の公園でボールで遊んでいる5歳くらいの男の子が横目に入った。
「妹と同じくらいの年齢だな」と思い、なんとはなしに目で追っていると、ボールが道路に飛びだして男の子が追いかけて駆け出したのが目に入った。
「おいおい、危ねぇぞ!」
俺のイヤな予感は的中し、トラックが道路を走ってきた。
俺は考えるより先に体が動き、男の子を追って道路に飛びだし、最大限の腕筋を使い男の子を公園の方へ放り投げた。
公園の生垣の中に、男の子が放り投げ込まれたのが目に入ったと同時に、トラックのけたたましいブレーキ音と全身への衝突の感触と共に意識が途絶えた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
子猫マムと雲の都
杉 孝子
児童書・童話
マムが住んでいる世界では、雨が振らなくなったせいで野菜や植物が日照り続きで枯れ始めた。困り果てる人々を見てマムは何とかしたいと思います。
マムがグリムに相談したところ、雨を降らせるには雲の上の世界へ行き、雨の精霊たちにお願いするしかないと聞かされます。雲の都に行くためには空を飛ぶ力が必要だと知り、魔法の羽を持っている鷹のタカコ婆さんを訪ねて一行は冒険の旅に出る。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
YouTuber犬『みたらし』の日常
雪月風花
児童書・童話
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
飼い主のパパさんは、YouTubeで一発当てることを夢見て、先月仕事を辞めた。
まぁいい。
オレには関係ない。
エサさえ貰えればそれでいい。
これは、そんなオレの話だ。
本作は、他小説投稿サイト『小説家になろう』『カクヨム』さんでも投稿している、いわゆる多重投稿作品となっております。
無断転載作品ではありませんので、ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる